引っ越し時に必要な手続きのひとつとして、住民票の移動があります。法律で義務化されている手続きなので、引っ越し時には必須。
引っ越し先で手続きすれば大丈夫と思っている方も多いですが、現在と異なる住所に引っ越しする際には、引っ越し前にも手続きが必要です。忘れるとより面倒な事態になってしまうため、まずはしっかりチェックしておきましょう。
本記事では、住民票の移動方法や必要なものについて解説。具体的な期日や、間に合わなかった場合の対処法なども紹介するので、まだ手続きができていないという方は参考にしてみてください。記事の後半では、住民票以外に必要な手続きについても記載しています。
引っ越しの際には住民票の移動が必要
引っ越しの際には、住民票はを移動しなければいけません。期間内に手続きを行わないと罰金を課せられる可能性があります。
しかし、場合によっては移動しなくてよいケースもあるので、ルールを把握し、自分にとって必要な行動をとりましょう。
期限は引っ越し日から14日以内
住民票を移動する期限は、引っ越し日から14日以内と定められています。14日を過ぎると移動する意思がないとみなされ、5万円以下の罰金が課せられる恐れがあるので、注意しましょう。
14日を過ぎても移動はできますが、あまりに長い期間が経過している場合は、窓口で状況を確認される可能性があります。なるべく早く手続きを済ませることが大切です。
引っ越し前から移動することを念頭に置き、計画的に手続きを行いましょう。
正当な理由があれば移動をしなくてもよい
基本的には住民票を移動しないといけないですが、正当な理由があれば移動しなくてよい場合があります。以下、2つのケースです。
- 単身赴任など、新住所に住む期間が1年未満の場合
- 進学などで定期的に実家に帰るなど、旧住所を拠点とする場合
上記のケースに該当すれば、例外として住民票の移動をしなくてもよいとされています。自分が該当しているか判断できない方は、役所に確認してみましょう。
現在と異なる市区町村へ住民票を移動する方法
現在と異なる市区町村へ住民票を移動する場合、転入届に加えて転出届を出す必要があります。
ここでは、手続きの手順や必要なものなどを解説。知っておくとスムーズに手続きを進められるので、ぜひ参考にしてください。
引っ越し前に転出届を出す
異なる市区町村へ引っ越す場合は、引っ越し前に転出届けを出さなければいけません。転出届は引っ越し日の14日前から提出可能です。引っ越し日を過ぎても出せますが、転出届は旧住所を管轄する役所でしか出せないことは、把握しておきましょう。
届け出が受理されると、転出証明書が発行されます。転入届を出す際に必要になるので、必ず大切に保管しましょう。
また、転出届は郵送で提出し、転出証明書を返送してもらう方法もあります。役所に行けない場合に便利な方法です。
必要なもの
転出届を出す際に必要なものは以下の通りです。
- 本人確認できるもの(免許証やマイナンバーカードなど)
- 認印
- 国民健康保険証、(加入している場合)
- 後期高齢者医療被保険者証、介護保険証など(交付を受けている方)
- マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード
オンラインでの手続きも可能
2023年2月より、マイナポータルを用いたオンラインで転出届の提出が可能になりました。役所に行くことなく、ネット上で手続きが完了します。
正確な情報を入力するために住民票の写しが手元にあると、手続きがスムーズです。
自治体が対応していない、マイナンバーカードの情報を更新していない、世帯が異なる人を申請するなど、申請できないケースがあるので、自分がオンライン手続きできるか確認しておきましょう。
引っ越し先で転入届を出す
引っ越し先で転入届けを出すことで、住民票の移動が完了します。転出証明書が必要なため、必ず事前に転出届けを出しておきましょう。
転入届は引っ越し日から14日の間に出さなければいけません。引っ越し前に出せない点には注意です。
転出届と異なり、原則として郵送での提出は受け付けていません。役所に出向いて手続きをする必要があります。役所での手続きは、比較的スムーズに終わることが多いです。ただし、時間帯によっては混在するので、混雑状況を確認して行くことをおすすめします。
必要なもの
転入届を出す際に必要なものは以下の通りです。
- 本人確認できるもの(免許証やマイナンバーカードなど)
- 認印
- 国民健康保険証(加入している場合)
- 後期高齢者医療被保険者証、介護保険証など(交付を受けている方)
- マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード
- 転出証明書(オンライン申請の場合はマイナンバーカード)
オンラインでの手続きは不可
転入届はオンラインでの手続きに対応していません。新住所を管轄する役所に出向き、対面で手続きする必要があります。
マイナポータルから転入届の提出はできないですが、そのための来庁予約が可能です。予約することで待ち時間を短縮できます。混雑時は受付の順番を待つ場合があるので、注意しましょう。
現在と同じ市区町村内で住民票を移動する方法
現在と同じ市区町村内で住民票を移動する場合、管轄する役所に転居届を出すだけで手続きが完了です。異なる市区町村に引っ越す場合と異なり、役所での手続きが1回で済みます。
手続きのタイミングは、引っ越し日から2週間以内です。事前に提出できないので、注意しましょう。
必要なものは以下の通りです。
- 本人確認できるもの(免許証やマイナンバーカードなど)
- 認印
- 国民健康保険証(加入している場合)
- 後期高齢者医療被保険者証、介護保険証など(交付を受けている方)
- マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード
転居届の場合、オンラインでの提出はできませんが、マイナポータルから来庁予約が可能です。スムーズに手続きを進めるため、利用してみてはいかがでしょうか。
申請期日を過ぎるとどうなる?
申請期日を過ぎても住民票を移動しなかった場合、罰金を課せられる可能性があります。期日を守るのは、住民基本台帳法で定められている義務です。
そのほか、選挙で投票できない、確定申告できない、転校手続きができないなど、さまざまなデメリットが生じます。
申請期日を過ぎても、住民票の移動は可能です。遅くなるほどリスクが大きくなるので、できる限り早く移動の手続きを行いましょう。
期日を過ぎた際の対処法
期日を過ぎた場合、急いで移動の手続きを進めてください。転出日をごまかして虚偽の申請をすれば、住民基本台帳法により罰則が課せられる可能性があります。
「住民票をそのままにしていてもばれないのではないか」と考える方もいるかもしれないですが、公的な書類が届かないなど、何かのきっかけで発覚するかもしれません。行政サービスが使えないなどデメリットも多いので、いち早く移動手続きを行いましょう。
住民票以外で引っ越し時に手続きが必要なもの
引っ越しに伴って住所が変更されることで、手続きしなければいけないものがいくつかあります。
ここでは、住民票以外で引っ越し時に手続きが必要なものを紹介。該当しているものがある方は、住民票の移動とあわせて計画的に手続きを行いましょう。
マイナンバーカード
マイナンバーカードを作っている方は、新住所を追記する必要があります。引っ越し先を管轄する役所で変更手続きを行いましょう。
引っ越し日から14日以内に変更手続きを行ってください。期限を過ぎても罰則はないですが、マイナンバーを使った行政サービスが使用できなくなるので注意が必要しましょう。
国民健康保険
自営業者や学生など、国民健康保険に加入している方は、役所で変更手続きが必要です。
同じ市区町村に引っ越す場合は、新住所の役所で変更手続きを行います。異なる市町村に引っ越す場合は、旧住所の役所で国民保険の資格喪失手続きを行ったあと、新住所の役所で、引っ越し日から14日以内に加入手続きを行う必要があります。
国民年金
国民年金は、加入している種別によって手続き方法が異なります。
自営業や無職の方が当てはまる第1号被保険者の場合は、新住所を管轄する役所で、変更手続きをしなければいけません。
会社員などの第2号被保険者の場合は、会社に住所変更届を出せば会社が手続きをしてくれます。扶養家族の第3号被保険者の場合は、配偶者が会社に届出を出せば手続きは必要ありません。
免許証の住所変更
免許証は、新住所を管轄している免許センターか運転免許試験場、警察署で住所変更手続きを行います。場所によって受付時間が異なるので、事前に確認しましょう。
明確な期限はないですが、住所変更を怠ったと判断された場合、道路交通法違反として罰金が課せられる恐れがあります。
住所変更をしないと免許証が本人確認書類として利用できなくなる可能性があるので、速やかに変更手続きを行いましょう。
印鑑登録
印鑑登録は、引っ越し先が同じ市区町村であれば手続きは不要ですが、異なる市区町村に引っ越す場合は手続きが必要です。
旧住所の役所で抹消手続きを行い、新住所の役所で印鑑登録を行います。自治体によっては転出届を出したタイミングで、自動的に印鑑登録が抹消される場合があるので、役所に確認してみましょう。
変更する義務はないですが、引っ越し後は以前の証明が無効になります。必要になったときに備えて、早めに手続きを済ませましょう。
後期高齢者医療保険
住んでいる地域によって違いがありますが、ほとんどの場合は手続きが必要なケースが多いです。引っ越し先が同じ都道府県であれば、手続きは必要ありません。
異なる都道府県に引っ越す場合は、まず旧住所の役所で資格喪失手続きを行います。その際に所有している保険証や認定証は返却してください。新住所の役所で、資格取得の手続きをすれば完了です。後日、新しい保険証が郵送されます。
介護保険
介護保険の保険者は各自治体なので、引っ越しで自治体が変わる場合は手続きが必要です。
旧住所の役所で指定の証明書等を返却し、「介護保険受給資格証」を受け取ります。その後、新住所の役所に資格証を提出。引っ越し日から14日以内に申請を行いましょう。
14日を過ぎると、引っ越し先の自治体で改めて介護認定の申請が必要になり、時間と手間がかかってしまいます。
児童手当
同じ市区町村に引っ越す場合は、住所変更届を提出するだけで手続きは完了です。
異なる市区町村に引っ越す場合は、「児童手当受給事由消滅届」という書類を旧役所で提出します。転出予定日の翌日から15日以内に提出してください。
引っ越し後は管轄する役所で、「児童手当認定請求書」を提出します。こちらも転入した翌日から15日以内に提出しないと、手当を受給できない月が発生してしまうかもしれません。
原付やバイクの住所変更
バイクは排気量によって手続きが異なります。
125cc以下の原付の場合、同一市区町村に引っ越す際は、転居届を提出すれば手続きは必要ありません。引っ越し先が異なる市区町村の場合は、旧住所の役所で「廃車証明書」を発行してもらい、新住所の役所に提出します。
126cc以上のバイクの場合、引っ越す市区町村にかかわらず、管轄の陸運局で変更手続きを行ってください。
ペットの登録事項変更
ペットは種類によって手続きが必要な場合があります。手続きが必要なペットは、犬と特定動物の2種類。特定動物とは人に危害を加える危険性のある動物のことです。
特定動物を飼うことは現在禁止されているので、犬のケースで説明します。同じ市区町村に引っ越す場合は、保健所に届出を出して完了です。異なる市区町村に引っ越す場合は、新住所の役所で変更届を提出しましょう。
引っ越しが決まったら住民票の移動を考えておこう
本記事では、住民票を移動する必要性や方法、住民票以外の必要な手続きを解説しました。
住民票の移動は義務であり、速やかに移動しないとさまざまな不都合が生じることが伝わったのではないでしょうか。
引っ越しの際は住民票の移動以外にも、多くの手続きを同時に進める必要があります。引っ越しが決まった時点で情報を集め、計画的に手続きを進めましょう。申告漏れを防ぎ、期日内に手続きを終わらせられるはずです。