育休中でもふるさと納税ができるのなら、節税対策として利用したいですよね。まず、育休中でもふるさと納税はできます。ただし、育休中の収入の状況によっては、ふるさと納税で損をしてしまうことも。
この記事では、育休中のふるさと納税で損しない方法や注意点、控除を受けるための申請方法などについて解説しています。ふるさと納税のメリットを最大限に活用するためにも、ぜひ参考にしてください。
そもそも育休中にふるさと納税はできる?
育児休業・育児休暇などの育休中でもふるさと納税はできます。そもそもふるさと納税は、誰でも利用できる制度なのです。
ただし、「出産育児一時金」「育児休業給付金」などの出産に関する手当は、年収にカウントされないので注意しましょう。なぜなら、これらの給付金は非課税であり税金の控除が受けられないからです。
1年間(1~12月)で、「出産育児一時金」「育児休業給付金」などの出産に関する手当しか収入がなければ、ふるさと納税をすると損をします。
育休中のふるさと納税は損をする可能性も
そもそもふるさと納税とは、好きな地方自治体を選んで寄付をすると食べ物や日用品などの返礼品が届き、寄付金のうち2,000円を超える部分で、所得税や住民税の控除が受けられる制度です。
例えば10,000円を寄付すると、税金が8,000円安くなります。返礼品の上限額は寄付額の3割程度なので、実質2,000円で3,000円程度の返礼品が貰えるということです。
ただ、育休中などで収入がない年にふるさと納税をすると、損をするので注意しましょう。収入がなければ、控除しようにも税金が発生していないため、全額自己負担となってしまいます。
産休・育休の前後に収入があっても、収入が少なければ、その分控除できる税金も少ないため、控除上限額を確認しましょう。
育休中でも損をしない条件
育休中にふるさと納税をすると損する場合があることを解説しました。損しないように、ふるさと納税を利用するにはどうしたら良いのでしょうか。
育休中でも損をしない条件を紹介します。
育休取得年の年収が201万円以上
ふるさと納税の控除を最大限に受けられる年収の目安は、だいたい201万円超だと言われています。しかし、扶養者控除や医療費控除などの有無によっては、201万円超の年収があっても損をする場合もあるので注意しましょう。
損しないためにも、ふるさと納税サイトなどでシミュレーションを行い、控除上限額がいくらなのか知ることが大切です。
例えば、控除上限額が13,000円だったら、15,000円の寄付が可能。寄付額の3割である4,500円程度の返礼品と、13,000円の控除が受けられます。この場合は、自己負担2,000円を加味しても、メリットがあると言えるでしょう。
育休明けにふるさと納税するのもあり
育休明けにふるさと納税をするのもありです。ふるさと納税において、所得税よりも控除額の大きい住民税は、ふるさと納税をした翌年分から控除されます。
育休明けの年の年収で控除上限額が決まるため、育休中にふるさと納税をするよりも控除額が大きくなることもあるのです。育休明けの年の年収がある程度多い場合は、育休明けにふるさと納税をするとよいでしょう。
育休中にふるさと納税する際の注意点
育休中でもふるさと納税ができること、損しないための条件について解説しました。ほかに何か気を付けたほうが良いことはあるのでしょうか。
育休中にふるさと納税をする場合の注意点を紹介します。
1年以上育休すると住民税控除は受けられない
1年以上の育休を取得すると、収入が全くないことも多いでしょう。収入がなければ、その年の所得税はもちろん、翌年の住民税も発生しません。
翌年に復職する予定でも、育休明けの年の住民税は0円となり、住民税の控除は受けられないのです。住民税は、その年の収入ではなく、前年の収入を元に計算されていることに、注意しましょう。
控除上限額を超えないよう注意する
育休中は、年収が普段と変わることがほとんどのため、控除上限額を超えないように注意しましょう。特にボーナスは年収に大きく影響があるため、育休中のボーナスの有無も重要です。
いつもの年収をイメージしてふるさと納税を行うと、控除上限額を超えてしまい、予想外の自己負担額が発生する場合があります。育休を取得する年の年収がどのくらいなのか、しっかり確認しましょう。
医療費控除や手当金の計算を間違わない
医療費控除を利用する場合は控除上限額が下がることや、出産にかかわる手当金が年収として計算できないことに注意しましょう。
出産費用や妊婦検診の費用は医療費控除の対象です。医療費控除を利用すると、その分控除上限額が下がります。また、出産手当金や、育児休業給付金・出産一時金などの手当ては非課税であり、その年の年収に含めることはできません。
これらの計算を間違えないようにしましょう。
ふるさと納税の申請は2種類
ふるさと納税の控除を受けるためには、以下の2種類の方法のどちらかで申請が必要です。
- 確定申告
- ワンストップ特例制度
これから2種類の申請方法について詳しく解説します。
確定申告
「確定申告」とは、1月から12月までの所得に対する税金を計算して、税務署に申告する手続きのことです。
もともと確定申告が必要な人や、寄付先が6自治体以上の場合、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を送付していない自治体がある場合などは、確定申告にて申請をします。
翌年の2月16日~3月15日頃に確定申告書類を作成し、「寄付金受領証明書」などと一緒に、税務署へ提出しましょう。
ワンストップ特例制度
「ワンストップ特例制度」とは、確定申告をしなくても控除が受けられる仕組みのことです。手続き方法は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を含む必要書類を、寄付したすべての自治体に送るだけ。
1年間に寄付先は5自治体以内に限られているので注意しましょう。また、ワンストップ特例制度では全額が住民税から控除されます。所得税と住民税から控除される確定申告の方がお得な気がしますが、控除額は同額です。
控除額の計算はシミュレーションがおすすめ
控除上限額を知りたいときは、ふるさと納税サイトなどでシミュレーションを行うことをおすすめします。家族構成や、保険料・控除額などを考慮してシミュレーションできるサイトもあるため、計算間違いが起こりづらいです。
正しい控除上限額を知って、損しない範囲でふるさと納税を利用しましょう。
育休中のふるさと納税は年収に注意
育休中でもふるさと納税は利用できます。ただし、育休中は普段より年収が低くなりがちであり、さらに「出産育児一時金」「育児休業給付金」などの出産に関わる手当は収入にカウントできません。
普段の年収の感覚でふるさと納税をすると、税金控除が受けられず損してしまうこともあります。シミュレーションをしっかりと行い、控除上限額の範囲内でふるさと納税を利用しましょう。