ヴィンテージとは何か、古着とどう違うのかがわからないと、商品を選ぶときに困りますよね。
ヴィンテージはただ古いだけでなく、特定の年代に作られた価値ある商品のことを指しています。しかし巷では、古着やアンティーク、レトロなど似たような言葉があふれていて、戸惑うことも多いでしょう。
本記事では、ヴィンテージについて古着との違い、魅力や選ぶときのポイント、購入方法を解説し、おすすめのブランドを紹介します。
ヴィンテージとは
ヴィンテージとは、古くて価値の高い商品のこと。製造から長い年月を経て味わい深くなった家具や時計、服、アクセサリー、車などに使われています。当たり年のブドウで製造されたヴィンテージワインが由来で、製造から30年以上経った商品を指すことが一般的です。
また、ヴィンテージと似た言葉に「アンティーク」と「レトロ」があります。どちらも古いものに使われますが、アンティークは対象が主に家具や美術品で、基本的に製造100年以上前のものに付けられる言葉です。
一方、レトロは価値の有無に関わらず「古くて懐かしいもの」に対するイメージとして付けられ、年代の括りはありません。
なお「デッドストック」は売れ残った未使用品のことで、新品同様として評価されることが多く、経年で価値が出るヴィンテージとは商品価値の方向性が異なります。
ただし、時間が経って価値が上がった未開封商品を「ヴィンテージデッドストック」と呼ぶことがあるので注意が必要です。
ヴィンテージと古着の違い
ヴィンテージと古着、どちらもリサイクルショップなどで扱われていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
古着は、誰かが一度袖を通した中古衣服全般を指し、状態や流行などで価値や価格が変わります。たとえば同じ品物なら新しいほど価値が上がり、流行している間は価格が下がらないなど、トレンドの影響を受けやすいことが特徴です。
一方でヴィンテージは、古さのなかにも希少性のある質の良さがあり、流行とは無縁の安定した価値を持ち続けています。そして当時の優れたファッションを、時代を超えて楽しめるのはヴィンテージならではの魅力でしょう。
ヴィンテージのなかには、布地、仕立て技法など再現のむずかしい要素を持つ場合があります。コレクターはじめデザイナー、アーティスト、修復専門家にとって貴重な一点となりうるのは、古着にはない点です。
ヴィンテージ品の魅力
ヴィンテージ品にはどのような魅力があるのでしょうか。古くて価値が高いのがヴィンテージ品ですが、どこに魅力を感じるかは人によりさまざまです。身に着ける人の視点から捉えたヴィンテージ品の魅力を、ここでは5つにまとめました。
独特の味わい深さがある
ヴィンテージは、長い間愛用し続けてくれた使い手の癖が反映されていることが、大きな特徴です。
馴染んだ傷や劣化部分はデザインの一部と化しており、このような個性的な風合いは新品では出せません。時の流れが感じられるダメージが、いい具合に味わい深さを醸し出しているのです。
大袈裟ですが、ヴィンテージ品には刻み込まれた人生の重みのようなものがあります。二度とは出合えない独特の味わいを、ぜひ堪能してみてください。
再現がむずかしいため価値がある
たとえば、当時の仕立て方法や製造工程など、今となっては再現がむずかしい要素を持つ場合があります。
縫製技術はもちろん、生産中止となった生地やボタンといった貴重なテキスタイル、珍しいシルエットデザインなど、プロさえ飽きさせないような逸品に出会えるのはうれしいことですよね。
このような価値を持つヴィンテージ品は、製造年が比較的古いものに多く、良い状態で残っているものが少ない分、稀少価値が高くなります。
他人と被らない
服が他人と被ったために、居たたまれない気持ちになった経験はありませんか。大切な場面であれば、とても残念なことです。
大量生産が主流の現代においては、まったく誰とも被らない既製服を手に入れるのは至難の業でしょう。また別商品であっても、最新の流行にのった服はどうしても見た目が似通ってしまいます。
その点でも、最新アイテムからかけ離れたヴィンテージ品は、他人と被ることなく身に着けられるので安心です。
大切に扱えるようになる
ヴィンテージ品と対極にあるのは、ファストファッション品ではないでしょうか。長く着ることが想定されていないファストファッション品とヴィンテージ品とでは、意識せずとも扱い方に差が出てしまいます。
本来、ものは手入れをして長く大切に扱うべきもの。そういった意識を掘り起こしてくれるのがヴィンテージ品です。使い手が大切にしてきた思いのようなものを、ヴィンテージ品でぜひ感じてみてください。
ブランド品が安く手に入る
「ブランド品は高くて買うのは無理……」とあきらめている人は、ヴィンテージ品を探してみてください。
基本的に、ブランド品は質の低下が緩やかです。質がほぼ低下していない状態のブランド品が安く手に入ることは、人によってはうれしいですよね。二次流通に乗るブランド品は、価格が抑えられる傾向にあるため、またとないチャンスにめぐり合えるかもしれません。
ただし、製造年が古いものにはあてはまらないので注意が必要です。
ヴィンテージ品を選ぶときのポイント
ヴィンテージ品を選ぶ際、どのような点に注意したらよいのでしょうか。実際のクオリティ、質と価格のバランスなど見るべき点が多く、新品の買い物とは異なるチェックが必要です。あらかじめポイントを押さえておきましょう。
実際に手に取ってみる
ヴィンテージ品は写真ではわかりにくい部分が多いので、できるだけ自分の目で現物を見てみましょう。
たとえばバッグは手に取らないと念入りに内側をチェックすることができません。細かい傷や底の角のスレ、表面のひび割れ具合など、許容範囲かどうかを納得いくまで確認します。服であればボタン糸や袖口、襟元などを忘れずにチェックしましょう。
なによりヴィンテージ品の味わい深さは、実物でこそ実感できるものなので、手に取ってみることをおすすめします。
ダメージを確かめる
実用上問題のないダメージならば、味わいを演出するデザインの一部になりえるでしょう。しかし実用に影響があるダメージを持つ商品は、使用するたびにストレスがたまるのでおすすめできません。
たとえば見た目がきれいなファスナーでも、実際は引っ掛かりがあるといったケースがあります。このような場合は価格が下げられ買いやすくなっていますが、実用に耐えられるかをよく考えて、購入の可否を決めましょう。
価格が適切かどうか
古くても相応の価値を持つのがヴィンテージ品。その価値と価格が見合っているのかを判断するのは、素人にはむずかしい面があるかもしれません。
特に輸入品など、バイヤーの設定次第で価格が大きく変わるため、その背景を探るのはもはやプロの領域と言えるでしょう。しかもヴィンテージ品は希少性があるので、需要と供給のバランスだけでは価格が決まらないことが多いです。
価格が適正かどうかは、類似品含めた比較情報などで補い、なにより信頼できるお店を選んで購入すると失敗は少なくなります。
ヴィンテージ品を購入する方法
ヴィンテージ品はどのように購入すれば良いのでしょうか。主な購入方法としては実店舗、フリマアプリ、ネットオークションがあります。ヴィンテージ品の取り扱い状況、メリットとデメリット、どんな人に向いているのかをそれぞれ解説します。
ヴィンテージショップ
ヴィンテージ品の取り扱いが少なくても、ヴィンテージショップと名乗る実店舗は少なくありません。逆に海外まで買い付けに行くような、ヴィンテージ品専門のヴィンテージショップもあります。
どちらも直接目で確かめられることがメリットです。しかし古着中心の店舗はヴィンテージ品が少ないデメリットがあるので、できればヴィンテージ品の取り扱いが多い実店舗を選びましょう。
ヴィンテージ初心者なら、直接目で確かめられるうえにアドバイスが期待できるヴィンテージ専門店がおすすめです。
フリマアプリ
フリマアプリは、主に個人と個人がスマホひとつで売り買いするアプリのこと。スマホ画面では、レディースやメンズのようなカテゴリを選んで、ヴィンテージという検索ワードを入れると探しやすいです。
フリマアプリのメリットは、予想外にお得な買い物ができる可能性があること。デメリットは精粗ある商品情報や画像から、価格や質の見極めをしなければならない点です。
ある程度ヴィンテージ品の知識があり、フリマアプリに慣れている人なら納得のいく買い物ができるかもしれません。
ネットオークション
ネットオークションは、買いたい商品を希望価格で入札し、誰よりも高い価格の場合に落札できる仕組みで運用されています。画面ではヴィンテージで検索をかけ、カテゴリやブランドで絞るなどさまざまな検索方法があるので試してみてください。
ネットオークションのメリットは、プロの参加が多いことから適正価格となりやすい点。一方、デメリットは仕組みを理解しておく必要がある点です。システムの理解は前提として、特にレアなヴィンテージ品を探している人は、利用する価値が充分にあるでしょう。
ヴィンテージでおすすめのブランド5つ
ヴィンテージでおすすめのブランドを厳選しました。それぞれのブランドについて、そのブランドならではのヴィンテージの魅力、販売価格や買取の例を紹介します。好きなブランドのヴィンテージ品購入や買取の参考にしてください。
1. Ralph Lauren
出典:Ralph Lauren
1967年にネクタイ店としてスタートしたRalph Laurenは、メンズのフルアパレルを皮切りにアメリカンスタイルの象徴として時代を牽引してきました。
ポロなど多数のブランドサブラインを展開し、遊び心のあるデザインに定評があります。ヴィンテージにおいてもアメリカン・トラディッショナルからカジュアルまでラインアップの幅広さが魅力です。
販売・買取例としては、ポロのノルディックセーターが約10,000円で販売され、3割ほどで買取されています。
2. Patagonia
出典:Patagonia
Patagoniaは、1973年に登山家イヴォン・シュイナードが創業したアメリカのアウトドアブランドです。
アパレル、アウトドアほか、食品、ドリンクなど安心・安全なものづくりと、環境保護活動に取り組んでいることで有名。Patagonia製品は高品質、高機能が長く引き継がれているので、ヴィンテージ品でも新品同様に幅広いシーンで活用できることが魅力です。
販売・買取例としては、1990年代のリバーシブル ナイロン×フリースジャケットが約50,000円で販売され、その3割ほどで買取されています。
3. Levi’s
出典:Levis
アメリカで生まれたジーンズの世界的ブランドです。501シリーズと言った定番や、時代を先取りしたデザインのデニム製品を高品質で作り続けています。
そんなLevisブランドにおけるヴィンテージの大きな魅力は、独特な色落ちとその時代ならではの先駆的なデティールの凝り方でしょう。たとえば1970年代以前のジーンズに見られる縦落ちや、こだわりのカンヌキステッチは、ヴィンテージの希少性を高めるポイントとして有名です。
販売・買取例としては、Levisを代表するデニムジャケット3rdモデルが、約35,000円で販売され、その4割ほどで買取されています。
4. Barbour
出典:Baubour
Baubourは、イギリス生まれのアウトドアブランドです。高い品質が認められ、王室ご用達として認定されています。
オイルドジャケット、ライダーズジャケットは強靭な耐久性を持つBaubour製品の代名詞。使えば使うほど味わい深さが増し、年代で微妙に異なる色、シルエットや丈の違い、ジップや襟の素材まで多様な楽しみ方ができることがヴィンテージの魅力です。
販売・買取例としては、アクティブな男性に人気のあるビューフォートが、約60,000円で販売され、その3割ほどで買取されています。
5. Dr.Martens
出典:Dr. Martens
Dr. Martensは、耐久性のあるワークブーツからスタートしたイギリスのブーツブランドです。エアクッションソールが特徴的で、ミュージシャンなどの支持を集めたロックなブーツは、1980年代の日本で人気を博しました。
他ブランドとのコラボレーションも注目され、ヴィンテージとしての価値を高めています。Dr. Martensにおけるヴィンテージの大きな魅力は、使い込まれた革の深い味わいを、履き始めから経験できることでしょう。
販売・買取例としては、人気の8ホール初代モデルが、約10,000円で販売され、その4割ほどで買取されています。
ヴィンテージと古着の違いを知り賢く選ぼう
ヴィンテージに興味はあるけどよくわからないという人に、定義、魅力、選び方や購入方法を解説し、おすすめブランドを紹介しました。
古いだけでなく、さまざまな価値を持つヴィンテージ。再現のむずかしさや、経年劣化が醸し出す深い味わい、他人と被らないことなど、魅力を感じる点は多々あります。また、安くブランド品を手に入れたい人にもヴィンテージ品はおすすめです。
本記事を読んで理解が深まったら、ヴィンテージ探しに踏み出してみてはいかがでしょうか。