引っ越しはすることがたくさんあるため、何をやって何をやっていないのかが混乱しがちです。あとになって重要な手続きをしていないことに気づき、トラブルに発展するなどといったケースも決して少なくはないでしょう。
特に初めて引っ越しする人は、そもそも必要な手続きが何かすら分からないことがほとんどかと思います。まずは何が必要なのかを把握し、時系列でひとつずつ対応していくことが大切です。
本記事では、引っ越しでするべきことについて、「引っ越しが決まったらすぐ」「引っ越し前」「当日」「引っ越し後」に分けてリスト化してみました。スケジュールに合わせてひとつずつこなしていけば、スムーズに引っ越しできるでしょう。
「引っ越しが決まったら」することリスト
引っ越しを決めたとき、まず最初にしなければならないことが大きく3つあります。
- 現在住んでいる物件の退去日と、契約している駐車場の解約日を決める
- 引っ越し業者を手配する
- 学校に通っている子どもがいる場合は、引っ越し先の学校への転校手続きをする
まず物件の退去日を決めて、その退去日に合わせて引っ越し業者と引っ越し作業日の打ち合わせを行います。
慌てて引っ越し業者の手配から行うと、物件の退去日が予期せぬ日取りになってしまい、引っ越し業者との打ち合わせをやり直すことになりかねません。いつ物件を解約して退去するのかを、最初にしっかり決めることが重要です。
賃貸物件と駐車場の解約手続き
引っ越しをするにあたって物件を退去することになりますが、前もって大家さんに退去する旨の連絡をする必要があります。
一般的には1ヶ月前までに連絡をする決まりになっていますが、物件の契約書にこの何ヶ月前までに連絡をしなければならないか記載されているので確認をしてください。
なかには2ヶ月前までに連絡をしないといけない物件だった、月末に退去しなければならない契約だったということもあるので、最初に確認しておきましょう。
もし住んでいる物件とは別で月極の駐車場を契約している方は、同様に管理会社へ解約の手続きをしましょう。駐車場の解約も、退去予定日の1〜2ヶ月前までに手続きをする必要があります。
駐車場の賃貸契約書をしっかりと確認をして、管理会社へ連絡することが大切です。
引っ越し業者の手配
家具家電が備わっているマンスリーマンションで暮らしている方などは、引っ越しは自分の荷物だけで済むことが多く、引っ越し業者を手配する必要はありません。しかし、ほとんどの方は、家具家電などの大きな荷物の移動に引っ越し業者を頼ることになるでしょう。
引っ越し業者は、ホームページから見積もり依頼をするほか、直接電話で問い合わせて手配をします。複数の業者の一括見積もりサイトも多くあるので、活用してみてはいかがでしょうか。
引っ越し費用の相場は、移動する距離と時期で大きく変わります。移動距離ごとの費用は業者によってさまざまですが、安くなる時期は基本的に同じです。
もっとも高くなるのが、進学や就職などで引っ越しが多くなり業者が繁忙期を迎える3月〜4月。この時期の引っ越しは、ほかの時期よりも2万円以上高くなることがほとんどです。
可能であれば、3月〜4月を避けて引っ越しの予定を立てたほうがいいでしょう。
学校の転校手続き
学校に通っている子どもがいる方は、物件の退去に合わせて転校手続きをする必要があります。
転校手続きは、転校する先の学校が公立か私立かで窓口が変わります。公立学校の場合は対応する役所や教育委員会、私立学校の場合はその学校が窓口です。
転校先が義務教育である小学校と中学校の場合は、在学証明書など提出しなければならない書類が多くなるので、対応する窓口に早めに確認をしておきましょう。
これらの手続きには明確な期限はありませんが、学校によって転校可能時期が異なります。物件の退去を決めたら、同時進行で確認して手続きを進めておくことがおすすめです。
「引っ越し前に」することリスト
住んでいる物件の退去日を決めて引っ越し業者の手配が終わると、引っ越し当日までにしなければならない手続きなど、やることが増えていよいよ忙しい時期になります。
以下の手続きは引っ越しまでの1ヶ月ほどで済ませる必要があるので、漏れがないようにひとつずつしっかりとこなしましょう。
主な手続きは以下のとおりです。
- 電気水道ガスなどライフライン系の解約
- インターネット契約の引っ越し、もしくは解約
- 転出届や健康保険など役場関係の手続き
- 郵便局で転居や転送の手続き
- 粗大ゴミや不用品の処分
- 携帯電話や固定電話の住所変更
- ペットの登録事項変更届
- 火災保険の住所変更もしくは解約
スムーズに手続きを済ませられるように、それぞれの手続きについて紹介します。
ライフライン系の解約手続き
引っ越し日を決めたら、まずは電気・水道・ガスなどのライフラインの解約手続きを済ませましょう。どれも、各ライフライン会社のWebサイトか電話での手続きを行います。
それぞれの手続き期限は、以下の表の通りです。
手続きが必要なもの | 目安の期日 |
---|---|
電気 | 引っ越し1週間前まで |
水道 | 引っ越し1週間前まで |
ガス | 引っ越し1〜2週間前まで |
主に引っ越し当日1週間前までが期日です。
ただし、引っ越し繁忙期や年末年始などは、手続きに時間がかかってしまう可能性があるので、引っ越し日を決めた段階で手続きを始めておきましょう。
インターネットの引っ越し・解約手続き
インターネットのプロバイダの解約手続きも、ライフライン系と同じくインターネットや電話で行えます。しかし、ライフライン系に比べて新居へのインターネット導入に大きく時間がかかってしまう場合があるので、注意しましょう。
インターネットの開通に工事が必要な場合は、申し込みから工事の日程調整が入って、ようやく工事当日に業者の方が開通工事に来ます。インターネットが使用できるようになるまでに2〜3週間かかるので、気をつけてください。
役場関係の手続き
引っ越し2週間前になると、転出届など役所での手続きが増えてきます。
ここでは、主に別の都道府県や市区町村に引っ越す方に必要な手続きを解説。転出届以外は社会保険に加入していない個人の方や、引っ越し前の住所の役場で印鑑登録をしている方など手続きが必要な人が分かれるので、どの手続きが必要か確認しておきましょう。
必要な手続き | 期日 |
---|---|
転出届 | 引っ越し14日前〜引っ越し当日 |
国民健康保険の資格喪失 | 転出後14日以内 |
印鑑登録の住所変更 | 期限なし |
バイクの住所変更 | 期限なし(転出届後に自動更新) |
児童手当の住所変更 | 引っ越し予定日から15日以内 |
印鑑登録の住所変更手続きに期限はありませんが、不動産取引や自動車登録など重要な手続きが発生したときに困るので、必要な方は早めに済ませましょう。
郵便局の転居・転送サービス手続き
役所で転出手続きを済ませても、それよりも前に郵送された旧住所宛ての郵便物は、そのまま旧住所に送られてしまいます。そのため、郵便局に登録されている住所の変更手続きをしておくことが必要です。
ここでは、郵便局での転居手続きを行う方法を紹介します。主に以下の3つです。
- インターネットのe転居サービスを利用する
- 郵便局で直接手続きをする
- 郵便局宛ての 転居届をポストに投函する
これらの手続きは引っ越し前後でいつでも可能ですが、重要な書類や支払いが新住所に届かないとなっては困ってしまうので、役所での手続きと同時に済ませておきましょう。
粗大ゴミや不用品処分の手配
粗大ゴミや不用品の処分方法は、主に4つあります。主に、自治体や業者のWebサイトや電話で申し込めることがほとんどです。
そのほか、不用品処分には以下のような方法があります。
- 自治体の粗大ゴミ回収サービスを利用する
- 不用品の引き取りを行っている引っ越し業者に依頼する
- リサイクルショップに不用品を買取ってもらう
- 不用品回収業者に依頼する
どれが粗大ゴミになるかは、住んでいる市区町村の自治体で確認しましょう。
一般的に、一番長い部分が30cm以上のものや、金属でできているものなどが該当します。冷蔵庫や洗濯機などの家電系はリサイクル用品扱いなので、自治体では回収してもらえません。そういった場合は不用品回収業者に依頼しましょう。
電話関係の住所変更
固定電話はもちろんのこと、携帯電話でも住所の変更手続きが必要です。どちらも、インターネットと電話のどちらかで手続きを申し込めます。
固定電話なら、NTT東西の管轄エリアを跨いで引っ越しを行うかで手続きの数が変わるので注意しましょう。違う管轄エリアへ引っ越す場合は、現在のエリアでの契約の解約手続きと新居での回線開通工事の手続きが必要です。
違う管轄エリアへ電話を移転すると電話番号が変わる場合もあるので、しっかり確認しておきましょう。
携帯電話の住所変更は契約している携帯会社のWebサイトや電話、もしくは携帯電話ショップの窓口で申し込めます。
どちらの住所変更も、明確な期限はありません。しかし、しかし、固定電話の回線工事に時間がかかったり、支払いの書類が旧住所に届いたりしてしまわないように、引っ越し予定日の2週間前くらいに済ませておきましょう。
ペットの登録事項変更届
引っ越しの際は、当人だけではなくペットの住所も変更手続きを行う必要があります。法令で登録が義務づけられている場合もあるので、忘れずに手続きをしておきましょう。
現在住んでいる地域の役所で転出手続きをすると、鑑札(かんさつ)が交付されます。引っ越し先の役所に持って行き、転入手続きを行うまでが住所変更手続きです。
期限は引っ越し後30日以内ですが、転出届と並行で手続きを進めておくとスムーズでしょう。
火災保険の解約・住所変更
物件に転入したとき、火災保険に加入しているはずです。引っ越しの際は、火災保険の住所変更や解約手続きを行います。
契約中の火災保険は、異動手続きを行うことで契約を引き継いでいますが、引っ越し先の物件によっては管理会社が指定する保険への加入を義務づけている場合も。そのときは、現在契約している保険の解約が必要です。
期限は明確に決められていませんが、解約する場合は物件の退去日ではなく契約の終了日にすることをおすすめします。
契約終了日よりも前に退去して、空白期間中に事故が発生した場合は借主の責任になってしまうので、契約終了日に保険も解約するようにしましょう。
「引っ越し当日に」することリスト
引っ越し当日は旧居と新居の両方で立ち会いなどのやることがあり、とても慌ただしい一日になるでしょう。
それぞれ必要なことは、下記のとおりです。
- 旧居で水道とガスの使用停止処理の立ち会い
- 退去の立ち会い
- 引っ越し業者の作業立ち会い
- 新居で電気水道とガスの使用開始立ち会い
慌ただしい日だからこそ、しっかりとやるべきことを把握してスムーズに引っ越しを終えられるようにしましょう。
旧居でのライフライン系の立ち会い
電気は遠隔で使用開始・停止ができますが、水道とガスに関しては立ち会いが必要になる場合があります。
例えばガスのメーターが室内にあったり、オートロックの物件など、業者だけでは立ち入れない場合は借主の立ち会いが必要。
自分の物件が、立ち会いの必要な物件かどうかを確認しておきましょう。
退去の立ち会い
退去の立ち会いは、借主と貸主が物件を確認して、修理が必要だった場合はどちらが対応するか決める作業が発生します。
物件の退去立ち会いは、基本的に引っ越し搬出後の空室で行われるので、引っ越し業者の搬出作業予定を確認して退去立ち会いの時間を決めましょう。
立ち会い担当者が物件確認に来たら、物件の状況確認が行われます。このときに指摘された物件の傷や破損に心当たりがあれば、きちんと報告しましょう。これは、指摘された箇所が入居前のものだったのかどうかを確認するためです。
確認が終われば、鍵を渡して立ち会いは完了。退去立ち会いは、基本的に30〜40分程度で終わります。
引っ越し業者の立ち会い
引っ越し当日は、荷物の破損や紛失などのトラブルを避けるために立ち会いが必要な場合がほとんどです。立ち会い不要で対応してくれる引っ越し業者もありますが、特別な理由がない限りは立ち会いましょう。
引っ越し業者が来たら、物件のなかで取り扱いに気をつける荷物や、持っていかない荷物はあるかなどのチェックが始まります。搬出作業中も、上に荷物をのせていいものかどうかなど聞かれることがあるので、答えられるようにしましょう。
荷物の積み込みが終わったら、引っ越し業者と時間を決めて引っ越し先の物件で合流します。このタイミングで、物件の鍵の返却も済ませましょう。
新居でのライフライン系の立ち会い
引っ越し当日、新居で立ち会いが必要なライフラインはガスです。電気と水道は当日までにしっかりと手続きを終えていれば、使用できるようになっているでしょう。新居のブレーカーを上げたら電気が使え、水道は元栓を開けると使えます。
ガスの開栓作業は事前の手続きで訪問時間が決められているはずなので、立ち会いを済ませて使えるようにしておきましょう。
「引っ越し後に」することリスト
引っ越し作業が終わったあとも、またさまざまな手続きで忙しくなります。
必要な手続きは、主に以下のとおりです。
- 役場関係の手続き
- 学校の転校手続き
- ペットの登録事項変更届
- 諸々の住所変更
引っ越し後の短期間で、多くの手続きを済ませる必要があるので、抜け漏れが出ないように一つひとつ確認しましょう。
役場関係の手続き
引っ越し前に旧住所の役所で行った手続きを、引っ越し先の役所でも行います。必要な手続きは、以下のとおりです。
必要な手続き | 期日 |
---|---|
転入届 | 引っ越し後14日以内 |
印鑑登録の住所変更 | 期限なし |
国民年金の住所変更 | 転入後14日以内 |
国民健康保険の加入 | 転入後14日以内 |
児童手当の住所変更 | 引っ越し後15日以内 |
ペットの登録住所変更 | 引っ越し後速やかに |
バイクの住所変更 | 引っ越し後15日以内 |
学校の転校手続き(公立校の場合) | 引っ越し後速やかに |
国民年金の住所変更は、引っ越し後のみ。自治体によっては、ほかの住所変更時に自動的に更新される場合があるので、事前に確認しておきましょう。
学校の転校手続き
公立校への転校手続きは役所で行いますが、私立校への転校手続きはその学校に窓口があります。転校に必要な書類は各都道府県や学校によって異なるので、引っ越し先の教育委員会に確認をしておきましょう。
期限は明確にはありませんが、公立校同様に引っ越し後は速やかに手続きを済ませる必要があります。
ペットの登録事項変更届
ペットの登録住所変更手続きは、役所にて登録事項変更届を行います。引っ越し前に受け取った鑑札は、ここでの手続きで使用。狂犬病予防注射が済んでいたら、注射済票も提出します。
地域によっては保健所の窓口で行う場合もあるので、引っ越し先の地域で確認をしておきましょう。
諸々の住所変更
運転免許証と自動車の住所変更手続きは、役所以外で行います。運転免許証の住所変更は警察署の運転免許課や運転免許センター、自動車の住所変更は地方運輸局や運輸支局です。
ほかにも、住所変更が必要なものには下記があります。
- 銀行口座
- クレジットカード
- ネットショッピングサイトの登録住所
自分が使っている口座やショッピングサイトなどは、あらかじめ把握しておきましょう。
引っ越しをスムーズに進めるコツ
手続きが多く大変な引っ越し作業ですが、これから紹介するいくつかのコツを意識すれば、スムーズに引っ越し作業を進められるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
優先順位の高いものから行う
まず、引っ越し作業にあたってもっとも重要なのが手続きの優先順位です。
退去日や引っ越し業者の手配はもちろん、引っ越し日の14日以内に済ませなければならない転出届など、期限が定められているものが優先順位の高い手続きです。
期限に間に合わないと予定の立て直しを強いられるので、どの手続きが優先順位が高いかまとめて、把握しておきましょう。
やることを前倒しで進める
「この手続きは期限が後数日あるから大丈夫」と思っていたら、思わぬ予定のブッキングやトラブルの対処に追われ、「結局間に合わなかった」などとなってしまうと目も当てられません。
引っ越し予定日の14日前から手続きができる転出届などは、手続き可能になった時点で済ませられるようにしましょう。
一人暮らしの人は家族や友人の手をかりる
特に社会人の方は、平日仕事に追われてなかなか荷物整理の時間がとれず、引っ越し当日までずっとバタバタと慌ててしまいがちです。
そんなときは、人の手を借りましょう。家族や友人に引っ越しをする旨を伝え、休日など予定の合う日に荷造りを手伝ってもらえないか相談することも手です。
1人よりも2人で行ったほうが作業は当然早く終わるので、引っ越し日が近づいて困ってしまう前に、人手を借りることも検討してみてください。
忘れないようにひとつずつ対応しよう
引っ越しでは、期限のある書類手続きをメモにまとめてまず最初に予定を組み、そこから「期限はないが速やかに行わなければならない手続き」の予定を入れるなど、優先順位ごとのスケジューリングを意識しましょう。
引っ越し作業では、思わぬトラブルで時間をとられてしまうことが多々あります。そんなときに期限に悩まされないよう、最初から一つひとつの手続きを素早く終わらせて、時間的余裕を常に作り続ける姿勢がもっとも重要です。
スマホのカレンダーのタスク機能を使用してスケジュールを組むと、分かりやすくておすすめですよ。