エシカルコスメという言葉は知っていても、どんな特徴があるのか、実際に購入するとなると迷ってしまいますよね。
一般的なコスメに比べて、地球にやさしい原材料・製造過程を推奨していることがエシカルコスメの特徴です。ブランド名を押さえるだけでも、好みのコスメが見つけやすくなるでしょう。
しかし、ブランドについて調べず、値段を理由にプチプラの製品を購入すると後悔してしまいます。エシカルコスメの定義について、幅広い知識を持っておくことが大切です。
この記事を読んで、展開されているブランドについて理解し、コスメの選択肢を広げましょう。ご自身にぴったりのエシカルコスメを見つけやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそもエシカルコスメとは?
エシカルコスメ以外に、オーガニックコスメやナチュラルコスメという言葉があります。
そもそもエシカルコスメとは何を指すのでしょうか。
ここでは、それらの言葉とエシカルコスメとの共通点や相違点について見ていきましょう。
オーガニックコスメとの共通点と相違点
まずは、エシカルコスメとオーガニックコスメの共通点と相違点について説明します。結論からいうとオーガニックコスメはエシカルコスメ含まれるジャンルのひとつです。
オーガニックコスメは、農薬や化学物質を使用せずオーガニック認証された自然由来の成分を主としています。エシカルコスメも自然由来の成分を主成分にしており、この点は共通点。
ただ、オーガニックコスメが化粧品の成分のみにこだわっているのに対し、エシカルコスメは成分だけでなく、化粧品を作る過程で環境にやさしい(エシカルな)取り組みをしているかどうかも判断の基準になります。
ナチュラルコスメとの共通点と相違点
次に、ナチュラルコスメと比べてみましょう。
ナチュラルコスメの特徴は、防腐剤や合成着色料、石油系成分などが配合されていないことで、この特徴はエシカルコスメとの共通点。
ただ、オーガニックコスメやエシカルコスメと違って認証マークがないため、化学成分を使っていない化粧品はすべてナチュラル化粧品と名乗れます。
結論として、ナチュラルコスメもエシカルコスメのひとつ。ナチュラルコスメのような自然派成分を配合し、さらに社会や環境に配慮した項目が加わることでエシカルコスメと名乗れるのです。
エシカルコスメの取り組み3つ
ここからは、エシカルコスメの取り組みを紹介します。
エシカルコスメの取り組みは多いですが、そのなかでも特徴的なのは以下の3つです。
- クルエルティフリーな開発
- ヴィーガンに対応している
- 女性や発展途上国へ貢献している
それぞれ詳しくみていきましょう。
クルエルティフリーな開発
エシカルコスメの取り組みの特徴のひとつは、クルエルティフリーな開発です。
クルエルティフリーは、英語の「Cruelty(残虐)」と「free(〜がない)」という言葉を組み合わせた、「残虐なことをしない」という意味を表します。
エシカルコスメにおける残虐行為は「動物実験」を指すことが多く、このクルエルティフリーな開発は化粧品の開発から市場進出過程において、動物を使った実験をしないことを証明する言葉です。
ヴィーガンに対応している
ヴィーガンという言葉も、エシカルコスメの特徴。
ヴィーガンとはベジタリアンの一種で、動物の成分を含んだ食材や化粧品を取り入れない人たちを指します。クルエルティフリーの化粧品であることも、ヴィーガン化粧品の条件のひとつです。
エシカルコスメではヴィーガンの人も使えるように、牛脂、カルミン(虫から採れる紅色色素)、動物性コラーゲン、シルクなど、動物由来の成分を使用しない化粧品を開発しています。
女性や発展途上国へ貢献している
エシカルとは、持続可能な社会を形成するために環境保全や社会へ配慮するという考え方。
女性や発展途上国へ貢献する取り組みは、エシカルコスメの特に注目すべき特徴です。
エシカルのなかでも、特にフェアトレードがこの特徴に当てはまります。フェアトレードは、社会のために活躍する女性や、貧困・格差に直面する女性を応援したり、発展途上国の生産者・労働者の賃金や労働環境を守ったりする取り組みです。
つまり、フェアトレードによる女性や発展途上国への貢献は、エシカルコスメとして重要な指標といえるでしょう。
エシカルコスメの選び方
ここからは、エシカルコスメの選び方について紹介します。
特に気をつけるべきなのは、下記の2点です。
- 表記された原材料を確認する
- 認証マークの有無を確認する
それぞれ詳しく紹介します。
表記された原材料を確認する
エシカルコスメには、自然由来の成分が使われています。エシカルコスメを選ぶときは、原材料を確認しましょう。
エシカルコスメの表記として代表的なのは、以下の2点です。
- パラベンフリー
- 無香料・無着色
パラベンフリーとは、「パラベン(防腐剤)」が入っていないことを指します。
ほかにも、原材料を見る際は「〇〇不使用」「〇〇フリー」などの表記を参考に、確認してみてください。
認証マークの有無を確認する
エシカルコスメには、エシカルであることを認証したマーク認証マークがついている場合があります。
認証マークの種類は以下の通りです。
- 国際フェアトレード認証:商品のフェアトレードを証明する認証
- FSC(森林管理協議会):世界で最も評価の高い森林基準の認証
- レインフォレスト認証:持続可能性の3つの柱(社会・経済・環境)の強化につながる手法で生産されたことを証明する認証
- エコサート認証:欧州で規定されているオーガニックの基準を満たす認証
- MSC認証:持続可能な漁業で獲られた天然の水産物を示す認証
- ヴィーガン認証:動物性の素材や成分を一切使わない製品を証明する認証
ここで挙げた認証マーク以外にも、多数の認証マークがあります。製品に記載してある認証マークを確認してみてください。
国産のエシカルコスメブランド3選
ここからは、国産のエシカルコスメブランドを紹介します。
- Spoon Spoon(スプーン スプーン)
- amritara(アムリターラ)
- SHIRO(シロ)
それぞれみていきましょう。
Spoon Spoon(スプーン スプーン)
Spoon Spoon(スプーン スプーン)は、「救う、を気軽に。」が名前の由来であるエシカルコスメブランドです。
地球を汚さない商品作りにこだわっており、原材料の生産から化粧品の製造の過程までに農薬や化学肥料、化学合成成分を排出しない方法で製品を作っています。
社会貢献の分野では、売上の一部を「緑の募金」に寄付することで森林保護の取り組みに参加。また、障がい者の経済的自立を促進するために、生産プロセスに積極的に障がい者に関わってもらう取り組みをしています。
amritara(アムリターラ)
amritara(アムリターラ)は、「いらないものは、いれない」「世の中にないものを生み出す」ことを信念に掲げた、オーガニック化粧品ブランドです。
化粧品作りでは、本当に必要なスキンケアを追求した10の約束を宣言しています。また、環境保全にも積極的。化粧品の容器やパッケージに環境負荷の少ない資材を積極的に取り入れ、使用済みの化粧品容器の改修も行っています。
SHIRO(シロ)
SHIRO(シロ)は、「自然の恵みを丁寧に、ふんだんに」というコンセプトのもと、酒粕や昆布、ニームなど自然の恵みを最大限に生かす製品作りが特徴のエシカルブランドです。
素材選びでは、普段なら捨てる枝葉や、規格外とされる材料を優先的に使用することで、素材を無駄なく活用しています。
また、雇用創出を目的に現地からの直輸入を創業当時から続けており、地域雇用に貢献。商品を販売する場では、パッケージレスの対応を進めています。
韓国のエシカルコスメブランド3選
次に、韓国のエシカルコスメブランドを3つ紹介します。
- FEMMUE(ファミュ)
- BEIGIC(ベーシック)
- UNLEASHIA(アンリシア)
それぞれみていきましょう。
FEMMUE(ファミュ)
ブランドの名前でもあるFEMMUE(ファミュ)は、ふたつの言葉をかけ合わせてできています。「女性」を意味する FEMME と、「変化」を意味するMUEです。
製品には、花に含まれる美容成分を厳選して使用。また、原料はエコサートナチュラル認証を受けています。合成香料や合成着色料は一切使用せず、製造過程ではクルエルティフリーを宣言。
販売過程では、環境に配慮しパッケージの最小化にも取り組んでいる、エシカルな会社といえるでしょう。
BEIGIC(ベーシック)
BEIGIC(ベーシック)は、色のベージュに着想を得たヴィーガンスキンケアブランドです。
ヴィーガンの考えを大切にしており、すべての製品は自然由来、特に植物由来の原料でできています。
原料を選ぶ際は、フェアトレードを採用。製品を開発する際はクルエルティフリーであることはもちろん、BEIGICの考える「5つの不使用成分(合成香料、合成着色料、シリコン、サルフェート(SLS、SLES)、パラベン)」を使用しない取り組みを行っています。
UNLEASHIA(アンリシア)
UNLEASHIA(アンリシア)は、PETAが認めた、ヴィーガングリッター専門コスメブランドです。
PETAとは、アニマルライツ(動物愛護・動物擁護)の世界最大規模の団体。アンリシアのコスメは、製造過程でクルエルティフリーを実施しており、原料には動物由来の成分を一切使っていません。
さらに、アンリシアのグリッターには、環境負荷の低い生分解性の素材を取り入れているため、環境にやさしいコスメです。
欧州のエシカルコスメブランド3選
次に、欧州のエシカルコスメブランドを紹介します。
- WELEDA(ヴェレダ)
- herbfarmacy(ハーブファーマシー)
- Dr.hauschka(ドクターハウシュカ)
それぞれ詳しくみていきましょう。
WELEDA(ヴェレダ)
WELEDA(ヴェレダ)はオーストリアで創設されたコスメブランドです。
「体・心・精神のバランスの取れた美しさを提供する」というコンセプトのもと、アントロポゾフィー(人智学)、つまり「人の体と自然は密接な関係にある」という考え方を軸にしています。
コスメの原料を調達する方法も、自社農園や野生採集を主として、フェアトレードを積極的に行っています。販売においてもサステナブルな容器包装を利用し、常に環境や社会に貢献する改善を続けるエシカルなコスメブランドです。
herbfarmacy(ハーブファーマシー)
herbfarmacy(ハーブファーマシー)は、ハーブを使ったイギリス発のコスメブランドです。創業者は植物学博士で、オーガニックコスメの先駆者ともいわれています。
ハーブファーマシーのエシカルな取り組み例は、以下のとおりです。
- クルエルティフリー
- 原料はソイルアソシエーション(英国土壌協会)のオーガニック認定を獲得
- 農場でグリーンエネルギーのみを使用することを約束
- プラスチック容器からアルミ製の容器に変更
真摯に植物と向き合う、エシカルなコスメブランドといえるでしょう。
Dr.hauschka(ドクターハウシュカ)
Dr.hauschka(ドクターハウシュカ)は、「人と自然のハーモニー」と「生命のリズム」を尊重した自然由来の製法を用いる、ドイツ生まれのコスメブランドです。
全製品の成分が、合成・人工原料(香料・着色料・保存料・界面活性剤など)フリーかつ、オーガニック・ナチュラル化粧品の認証であるNATRUEを取得しています。
原料の調達はフェアトレードが基本で、一部地域では農業プロジェクトのサポートを行っている、認証ナチュラル化粧ブランドです。
オセアニアのエシカルコスメブランド3選
最後に、オセアニアのエシカルコスメブランドを紹介します。
- sukin(スキン)
- trilogy(トリロジー)
- Jurlique(ジュリーク)
それぞれ詳しくみていきましょう。
sukin(スキン)
sukin(スキン)は、オーストラリア生まれのナチュラルコスメブランドです。
99.8%自然由来成分を利用しており、原料はすべてオーストラリア国内で生産しています。ヴィーガンの考えを取り入れているため、製品には動物由来の成分や遺伝子組み換え成分が一切含まれていません。CCF認証を獲得しています。
ほかにも、クルエルティフリーを宣言しており、製品を入れる容器はリサイクル可能なボトルを利用した、環境に配慮した取り組みが特徴です。
trilogy(トリロジー)
ニュージーランドで生まれのtrilogy(トリロジー)は、オーガニック認証されたローズヒップオイルのコスメブランドです。
社会的責任に対する取り組みが豊富で、幼稚園の募金活動や野生動物の生息環境保護をはじめ、地域社会のサポートを積極的に行っています。
ケニアとタンザニアという、もっとも貧困な状況にあるエリアで資金援助を行う非営利団体「So They Can」の活動にも携わっており、製品の一部が販売されるごとに団体に寄付する仕組みを作るなど、地球にやさしいエシカルなコスメブランドです。
Jurlique(ジュリーク)
Jurlique(ジュリーク)は、アデレードで誕生した南オーストラリアのコスメブランド。メインの商品は、ヘルシーな肌を大切にする自然由来の成分を使ったフェイスケアアイテムです。
NASAAというオーガニック認証を受けた自社農園で原料を栽培しており、無農薬の有機農法を取り入れています。環境保護における自社の対策は、自家発電。農園では「農地で使う水を雨水にする」「ソーラーパネルを設置する」などの取り組みを行っています。
マイバッグの持参を呼びかけており、再生コットンのオリジナルバッグの販売をすることで、環境にやさしい素材を提供しています。
エシカルコスメを購入する際の注意点2つ
エシカルコスメを購入する際は、以下の2点に注意してください。
- 全員の肌に合うわけではない
- 完璧なエシカルコスメは少ない
それぞれ詳しく説明します。
全員の肌に合うわけではない
エシカルコスメは、自然由来の無添加、無香料の原料を使っているものがほとんどですが、肌に優しい素材を使っているからといって、すべての人の肌に合うわけではありません。
植物由来の成分のため、植物アレルギーのある人は注意が必要です。また、食べ物にアレルギーのある人は、あらかじめコスメの原料にアレルギー成分が含まれていないか確認しましょう。
完璧なエシカルコスメは少ない
エシカルコスメは、普通のコスメと比べて化粧の持続性が低いというデメリットがあります。自然由来の成分を使うからこそ、肌に優しい点はメリットでもありますが、化粧を何度も直す必要があり、面倒に感じてしまう人もいるかもしれません。
おすすめは、自分の目的に合わせてコスメを使い分けること。完璧なエシカルコスメは少ないという事実を、きちんと把握しておきましょう。
コスメだけじゃないエシカルな選択肢3つ
ここからは、エシカルコスメを利用する以外のエシカルな活動について紹介します。
- コスメの数を減らしてみる
- 生活習慣で肌の状態を改善する
- スキンケアコスメを手作りしてみる
それぞれみていきましょう。
コスメの数を減らしてみる
自分が今持っているすべてのコスメの数を把握していますか?
エシカルコスメ以外のコスメは、化学製品を使っていたり、製品開発過程で動物実験をしたりしています。そうした活動に賛同しないという意味でも、利用するコスメの量を減らしてみましょう。
コスメを減らし素肌の時間を増やすことは、自分の肌にとってメリットになります。
生活習慣で肌の状態を改善する
スキンケア商品をたくさん使って肌の調子を整えることも大切ですが、肌トラブルの根本的な原因は生活習慣の乱れがほとんどです。生活習慣の改善で、肌の状態がよくなる可能性もあるでしょう。
生活習慣を整えることで肌の状態を改善すれば、スキンケアに頼らず肌の手入れができます。早寝早起きを心がけたり、ビタミンを多く取ったりするなどの生活を始めてみましょう。
スキンケアコスメを手作りしてみる
実はスキンケアコスメは、キッチンにあるもので簡単に作れます。
自分でコスメを作ることで、防腐剤や化学製品など、気になる成分を取り除いた無添加コスメに仕上げられますよ。エシカルなスキンケアコスメをリーズナブルに作れるというメリットもあるため、一度試してみてください。
エシカルコスメでオシャレな環境保全を楽しもう
本記事では、エシカルコスメについて、オーガニックコスメやナチュラルコスメとの共通点・相違点について説明しました。
さらに日本発、韓国発、欧州発、オセアニア発と、エシカルコスメの種類の多さに圧倒されたのではないでしょうか。
意識を高め、自分の気に入ったエシカルコスメを試してみてくださいね。