コンサートや動画などで楽器の音色を聴くと、知らない楽器がたくさん出てきますよね。
楽器の種類にはさまざまあり、分類の仕方や、音が出る仕組みを知ってみると面白いものですよ。せっかくの演奏を聴いても、楽器について知らないままだと良さも半減してしまいます。
この記事では、楽器の分類や代表的なものの特徴、初心者でも始めやすい楽器などを紹介するので、ぜひ最後まで読んで、楽器についての理解を深めてみてください。
楽器は大きく4種類に分けられる
楽器は、大きく分けると4種類あります。
ここでは、楽器の特徴を分類別に解説していくので、どのように分けられているのか仕組みを知ってみてください。
鍵盤楽器
鍵盤楽器とは、名の通り鍵盤を動かして演奏する楽器の総称です。
ピアノ、オルガン、シンセサイザーなど種類はさまざまですが、白と黒で構成された鍵盤の並びはほぼ同じに作られています。
鍵盤楽器の発音源(鍵盤と何が繋がって音を出すのか)は、大きく分けて以下の3種類です。
- 弦を使うもの:オルガン、アコーディオンなど
- 管やリード(小さな板)を振動させるもの:ピアノ、チェンバロなど
- 電子回路を使うもの:電子ピアノ、シンセサイザー、キーボードなど
多くの鍵盤楽器は両手の指10本で弾けるため、一人で伴奏とメロディを両方演奏するなど、出せる音の幅が広いことが特徴です。
弦楽器
弦楽器とは、木などでできた胴体に「弦」を張り、擦ったりはじいたりして振動させることで音を出す楽器の総称です。バイオリンやギターなどが弦楽器に当てはまります。
弦楽器の分類は、弦をどのようにして音を出すかで分類されており、主に以下の3種類です。
- 撥弦(はつげん)楽器:弦をはじくことで音を出す。ギター、ハープ、箏(こと)など
- 擦弦(さつげん)楽器:弦を摩擦させることによって音を出す。バイオリン、チェロなど
- 打弦(だげん)楽器:弦を叩いて音を出す。ピアノや海外の民族楽器など
ピアノが弦楽器にも分類されるのは、鍵盤で弦を叩いて音を出す仕組みだからです。弦楽器は弦の素材や本数が楽器ごとに違うため、音域や音色が異なります。
管楽器
管楽器とは、吹き口を吹き、管内の空気を振動させることで演奏する楽器の総称です。別名「吹奏楽器」とも呼ばれます。
中が空洞になっている動物の骨やツノ、ほら貝などを吹いたのが管楽器の起源とされており、オルガンのように、管が使われていても吹き口がないものは一般的に管楽器には分類されません。
管楽器は、音を出す仕組みによって「木管楽器」と「金管楽器」に分けられています。
木製・金属製で分かれていると思っている人も多いですが、材質で分類するのは間違いです。正確には、音の出し方によって分類されています。
木管楽器
木管楽器は管楽器のうち、薄い木の板(リードと呼ぶ)を振動させたり、空気の渦を震わせたりすることで音を出す楽器を指します。
空気の渦を振動させるものにフルートがありますが、そのほかの楽器はリードを使って演奏し、本体にあいた穴を押さえて音程を変えることが可能です。
オカリナは焼き上げて作られる陶器製の楽器ですが、空気を振動させ、穴をふさいで音を出すため、木管楽器に分類されます。
金管楽器
金管楽器は管楽器のうち、唇自体を振動させて音を出す楽器の総称です。
吹き込み口に「マウスピース」という部品を装着し、唇の振動をマウスピース伝いに楽器に送り込むことで音を響かせます。
音を出すのが難しい楽器が多く、吹奏楽部の初心者などは、マウスピースだけを加えて音を出す練習をするほどですよ。
打楽器
「パーカッション」とも呼ばれる打楽器は、楽器自体を叩いたり打ったりして音を出すものの総称です。
叩いて音が出るのであれば何でも打楽器と呼ぶので、カスタネットやタンバリンはもちろん、薄い鉄板やタイプライターなども当てはまります。タイプライターは、実際のコンサートで使われたこともありますよ。
打楽器の分類は、太鼓のように皮などを張って叩く「膜鳴(まくめい)楽器」と、本体を直接叩く「体鳴(たいめい)楽器」の2種類です。
また、木琴・鉄琴やティンパニのように音階があるものと、太鼓やカスタネット・トライアングルなど、音階がなく単体でメロディを演奏できない打楽器に分かれます。
【鍵盤楽器】代表的な楽器
ここでは、代表的な鍵盤楽器をいくつかご紹介します。
ピアノ
ピアノは、クラシックやジャズ、ポップスなど、幅広いジャンルで演奏される楽器です。コンサートなどで使われる「グランドピアノ」と、家庭用に作られた「アップライトピアノ」があります。
鍵盤を押すと中のハンマー部分が弦を叩いて音が出る仕組みなため、ピアノは鍵盤楽器であると同時に弦楽器でもあるのです。
全楽器のなかでも幅広い音域を持ち、鍵盤の叩き方によって音の強弱もつけられるピアノは、いろいろな表現がしやすい点も魅力ですね。
オルガン
オルガンは、鍵盤を叩くことで管に空気を送り込み、リードを震わせて音を出す楽器です。
教会などに置いてある「パイプオルガン」と、保育施設や学校などに置いてある小さめの「リードオルガン」があります。
ピアノとよく似ていますが、弦を叩くか、空気を送り込んで音を出すかという点に違いがあり、音色も違いますよ。
アコーディオン
アコーディオンは、蛇腹(じゃばら)になっている部分を伸び縮みさせることで空気を送り込み、リードを震わせて音を出す鍵盤楽器です。
リードは各音に2枚ずつつけられているため、伸ばしたとき・縮めたとき両方とも音が鳴ります。
電子版のアコーディオンは、ボタンを押して何種類もの音色を出すことが可能です。
鍵盤ハーモニカ
鍵盤ハーモニカは、リードオルガンなどと同じ仕組みで、金属のリードを震えさせて音を出す鍵盤楽器です。小学生が音楽の授業で使うような小さいサイズのものと、大人用の大きなものとがあります。
一般的に知られている「ピアニカ」とは楽器メーカー・YAMAHAの商品名で、楽器自体の名前は「鍵盤ハーモニカ」です。
【弦楽器】代表的な楽器
ここでは、弦楽器のなかで代表的なものをいくつかご紹介します。
バイオリン
バイオリンは、クラシックで主に使われる、オーケストラのなかでも花形の楽器です。木でできた胴体に4本の弦が張ってあり、弓で擦ったり、指ではじいたりして音を出します。
クラシックで演奏される弦楽器のなかでは最も高い音域をもち、主旋律やソロパート・内声(主旋律を支えるパート)・伴奏とどのパートでも担当することができる、万能な楽器です。
ハープ
ハープは、主にクラシックの演奏などで使われる、全長180cmほどもある大きな楽器です。
ジブリ映画『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』で、ハープの音色を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ハープは、木製の枠に張られた47本もの弦を指ではじいて音を出し、下側にあるペダルで音程を変えます。優雅な音色とは裏腹にペダルの操作は忙しいので、ロングスカートで足下を隠しているハープ奏者が多いです。
膝の上に置いて演奏する小型の「アイリッシュハープ」もあります。
ギター
弦楽器の代表格であるギターは、ロックやポップスなどさまざまなジャンルで使われています。
ギターの種類は、弦の音を木に反響させて音を出す「アコースティックギター」と、鉄製の弦を弾いて電子機器で音を増幅させる「エレキギター」の2つ。
2つ以上の音を同時に出す「和音(わおん)」も出せて、音色も繊細なものから強烈な音まで幅広いため、表現力も高い弦楽器です。
箏(こと)
箏は、木製の長い胴体に張った13本の弦を、「箏爪」という付け爪をつけた指ではじいて音を出す弦楽器です。年始のテレビ番組などで、箏での演奏が有名な『春の海』を耳にしたことのある人も多いでしょう。
柱(じ)という道具で弦の張り具合を調整する「箏」と、片方の手で弦を押さえて弾く「琴」は本来別のものです。
伝統的な楽器である箏は、習い事のなかでも、茶道や生け花と合わせて3大人気を誇っています。
【木管楽器】代表的な楽器
ここでは、木管楽器の代表的な楽器をいくつかご紹介します。
フルート
クラシックの演奏などで使われるフルートは、木管楽器のなかでも空気の渦を利用して音を鳴らす特殊な楽器です。胴体についているキーを操ることで、細かく早い音を出せます。
フルートの高く澄んだ音色は小鳥のさえずりに例えられるほど心地よいですが、吹き込み口に息を吹き付けて空気自体を振動させる「エアリード」というフルートの奏法は、難易度が高いです。
演奏している優雅な姿とは反対に、フルートはとても肺活量が必要な楽器なんですよ。
クラリネット
クラシックやジャズで使われるクラリネットは、イタリア語で「小さなトランペット」という意味を持つ木管楽器です。童謡の『クラリネットをこわしちゃった』で出てくる楽器ですね。
クラリネットは1枚のリードを振動させる「シングルリード」方式の楽器で、複雑なキーを動かすことで3オクターブ以上の幅広い音を奏でられます。
オーケストラでいうバイオリンのように、吹奏楽で中心的なポジションを務めているのがクラリネットです。
サックス(サクソフォン)
サックス(サクソフォンともいう)は、クラシック・ジャズ・ポップスなどの演奏に使われる、吹奏楽では花形の楽器です。ソプラノ・アルト・テナー・バリトンという4種類があり、ビブラートの演奏もできます。
とくにアルトサックスは指の運び方が小学校で習うリコーダーと似ているため、初心者でも始めやすいことが特徴です。
【金管楽器】代表的な楽器
ここでは、金管楽器のなかで代表的なものをいくつかご紹介します。
トランペット
トランペットは、クラシックやジャズ・ポップスなどで使われる楽器です。
突き抜けるような迫力のある音色をもつトランペットは、オーケストラでは喜びの表現に使われたり、ジャズではソロパートを演奏したりと、ジャンルを問わず人気があります。
トランペットは、金管楽器のなかでもっとも高い音域を担当する楽器です。
トロンボーン
イタリア語で「大きいラッパ」という意味をもつトロンボーンは、2つのU字管を組み合わせた楽器です。クラシック・ジャズ・ポップスなどで使われ、金管楽器のなかでは低音を担当しています。
「スライド」という部分を前後に動かし、伸び縮みさせることによって音程を変える、珍しい仕組みです。
ホルン
ホルンは、主にクラシックの演奏で使われる、カタツムリ状に管が巻かれた金管楽器です。長い管によって幅広い音域を出すことができ、ベルの中に入れた右手で音程・音色をコントロールし、左手でレバーを操作します。
金管楽器のなかで一番むずかしいとギネスに登録されたほどの楽器であるため、自由自在に扱うには高い技術が必要です。
【打楽器】代表的な楽器
ここでは、代表的な打楽器をご紹介します。
ドラム
ドラムは、ロックやジャズ・ポップスなどにおいて、リズムの主役になる代表的な打楽器です。
いろいろな種類の打楽器を組み合わせるドラムセットは、主に以下の6種類で成り立っています。
- バスドラム:低音を担当する、ペダル付きの大太鼓
- フロアタム:中音域を担当する、床に直接置くタイプの縦長太鼓
- タムタム:バスドラムとフロアタム以外の中型の太鼓
- スネアドラム:スネアと呼ばれるコイル状の金属線が底面に張られた、軽やかな音色の太鼓
- シンバル:リズムを刻んだりアクセントをつける金属製の円盤
- ハイハット:小さなシンバルを2枚を組み合わせ、ペダルで開閉できるようにしたもの
ドラムセットのほかにも、ヘッドホンで演奏音が聴ける電子ドラムもあります。
ティンパニ
ティンパニは、オーケストラの一員となっている唯一の打楽器です。銅で作られた半球型の胴体をしており、違う音の高さをしたティンパニを4つほど並べて演奏します。
打楽器でありながら音程がはっきりとしており、近年のティンパニは足もとのペダルで皮の張り具合を調整することも可能です。
太鼓
太鼓は、欅(けやき)や栓(せん)などの木を使った胴体に、牛や馬の革を張って作られた打楽器です。
沖縄の伝統芸能「エイサー」で使われるような手持ちのものから、お祭りで使われるバチでドーンと叩くような大太鼓(おおだいこ)まで、さまざまな種類があります。
マリンバ
いわゆる木琴であるマリンバは、ピアノと同じ音の配列をした、アフリカ発祥の打楽器です。
「マレット」という丸い頭部分がついたバチで板を叩くと、下側の金属パイプが共鳴し、音が響く仕組みになっています。マレットを指の間に何本も挟み、1つずつ速い手運びで板を叩いていくため、演奏には高度な技術が必要です。
初心者でも始めやすい楽器の種類
ここでは、初心者でも始めやすい楽器をいくつか紹介します。気になったものがあれば、ぜひチャレンジしてみてください。
ピアノ
ピアノは初心者でも取り組みやすい楽器のひとつです。
鍵盤を叩けば決まった音が鳴らせるうえ、音程を自分でコントロールしなくて良いので、ほかの楽器のように「音を出す」段階で苦労しません。
購入費用も家庭用ピアノなら5万円前後、電子キーボードなら2万円前後で付属品を含めて揃えられるため、敷居の低い楽器といえます。
近年は初心者向けの教本や無料動画なども多く、学習材料にも困らないですよ。
ギター
ギターも未経験者が始めるのにおすすめの楽器です。
いくつかのコード(いくつかの音を同時に出す弾き方)を覚えれば、簡単な曲であれば弾けるようになります。
エレキギターであれば、アンプとよばれる機材に繋ぐことでヘッドフォン経由で演奏を聞けるため、家で弾いても近所迷惑になりません。
初心者用セットを15,000円程度で揃えられるギターは、初期費用の面でもおすすめです。
アルトサックス
ジャズやクラシックが好きな人には、アルトサックスもおすすめです。
自分用のサックスを買うと4~5万円程度かかりますが、比較的指運びが簡単なため、木管楽器のなかでも初心者が始めやすい楽器のひとつです。
ピアノやギターと同じくメロディを弾ける楽器であり、演奏できるようになれば自分の好きな曲を弾いて楽しめますよ。
演奏できる?見た目が個性的で珍しい楽器
最後に、見た目が個性的で変わっている楽器をいくつか紹介します。手づくりできるものや、安く買えるものもあるため、ぜひチェックしてみてください。
トーキングドラム
トーキングドラムとは、別名「話し太鼓」とも呼ばれ、アフリカの言葉を真似する太鼓の総称です。
脇下に抱え、腕でひもの張り具合を調整しながら叩くことで、まるで人が話しているような高低差の音を出せます。昔のアフリカでは、遠距離の通信用に使われていたそうです。
オーシャンドラム
オーシャンドラムは、名の通り「波の音」を再現した楽器で、サーフドラムとも呼びます。太鼓の中に豆や砂といった小さな粒状のものを入れ、傾けることで波に似た音を出す仕組みです。
波の音は心を落ち着けてくれるので、赤ん坊を泣き止ませるための手作りオーシャンドラムも人気があります。
カリンバ
カリンバは、箱に並べられた何本もの細い金属棒をはじいて演奏する、アフリカの楽器です。
オルゴールに似た優しい音色をもち、主に親指ではじくため、「サム(親指)ピアノ」「ハンドオルゴール」とも呼ばれます。
カリンバは小さくて持ち運びも便利ですが、音は17~21個あるものが一般的で、2オクターブほどの音を出せますよ。価格も数千円と安く手に入るため、趣味として始める人も多い楽器です。
カズー
カズーは、もともとアフリカで犬を呼ぶために使われていた膜鳴楽器です。「バズーカ」とも呼ばれ、日本のアーティストでも、デュオの「ゆず」や山崎まさよしさんなどが使っています。
金属製・プラスチック製など材質もさまざまで、息を吹き込むことで真ん中の部分に貼ってあるフィルムが共鳴・振動し、音が鳴る仕組みです。
吹き込んだ声の高さがそのまま音になるため、好きな歌を吹き込むように歌うだけで演奏できます。
オタマトーン
オタマトーンは、明和電機が開発した音符の形をした電子楽器です。子どもでも演奏できる簡単な作りで、楽器としても、おもちゃとしても遊べます。
「シッポスイッチ」と呼ばれる部分を押すだけで簡単に音が出せるうえ、押さえる部分を変えて高低差を出すことも可能です。指をスライドさせたり、下にある顔の部分を持って口をパクパクさせることでも音に変化をつけて楽しめます。
初心者でも始めやすい楽器はたくさんある
ここまで、楽器の分類方法や代表的なものの紹介、初心者が始めやすい楽器などを紹介してきました。
ポップスやオーケストラ、吹奏楽に使われる楽器はさまざまですが、初心者でもチャレンジしやすい楽器はたくさんあります。コンサートや動画などで聴くのもよいですが、演奏する楽しみは聴いているだけでは味わえないものです。
大人になってから趣味として楽器を始める人も多いので、この機会に新たなチャレンジをすることをおすすめします。