最近の光熱費の高騰ぶりに驚いて、「ほかの家庭ってガス代どのくらい払ってるんだろう?」とその平均を知りたいと思っている方もいることでしょう。
ただし、総務省などの統計情報に頼ると速報性があまり高くないので、早くても2022年のデータになってしまいます。おそらく多くの方がその価格に驚いたのは、2023年初頭あたりではないでしょうか。
ただし、2022年のデータからもある程度は推測できます。また、ガス料金の節約方法は大きく9つ。この記事に書かれている平均値、節約のコツなどを参考にして、少しでもガス料金の節約に役立ててもらえればと思います。
【世帯人数別】ガス料金の平均価格は?
ガス料金をいくらくらい払っているのか、まわりの家庭に教えてもらう機会はなかなかないでしょう。比較対象がないと、自分の家のガス料金が高い・安いかはいまいち判断できないですよね。
ここでは、世帯人数別の平均的なガス料金を見ていきましょう。
一人暮らしのケース
世帯人数が多いほどガスの使用量は増え、それと比例してガス料金も高くなります。
下記は、一人暮らし世帯における四半期ごとの平均ガス料金をグラフで表したものです。データについては、総務省による家計調査結果を参考にしています。
※2023年6月時点
出典:家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表|政府統計の総合窓口
上記の結果から、一人暮らし世帯のガス料金は、およそ1ヶ月あたり3,500円±1,000円程度が平均です。
1年間の推移を見てみると、夏場~秋頃よりも冬場~春先のほうが高いことがわかります。これは、寒い時期だとお湯の設定温度が高かったり、ガスストーブや床暖房を使用する回数が多くなったりすることが理由でしょう。
なお、季節差を考慮しない場合は1ヶ月あたり3,235円ほど、年間の合計ガス料金は約38,817円です。
二人暮らしのケース
ガス料金は、使用量によって変動する従量料金のほかに、使用量に関係なく毎月一定の基本料金がかかります。そのため、二人暮らし世帯のガス料金は、単純に一人暮らし世帯の2倍になるというわけではありません。
二人暮らし世帯の平均ガス料金は下記のとおりです。
※2023年6月時点
出典:家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表|政府統計の総合窓口
一人暮らし世帯と同じように、ガス料金は冬場が高くなり、夏場が安くなる傾向があります。上記の場合、冬場(7,628円)と夏場(3,459円)では、4,169円と倍以上の差に。
どの世帯にも共通していえることですが、ガス料金を抑えるなら、まずは冬場のガスの使い方を見直すことが近道でしょう。
二人暮らし世帯のガス料金は、年間で約62,100円、1ヶ月に換算すると5,157円ほどが平均です。
3人家族のケース
3人家族世帯は、両親+子ども一人の家族構成が多いと推測されます。二人暮らし世帯に一人加わることで、年間のガス料金はどのくらい高くなるのでしょうか。3人家族世帯についても同じく、平均ガス料金を四半期ごとに分けてグラフ化しました。
※2023年6月時点
出典:家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表|政府統計の総合窓口
年間のガス料金はおよそ70,914円で、二人暮らし世帯よりも年間あたり8,814円高くなる結果に。一人暮らし世帯と二人暮らし世帯では23,283円の差があるため、それと比べるとガス料金の上がり方は控えめです。
1ヶ月あたりの平均は約5,909円、1年間の推移はほかの世帯人数のケースとほとんど変わりません。ただし、夏場と冬場の差は4,653円と、二人暮らし世帯よりもさらに幅があります。
4人家族のケース
総務省の家計調査では、4人家族世帯のガス料金は、3人家族世帯と大きな差はありません。むしろ、世帯人数が増えるほどガス料金は高くなりがちですが、3人家族世帯のほうが全体的に高い結果が出ています。
4人家族世帯における平均ガス料金をまとめたので、比較してみましょう。
※2023年6月時点
出典:家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表|政府統計の総合窓口
どの時期もだいたい数百円程度、3人家族世帯よりも安いことがわかります。人数が多いのに料金が下がる理由として、4人家族世帯では戸建てに住む人が増えることが考えられるでしょう。
戸建てではガス会社を自由に選択できる一方、賃貸マンションやアパートでは指定されたガス会社しか利用できないことがあります。もっと安いガス会社に切り替えたくてもできないため、それが影響しているのかもしれません。
ガス料金を節約するには?
ガスは生活するうえで欠かせないエネルギーであり、ある程度の料金負担は避けられないことが実状です。しかし、いつもの生活を少し変えるだけで、ガス料金は節約できます。
ここでは9つの節約術をご紹介するので、実践できるものから始めてみましょう。
お得なガス会社に乗り換える
2017年4月に実施されたガス小売全面自由化により、都市ガスを供給する事業者を自由に選択できるようになりました。現在はリーズナブルな価格設定や、豊富なプランを提供するガス会社はたくさんあります。
まずは現在のガス料金を把握して、ほかのガス会社と比較してみましょう。今よりも安く利用できるところが見つかったら、乗り換えも視野に入れてみてください。
お風呂の湯量・温度を変える
毎日お風呂にお湯を溜めている人は、設定している湯量や温度を見直しましょう。
設定温度と元の水の温度との差が大きいほど、温めるために多くのエネルギーが必要です。湯量も同じく、使えば使うほどエネルギーの消費量が増え、ガス料金は高くなります。
少し設定を変えるだけでも大きな節約効果が期待できるので、ぜひ意識してみてください。
追い焚きをしない
追い焚きすると、冷めたお風呂を簡単に温め直せるため、お湯を入れ直す必要がありません。昨今の給湯器にはだいたい備わっている便利な機能で、活用している人も少なくないでしょう。
しかし、4.5℃低下した200Lのお湯を1日1回追い焚きする場合、年間で約6,190円のガス料金が発生するといわれています。(※)なるべく間隔をあけずに入浴し、追い焚きは使わなくて済むよう心がけましょう。
(※)出典:無理のない省エネ節約 風呂・トイレ|経済産業省 資資源エネルギー庁
エコキュートに変える
エコキュートとは、空気中の熱を集めて利用し、少ない電気で効率よくお湯を沸かせる給湯器です。
家庭で消費するエネルギーのなかでも、給湯器はより多くの割合を占めています。この給湯器を従来の燃焼式からエコキュートに変えれば、エネルギー消費を大幅に減らせるはずです。
初期コストはかかりますが、長年にわたって使うことを考えれば、ガス料金を大きく節約できるでしょう。
ガスと電気のセットプランに乗り換える
多くのケースでは、同じ会社でガスと電気をセット契約することにより、一定の料金が割引されます。請求もひとつにまとめられるので、管理がしやすいこともメリットです。
とはいえ、利用するガス・電力会社やプラン、毎月の使用量によって、別々に契約したほうが安くなる場合もあるでしょう。本当に乗り換えたほうがお得なのか、よく料金シミュレーションして判断してください。
食器洗い乾燥機を利用する
食器を手洗いする場合、夏の暑い日以外は温かい水を使う人も多いでしょう。洗い流すときには水を流しっぱなしにするため、ガス料金も水道代もかかりがちです。
一方、食器洗い乾燥機なら使用水量が手洗いの約1/9ほど。ガスの代わりに電力を使うにしても、手洗いと比べて年間で約6,470円節約できるといわれています。(※)
手間と時間も省けるので、購入する価値はあるでしょう。
(※)出典:無理のない省エネ節約 キッチン|経済産業省 資源エネルギー庁
余熱を利用して調理を行う
煮込み料理などを作るうえで、余熱をうまく利用するとガスの消費量を抑えられます。土鍋を使ったほうが保温効果が高いですが、普通の鍋でも問題ありません。
火から下ろした鍋をタオルで包み、しばらく放置するだけでOK。これで最後まで煮込まなくても、余熱でしっかりと火が通ります。
この方法ならコンロと違ってその場を離れても問題ないため、ほかの家事をやるなど時間も有効活用できるでしょう。
コンロの火を大きくしすぎない
ガスコンロで調理したり、お湯を沸かしたりするときは、必要以上に火を強めることは避けてください。フライパンや鍋の底からはみ出すほど火を大きくしても、無駄なエネルギーを消費するだけなので、底のサイズ以下にとどめましょう。
ちなみに省エネ効果を高めるうえでは、平たい底のフライパンや鍋がベター。丸みのあるものと比べて熱効率が良く、火が通りやすくなります。
食事の作り置きを行う
食事の準備をする際、おかずや副菜を多めに作って冷凍保存しましょう。
少ない量をこまめに調理するよりも、一度にまとめて作ったほうが、調理時間や回数が減ってガス料金を安く抑えられます。また、週末に作り置きしておけば、忙しい平日は解凍して食卓に出すだけで済み、夕飯作りが楽になるためおすすめです。
プロパンガスは都市ガスより高い?
よく「プロパンガスは高い」といわれますが、実際に都市ガスと比べてどのくらい高いのか気になる人もいるでしょう。
ここではプロパンガスの平均料金や、都市ガスよりも高くなりがちな理由、契約する場合の流れなどを解説します。
プロパンガスの平均料金
一人暮らし・4人家族世帯におけるプロパンガスの平均使用量、および全国平均の基本料金・従量料金単価(1立方メートルあたり)は下記のとおりです。
一人暮らし世帯 | 4人家族 | |
---|---|---|
ひと月あたりの平均使用量 | 5立方メートル | 20立方メートル |
年間あたりの平均使用量 | 60立方メートル | 240立方メートル |
夏場(7~9月)の平均使用量 | 3立方メートル | 15立方メートル |
冬場(1~3月)の平均使用量 | 7立方メートル | 28立方メートル |
その他季(4~6月)の推定使用量※ | 6立方メートル | 20立方メートル |
その他季(10~12月)の推定使用量※ | 4立方メートル | 17立方メートル |
基本料金(全国平均) | 1,890円 | |
従量料金単価/立方メートル(全国平均) | 523円 |
※2023年6月時点
※年間の平均使用量、夏場・冬場の平均使用量から、おおよその使用量を推定
出典:プロパンガス消費者センター
ガス料金は、「基本料金+従量料金(単価×使用量)」で計算できます。上記のデータをもとに、プロパンガスを使用した場合の四半期ごとのガス料金を算出し、都市ガスとの料金比較をグラフで表しました。
プロパンガスは都市ガスよりも発熱量が高く、1立方メートルあたり約2.23倍です。「少ない量で済むなら料金が安くなるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、そのぶん単価が高めに設定されています。
グラフを見ても、都市ガスと比べてプロパンガスのほうが圧倒的にガス料金が高いことがわかるでしょう。「プロパンガスは都市ガスよりも絶対に高くなる」と断言はできないものの、一般的には都市ガスを使ったほうが安くなるケースが多いです。
ガス料金は、季節や世帯人数だけでなく、勤労の有無・住んでいる地域・物件の種類(戸建てか賃貸か)など、さまざまな要因によって大きく変動します。
これらは変えようと思って簡単に変えられるものではないため、ガス料金を節約したいなら、都市ガスへの切り替えを検討してみてもいいでしょう。
プロパンガスが高い理由
都市ガスよりもプロパンガスのほうが料金が高い理由は、主に下記の点が挙げられます。
- 各会社が自由に料金を決められる
- 料金を公開していない会社が多い
- 配送コストがかかる
プロパンガスは、公共料金ではなく自由料金制なので、会社側は驚くような高値に設定することも可能です。加えて料金の公開が義務化されておらず、公式サイトに掲載していない会社も多いため、利用してみないとわからないケースも少なくありません。
料金だけ見るとデメリットが大きいですが、震災などの自然災害が起きた場合は、ガスボンベを使うプロパンガスは復旧が早く、すぐにガスが使えるようになる強みがあります。
プロパンガスを契約するには
新築の戸建てでプロパンガスを契約する手順は次のとおりです。
- プロパンガス会社を探す
- 配管の状態などを確認してもらう
- 詳細の見積りを出してもらう
- 開栓の予約をして正式に契約する
中古の戸建ての場合、前の住人が使っていたガス設備が残っていることがありますが、安易に継続利用することはNG。そのガス会社が優良であるとは限らないので、使用するならしっかりと会社について情報収集しましょう。
賃貸物件については、ガス会社が指定されているケースがほとんどです。自分で探す必要はないため、指定先のガス会社に連絡して開栓の予約をしてください。
プロパンガスから都市ガスに変えるには
プロパンガスから都市ガスに切り替える場合は、以下の手順で進めましょう。
- 都市ガス会社を探す
- ガス供給にかかる具体的な見積りを出してもらう
- 契約後、ガス導管引き込み工事の日程を決める
- 工事完了後、開栓や点火テストを行い供給が開始
ガス導管引き込み工事では、平均で10~15万円ほどの費用が発生するといわれています。このほかにもガス機器の購入や、無償貸与契約を結んだプロパンガス会社への違約金を負担することも。
なお、工事は開始までに数ヶ月要することがあります。都市ガスへの切り替えには、時間とお金がかかる点に留意しましょう。
使い方を工夫するだけでガス料金は節約できる
本記事では、世帯人数やガスの種類別に、平均のガス料金をご紹介しました。
自分のガス料金のほうが平均より高かった人もいれば、下回っている人もいるでしょう。もし平均より安かったとしても、余計なエネルギーを消費していないというわけではありません。
お伝えしたとおり、ガスの使い方を少し工夫するだけで、今よりもガス料金を抑えられる可能性は十分にあります。まずは簡単にできることから始めてみて、家計への負担を減らしましょう。