冷蔵庫の引越しは、多くの人にとって引越し時の悩みのひとつです。適切な運搬方法や事前準備について把握しておかないとトラブルが生じる可能性もあるため、確認しておきたいという方は多いでしょう。
一度知ってしまえば、むずかしいことはありません。この記事では、準備・運搬・設置について分かりやすくご紹介します。「とりあえず運べれば大丈夫」といった方もなかにはいますが、冷蔵庫の引越しにはいくつかの注意点があります。
ということで本記事では、冷蔵庫を引越しする際のガイドを含め、注意点についてもお伝えします。料金や処分方法についても解説するので、気になる項目だけでもチェックしてみてください。
冷蔵庫を引越しする前の準備
引越しで冷蔵庫を移動するときは、引越し日より以前に準備をしておくことが大切です。
ここでは、事前準備の手順を3つに分けて説明します。特に、電源を切り忘れることは故障の原因につながることもあるので注意しましょう。
手順1:冷蔵庫の中を空にする
冷蔵庫の中身をそのままにしていると、基本的には運搬してもらえません。
自分で冷蔵庫を運ぶ場合も、コンセントを抜いた時点で冷却状態を維持できなくなるため、中の食材が腐ってしまいます。また、運搬時に冷蔵庫の中に入っているものが出てきてしまう可能性も考えられるので、冷蔵庫の中は空の状態で綺麗に掃除しておきましょう。
冷蔵庫の中身を片付けるときは、1〜2週間前くらいの早い日程から計画を立てて片付けていくと、前日や当日に焦ることがなくおすすめです。
手順2:前日までに電源をオフにする
冷蔵庫は、引越しの前日までにコンセントを抜き、電源をオフにすることが必要です。
冷蔵庫の電源がオンの状態だと、内部の冷却機が稼働しているため冷却機のまわりに霜がつきます。電源がオフになると霜は溶けていきますが、短い時間では完全に溶かせません。
季節によって溶ける時間が異なるので、冬場に冷蔵庫の引越しをする場合は特に早い段階で電源をオフにしておきましょう。
当日ではダメな理由
冷蔵庫の電源をオフにするのが当日ではダメな理由は、運搬中に水漏れを起こす可能性があるからです。
霜が完全に溶けるまで時間がかかり、当日に電源をオフにして運搬すると、水抜きがしっかりとできずに運搬中に冷蔵庫から水が漏れ出る可能性があります。
新しい型の冷蔵庫であれば、霜取り機能がついているものもあるので、機能がついているかどうかを取扱説明書で確認しておくと良いでしょう。
手順3:霜取りと水抜きを行う
電源をオフにして霜を溶かすことを「霜取り」といい、溶けた水を抜くことを「水抜き」といいます。
冷蔵庫の電源をオフにして霜が溶けたあとは、溶けて蒸発皿に溜まった水を抜かなければいけません。水抜きをするときは、水が床にこぼれたり跳ねたりすることがあるので、冷蔵庫の周辺にタオルや雑巾などを敷いてから行いましょう。
蒸発皿の場所は、冷蔵庫の機種によって異なります。引越し日の間近に焦ることがないように、事前に確認しておくことがおすすめです。
水抜きを忘れると運搬時に水漏れが発生する
水抜きを忘れると蒸発皿に溜まった水が漏れ出て、一緒に運搬したものを漏れた水で濡らしてしまう可能性があります。電気製品を濡らすと故障の原因にもなりかねないので、事前に水抜きを必ず行うようにしてください。
なるべく早いうちに霜取りを行い、水抜きがおろそかにならないように気をつけましょう。
冷蔵庫の引越しを自分で行う場合の運搬方法
冷蔵庫は安いものではないため、自分で運搬するときに誤った運搬方法で冷蔵庫を壊してしまわないか心配になりますよね。
ここでは、自分で冷蔵庫を運搬するときの方法を3つの手順に分けて説明します。些細なことでも故障する原因になりかねないので、運搬方法をしっかりと確認してください。
手順1:ドアや中のトレイをテープで固定
冷蔵庫の運搬を行うときは、運搬中にドアが開くことや中のトレイが移動することを防ぐために、テープで固定しておきましょう。
運搬中にドアが開くと、通路の壁を傷つけたりドア自体が破損したりすることが考えられます。運んでいる人が危険な目に合う可能性もあるため、必ずドアの固定をしてください。また、中のトレイを固定しておかないと、運搬中にトレイが移動し破損することがあります。
引越し当日は作業が多いので、引越しの前日までに準備しておくことがおすすめです。
手順2:古い毛布やタオルで冷蔵庫を包む
運搬の際に壁やドアにぶつかって傷や破損がないように、使わなくなった古い毛布やタオルで冷蔵庫を包んでおきましょう。
冷蔵庫は、小さいものでもそれなりの大きさと重量があるため、ぶつけたときに高確率で傷ができやすいです。冷蔵庫が壊れてしまう可能性もあるので、緩衝材代わりとしてしっかりと包みましょう。
毛布やタオルで冷蔵庫を包むときはしっかりと固定し、ずれたりほどけたりしない状態で運ぶようにしてください。
手順3:立てたまま運び出す
運搬時は横に寝かさず、立てたまま運び出すようにしましょう。立てたまま運び出すことはひとりではとてもむずかしいため、ふたり以上で行うようにしてください。
トラックに乗せて運ぶときも、必ず立てたまま積み込みます。その際は、倒れるのを防止するためにロープなどで冷蔵庫を固定してください。
運び出す間の通路が狭い場合や階段の上り下りで一時的に斜めにするのは問題ありませんが、できる限り真横に倒さないように気をつけましょう。
寝かせてはダメな理由
冷蔵庫を寝かせてはダメな理由は、冷蔵庫が故障する原因になる可能性があるからです。冷蔵庫を寝かせた状態にすると、振動などにより冷蔵庫のコンプレッサー内のオイルが冷却システムに流れ込み、故障することがあります。
どうしても寝かせて移動する必要がある場合は、冷蔵庫を設置後30分〜1時間以上経ってからコンセントを差すようにしましょう。
引越し先での正しい冷蔵庫の設置方法
「冷蔵庫を設置する場所はどこでもいいの?」「設置するときに気をつけなければいけないことはあるのだろうか」
そういった疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、引越し先で冷蔵庫を設置する正しい方法について説明します。知らないと冷蔵庫の故障につながる項目もあるので、冷蔵庫の正しい置き方をしっかりと確認していきましょう。
手順1:設置場所を決める
冷蔵庫を設置するためには、まずどこに設置するのか場所を決める必要があります。設置場所として選ぶポイントは、以下の5点です。
- 床が水平できしまない
- 熱気や湿気が少ない
- 冷蔵庫の転倒防止グッズが使用できる
- 直射日光が当たらない
- テレビやラジオから離れている
上記のポイントを満たしている設置場所が決まったら、壁から少し隙間を空けて冷蔵庫を設置します。壁との隙間を空けるのは、冷蔵庫の放熱による発火を防ぐためです。
冷蔵庫は一度設置すると、大きさと重さで移動するのが困難なため、最初に明確な設置場所を決めておきましょう。
手順2:30分ほど時間を置いてからコード類を接続
引越し先に冷蔵庫の設置が完了したあとは、電源コードなどのコード類は繋がずに30分ほど時間を置いてください。運搬時の傾きや振動により冷蔵庫内部の冷却液などが不安定になっていて、すぐに電源コードをつなぐと壊れてしまう可能性があります。
メーカーによっては、取扱説明書などに運搬後すぐに電源を入れても良いと表記されている場合もありますが、念のため設置後はすぐに電源をオンにしないように気をつけましょう。
30分以上経過したあとは、電源コードをつなぎ、漏電を防ぐためにアースを取りつけるようにしてください。
手順3:冷蔵庫が冷えるまで4〜5時間待つ
コンセントを差し込んでから冷蔵庫の中が冷えるまで、だいたい4〜5時間かかります。その間に食材を冷蔵庫の中に入れると腐ってしまうことがあるので、冷蔵庫の中が完全に冷えるまでは食材を入れないようにしましょう。
また、ドアの開閉が多いと冷蔵庫内を冷やす効率が下がります。極力開閉は控え、冷えるのを待ってください。
冷蔵庫が冷えるまでの時間は、季節によって変わります。冬場なら2〜3時間、夏場なら10時間以上かかる場合もあり、特に夏場は食材の購入タイミングに気をつけましょう。
冷蔵庫の引越しを行う際の注意点
家電のなかでも大きくて重量のある冷蔵庫。引越しを行う際には、注意しなければいけない点がいくつかあります。
ここでは、冷蔵庫を運ぶ際に気をつけるべき項目を集めました。搬入時のトラブルやケガを防ぐためにも、しっかりと内容を確認しましょう。
引越し先の搬入経路を確認しておく
引越しで冷蔵庫を運ぶ際は、引越し先の搬入経路を確認しておくことが大切です。
サイズが大きい冷蔵庫だと、搬入時に大きすぎて設置場所まで運んでいくことができない可能性があります。場合によってはクレーンでの吊り上げ作業が必要になるケースもあるため、事前に冷蔵庫が搬入できるかどうかを確認しておきましょう。
ほかにも、引越し先にエレベーターがない場合、階数によっては追加で料金が発生するパターンもあります。急な出費や搬入ができないなどのトラブルに合わないために、必ず搬入経路は確認してください。
複数人で運搬するようにする
冷蔵庫をひとりで運ぶのは、大きさや重量的にもとてもむずかしいです。そのため、ひとりではなく複数人で冷蔵庫を運搬するようにしましょう。
冷蔵庫を運ぶときは、冷却液が漏れてしまわないように立てて運ばなければいけません。冷蔵庫は構造上、上側より下側のほうが重い造りになっているため、階段を利用する際は慎重に運ぶ必要があります。
ケガや冷蔵庫の故障などを防止する意味でも、運搬時は複数人で行うようにしてください。
ケガや事故に気を付ける
冷蔵庫を運ぶときは、無理して持ち上げたり落としたりしないように注意しましょう。無理をすると、体を壊したり階段で落として思わぬ事故につながったりすることも考えられます。
できる限り安心して運搬できるだけの人数を集め、慎重に冷蔵庫の搬入を行いましょう。特に、腰が痛くなりやすい人は、重いものを持つことでかなりの負担がかかってしまうため、配送員などのプロに任せることをおすすめします。
冷蔵庫の引越しを業者に依頼する際の料金
冷蔵庫の引越しを業者に依頼する際の料金は、業者によって異なります。料金の考え方としては、だいたい冷蔵庫のサイズが大きくなるごと・引越し先の距離が長くなるごとに料金が高くなると考えて良いでしょう。
料金の相場は、引越し業者でおおよそ15,000〜20,000円くらいのところが多いようです。引越し業者は、繁忙期だと料金が上がるので、なるべく料金を安く抑えたいのであれば閑散期に依頼するようにしましょう。
お金や手間がかかる場合は買い替えも検討
引越し先の距離が遠い場合や冷蔵庫自体が古い場合、買い替えを検討することもひとつの手です。
古い冷蔵庫を処分して新しい冷蔵庫に買い替えることで、運搬について悩む必要がなくなり、さらに新しい冷蔵庫の省エネ性能により電気代がオトクになる可能性があります。
購入してからある程度年数が経っている、運搬で結構な費用がかかるのであれば、一度買い替えを検討してみてください。
引越しを機に。古い冷蔵庫を処分する方法
冷蔵庫は「家電リサイクル法」によって処分の方法が決められているため、定められた方法で処分しなければいけません。
比較的新しいものであれば買取もできますが、古いものになるとリサイクル料金を支払って回収してもらう必要があります。自治体の粗大ゴミとしては回収ができないため、処分を考えている人はしっかりと内容を確認してください。
リサイクルショップに依頼
製造5〜10年以内で冷蔵庫の状態が良ければ、リサイクルショップで買取ができる可能性があります。メーカーや型番にもよりますが、製造から3年以内の冷蔵庫なら高い査定がつくこともあるようです。
ただし、使用するうちににおいなどが染みついてしまうと、ある程度新しいものでも買取ができないこともあるので注意してください。
不用品回収業者に依頼
不用品回収業者に依頼をすることで、回収料金のみで冷蔵庫を処分できます。電話やメールで依頼できて、買取ができる不用品回収業者もあるため、処分費用を安くしたい人は不用品回収業者に依頼してみましょう。
注意点は、悪徳な不用品回収業者も存在することです。無許可で回収業務をしている業者や、回収品を不法投棄する業者も存在します。不用品回収業者に依頼する場合は、信頼できる業者を探すようにしましょう。
購入店で回収依頼
購入店で冷蔵庫を処分する場合、回収のためにリサイクル料金が発生します。
リサイクル料金は下記の通りです。
- 170L以下:3,672円
- 171L以上:4,644円
古い冷蔵庫の回収に来てくれますが、運搬料金がリサイクル料金とは別にかかるので注意しましょう。冷蔵庫の購入タイミングと同時に依頼ができ、利用しやすい処分方法です。
自治体に相談
自治体に相談して冷蔵庫を処分する場合、住んでいる地域の「家電リサイクル受付センター」に相談をしましょう。業者を案内されたら郵便局で家電リサイクル券を購入し、案内された業者に依頼することで業者が回収に来ます。
自治体が案内する業者なので安心して利用できますが、家電リサイクル券を事前に郵便局で購入する必要があるので注意してください。
冷蔵庫の引越しは難しくない
冷蔵庫の引越しは、やり方を知っていればむずかしいことはありません。前日までに冷蔵庫の中身を片付け、電源をオフにして霜取り・水抜きを行えば、運搬中の水漏れに悩まされることはほとんどないでしょう。
冷蔵庫は立てて運ばなければいけないうえに、家電のなかではサイズが大きくて重いため、運搬するときにはひとりで行わず、複数人で運ぶようにしてください。古い型で運搬に思った以上の費用がかかる場合は、新しい冷蔵庫の購入を検討してみましょう。
引越しの際は、自分に合った方法で冷蔵庫を運搬または処分してくださいね。