PCにかかる消費電力はどのくらい?確認方法や節約術8選も

ライフハック

ここ数年、コロナ禍を機にリモートワークを取り入れる会社が増え、自宅でPCを使うようになった人も多いはず。通勤が楽になった一方で、「電気代が高くなった」と悩む人もいるのではないでしょうか。

PCの消費電力は、数十~数百W(ワット)と種類や動作によって幅があるものの、電気代に換算すると1時間あたり数円程度です。大した金額ではないように見えますが、毎日何時間もつけっぱなしで過ごせば、年間の電気代に大きく上乗せされかねません。

しかし、ちょっとした工夫でPCの消費電力は抑えられます。本記事では、PCにかかる消費電力・電気代の目安と、抑えるための節約術をたっぷりと紹介。どれほど電力を消費しているか簡単に調べる方法も解説するので、参考にしてみてください。

PCの消費電力とは

電源をコンセントにつないでPCを使用すると、電力を消費して電気代がかかります。この消費する電力量が、消費電力と呼ばれるものです。

消費電力はW(ワット)という単位で表し、W数が大きくなるほど電気代も比例して高くなります。つまり、消費電力を少なくすれば、電気代も安く抑えることが可能です。

PCの使用によってどれほどの電気代がかかるのか知りたいときは、消費電力を用いて計算できます。

電気代の計算方法

PCの消費電力から電気代を計算するときは、下記の式に当てはめましょう。

電気代(円)=消費電力(W)÷1,000×使用時間(h)×電力単価(円/kWh)

電気代は、W(ワット)ではなくkW(キロワット)で計算するため、消費電力を1,000で割っています。(1kW=1,000W)

電力単価は、契約している電力会社や利用しているプランによってさまざまなので、電力会社の公式サイトに掲載されている料金表などで確認しましょう。

【種類別】PCの消費電力&電気代

PCは主にノート型・デスクトップ型・ゲーミング型の3つに大きく分類されます。それぞれ消費電力には差があるため、ここでは種類別の消費電力および電気代を見ていきましょう。

なお、家電公取協が目安単価と定める「31円/kWh(税込)」を電力単価として計算します。

ノートPC

同じノートPCでも消費電力は異なるので、使用しているPCの仕様書をチェックしましょう。今回は下記のメーカー・商品を例に挙げてご紹介します。

富士通:LIFEBOOK AH50/H1
hp:15-ew0000TU
NEC:N1570/FA
※すべて15.6インチ

メーカー富士通hpNEC
消費電力標準時:約8W標準時:約4W標準時:約8.1W
最大時:約74W最大時:約65W最大時:約65W
1時間あたりの電気代最小:0.24円最小:0.12円最小:0.25円
最大:2.29円最大:2.01円最大:2.01円
12時間使用した場合の電気代2.97~27.52円1.48~24.18円3.01~24.18円
24時間使用した場合の電気代5.95~55.05円2.97~48.36円6.02~48.36円

※小数点第三位以下は切り捨て
出典:15.6型ワイド ノートパソコン LIFEBOOK AHシリーズ:仕様|富士通HP ENVY x360 15-ew0000|hpLAVIE N15(カタログモデル)の仕様について|NEC

上記を見ると、ノートPCのおおよその消費電力は、標準時で4~8W、最大時で65~74Wほど。標準時とは、周辺機器を接続せず、ACアダプターを使用して起動しているときのことです。

この結果から、ノートPCを24時間起動していると、約3~55円の電気代がかかることがわかりました。

デスクトップPC

デスクトップPCの消費電力と電気代は、下記のメーカー・商品を参考に紹介します。

富士通:FMVF77G3B
hp: 24-df0043jp
NEC:A2377/GAB
※すべて23.8インチ、オールインワン型

メーカー富士通hpNEC
消費電力標準時:約29W標準時:約28W標準時:約29W
最大時:約96W最大時:約120W最大時:約90W
1時間あたりの電気代最小:0.89円最小:0.86円最小:0.89円
最大:2.97円最大:3.72円最大:2.79円
12時間使用した場合の電気代10.78~35.71円10.41~44.64円10.78~33.48円
24時間使用した場合の電気代21.57~71.42円20.83~89.28円21.57~66.96円

※小数点第三位以下は切り捨て
出典:23.8型ワイド デスクトップパソコン ESPRIMO FHシリーズ:仕様|富士通HP All-in-One 24-df0000jp|hpLAVIE A23(カタログモデル)の仕様について|NEC

デスクトップPCの消費電力は、標準時が30W弱、最大時が約90~120W。ノートPCと比べると、より多くの電力を消費することがわかります。

その結果、24時間使用した場合の電気代は20~90円ほど。1ヶ月(30日)なら600~2,700円と、大きな出費になります。

ゲーミングPC

ゲーミングPCは、商品によって性能面での個体差が大きく、消費電力においても幅が広いです。ここでは下記メーカー・商品の消費電力をもとに電気代を算出しますが、使用中のPCと大きく異なるかもしれません。ぜひ仕様書に記載の消費電力で計算してみてください。

富士通:ESPRIMO WD2/G3
hp: OMEN 16-k0000
NEC:GX750/EAB
※すべてCPUはインテルR Core? i7-12700

メーカー富士通hpNEC
消費電力標準時:約10W標準時:約15W標準時:約20W
最大時:約264W最大時:約280W最大時:約362W
1時間あたりの電気代最小:0.31円最小:0.46円最小:0.62円
最大:8.18円最大:8.68円最大:11.22円
12時間使用した場合の電気代3.72~98.20円5.58~104.16円7.44~134.66円
24時間使用した場合の電気代7.44~196.41円11.16~208.32円14.88~269.32円

※小数点第三位以下は切り捨て
出典:27型/23.8型/21.5型 デスクトップパソコン ESPRIMO DHシリーズ:仕様|富士通OMEN by HP 16-k0000 (インテル)|hpLAVIE GX(カタログモデル)の仕様について|NEC

ゲーミングPCの標準時の消費電力は約10~20Wで、ノートPCとデスクトップPCの中間あたりです。しかし最大時の消費電力については、約264~362Wと圧倒的に大きく、ノートPCの4~5倍ほど。

半日の使用でも、1日あたり100円前後の電気代がかかる可能性があります。

PCの消費電力が大きくなるタイミング

PCの消費電力は常に一定なわけではなく、操作や使用状況によって変動します。特に大きく電力を消費するタイミングは以下のとおりです。

  • PCを起動・シャットダウンするとき
  • 高画質な動画を視聴するとき
  • 高グラフィックのオンラインゲームをするとき
  • 動画編集・画像加工を行うとき
  • 複数のアプリを使用するとき
  • 複数のディスプレイを使用するとき

これらの操作で消費電力が大きくなることを頭に入れておき、1日の使用時間を決める、起動したまま放置しないなど意識しましょう。

PCの消費電力を抑える節約術8選

PCの消費電力は、少し設定を変えたり使い方を工夫したりするだけで、グッと抑えられます。1日ではそこまで変わらなくても、年単位で見れば大きく電気代を削減できるでしょう。

ここでは8つの節約術をご紹介します。

画面の明るさを調節する

PCの使用においては、ディスプレイ(画面)の消費電力が大部分を占めています。とはいえ、ディスプレイを映さずにPCを使用することはできません。

ここで重要なのが、画面の明るさです。Microsoft社の調査では、画面の明るさを100%から40%に下げた場合、約23%節電できるという結果が出ています。

設定から簡単に調節できるので、作業に支障のない範囲で下げてみてください。

スリープ機能を活用する

PCには、いつでも作業が再開できるよう一時的に内容を保存し、低消費電力で待機する「スリープ」機能が搭載されています。

シャットダウンで完全に電源を落とした場合と比べると、スリープ時のほうが待機電力は高いです。ただし、「シャットダウン+起動」の消費電力は大きく、短時間の離席ならスリープのほうが節電できる場合があります。

具体的には、90分以内の再開であればスリープを活用したほうがお得です。

省電力プランを選択する

省電力プランは、PCのパフォーマンスは下がる反面、消費電力を抑えられます。設定を変更したいときは、コントロールパネルで「電源オプション>電源プランの作成」と進み、省電力を選択してください。

さらにWindowsでは、自動でディスプレイの電源を切る、またはスリープ状態にするまでの時間を自由に設定できます。短めに設定しておくと、電源を消し忘れた際に消費電力を最小限に抑えられるでしょう。

通気口をこまめに掃除する

PCには、本体が熱くなりすぎないよう冷却ファンが内蔵されています。ファンが回ることで、通気口から冷たい空気を取り込み、内部の熱を逃がす仕組みです。

通気口にゴミや埃が溜まっていると、内部の熱が下がりにくくなり、通常よりもファンの稼働時間が増えて消費電力が大きくなります。うまく放熱できない状態が続くと、PCの故障に繋がる恐れもあるので、こまめに通気口を掃除しましょう。

PCの周りにものを置かない

通気口をきれいに掃除していても、PCの周りにものが溢れていると、冷却ファンの空気循環の妨げになる可能性があります。特に通気口付近に本を積み上げていたり、卓上ラックなどを置いていたりすると、PCの熱を逃すことができません。

常にPC周りはスッキリさせて熱がこもらないよう注意し、余計なファン稼働を減らして消費電力を抑えましょう。

使わないときはプラグを抜く

PCをシャットダウンして電源を切っておけば、消費電力は0になると考えている人もいるかもしれません。ところが実際には、電源プラグをコンセントにつなげている間は、少なからず電力を消費します。

これは「待機電力」と呼ばれ、PCに限らずほとんどの電化製品で発生するものです。年間で見てもそれほど大きな出費にはなりませんが、1円でも安くしたいのであれば、使わない間は電源プラグを抜いておくといいでしょう。

新しいPCに買い替える

PCの節電機能は年々進化しており、最新のPCに買い替えるだけで節電できる場合があります。

少し前の調査ですが、2006年のWindows XP搭載PCと、2013年のWindow 8搭載PCを比較した結果、デスクトップPCなら約50%、ノートPCなら約30%も消費電力が減少。それから10年経った現在は、さらなる減少が見込まれます。

初期コストはかかるものの、長期的に見れば節約に期待できるでしょう。

電力会社やプランを見直す

PCにかかる電気代を安くするうえで、消費電力のほかに電力単価も大きく影響します。

電力単価は、1kWh(1kWの電力を1時間消費したときの電力量)あたりの単価(円/kWh)のことで、電力会社やプランごとに設定はさまざまです。そのため、より安い単価の電力会社に切り替えたり、プランを変更したりすれば、今よりも電気代を安くできます。

生活全体の電気代節約にも繋がるので、これを機に見直してみるといいかもしれません。

PCの消費電力の調べ方

PCの消費電力は随時変動するため、リアルタイムでどれほどの電力を消費しているかについては、仕様書を見ても参考になりません。

以下に自分で消費電力を調べる方法を2つご紹介するので、目的に合わせて試してみてください。

ざっくり確認するなら「タスクマネージャー」

Windows10以降のタスクマネージャーにおいて、起動中のプログラムごとの消費電力を一覧表示できるようになりました。

表示方法は、「Ctrl+Shift+Esc」を押してタスクマネージャーを開くだけでOK。「簡易表示」になっている場合は、下部にある「詳細」をクリックしてすべて展開しましょう。

プロセスウィンドウの「電力消費」の列を見ると、「低」「非常に高い」といった表示が出ているので、高い表示が多いと多くの電力を消費していると判断できます。

正確に計測したいなら「ワットチェッカー」

タスクマネージャーでは、どのプログラムが電力を大きく消費しているかはわかりますが、実際の消費電力の数値まではわかりません。より正確に計測したいという人は、ワットチェッカーの使用がおすすめです。

一般的なワットチェッカーは、本体をコンセントに差し込み、そこにPCのプラグを繋げて使います。こうすることで、繋げたPCの消費電力を数値化して確認することが可能です。

PC以外の家電製品にも使えるので、ぜひ購入を検討してみてください。

PCの消費電力を抑えるならつけっぱなしは避けよう

PCの消費電力は種類によって異なるものの、どのPCを使っていたとしても、起動している間は消費電力がかかります。いちいちシャットダウンするのが面倒だからと、そのまま何時間もつけっぱなしにすると、操作の有無に関わらず使用電力量はかさむ一方です。

1日あたりの電気代を見てもそこまで高く感じないかもしれませんが、年間にすれば大きな出費にもなり得るでしょう。

少しでも消費電力を抑えて節約したいなら、本記事で紹介した節約術も参考にしつつ、まずは電源の消し忘れに気を付けましょう。

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