私たちができるエシカルファッション|選び方とおすすめブランド4選

ファッション

「エシカルファッションが地球に良い」と言われても、具体的にどのような衣服が「エシカルファッション」に当てはまるのかは分かりにくいですよね。

エシカルファッションは「地球環境や労働者などに配慮して作られた衣服(を作る・選ぶこと)」を指しますが、実は認証機関がまだなく、明確な定義は決まっていません。

エシカルファッションについてよく知らないと、意図せず環境・人に良くない衣服や、見せかけだけのエコ活動をする「グリーンウォッシュ」企業を支援する可能性も。

この記事では、「エシカルファッション」がどのようなものを指すのか、意味や選び方を解説します。今日からできるエシカルファッションへの取り組み方もわかるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

エシカルファッションとは

エシカルファッションとは、直訳すると「倫理的・道徳的なファッション」、意味を砕いて説明すると「地球環境や人・社会に配慮したファッション」のことです。

原材料を育てるところから、収穫、運送、製品加工、販売までのすべての過程で、自然や労働者になるべく負担をかけずに作られた衣服を指します。

反対に、低コストで大量の製品を早く生産するため、自然環境や労働環境を犠牲にして成り立っているのが「ファストファッション」です。

近年のファッション業界は、自然や生き物、人や社会を永く守っていくために、エシカルなものづくりに取り組んでいます。

「エシカル」自体については、こちらの記事で詳しく解説しているのであわせてチェックしてみてください。

エシカル消費って何?具体例や重要性について解説

エシカルファッションの背景

エシカルファッションが注目された背景には、バングラデシュで2013年に起きた「ラナ・プラザ崩壊事故」という悲惨な事件があります。

違法に増築されたビルに多くの縫製工場が並んでいたラナ・プラザでは、低賃金で雇われた多くの人々が働き続けていました。どれだけビルに負荷がかかってもビルは修理されず、ついには崩落し、千人以上の犠牲者が出たのです。

ラナ・プラザ事故に加え、農薬による健康被害や、染料による水質汚染なども問題となり、「もっと倫理的に良いファッションを選びたい」という考えが広まりました。

現在はファストファッションを含む多くのブランドで、環境や労働者に配慮したエシカルな取り組みが行われています。

SDGsとの関係

エシカルファッションは、SDGs(持続可能な開発目標)において、下記の目標と大きく関わっています。

  • 目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
  • 目標10「人や国の不平等をなくそう」
  • 目標12「つくる責任 つかう責任」
  • 目標13「気候変動に具体的な対策を」
  • 目標16「平和と公正をすべての人に」
  • 目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

出典:日本ユニセフ協会

未来の人々が暮らし続けられる、持続可能な世界を守る手助けになるのがエシカルファッションです。

エシカルファッションのメリット

エシカルファッションを選ぶことは、地球環境や労働者のためになるとご紹介しました。

具体的にどのような良いことが起きるのか、ここではエシカルファッションのメリットを解説します。

大量の農薬や殺虫剤を使わなくて済む

消費者がエシカルファッションを選ぶようになれば、衣服の原材料となるコットンなどの生産者が大量の農薬や殺虫剤を使わなくて済みます。

コットンを一気に収穫するための枯れ葉剤や、低コストで原材料をたくさん作るために撒かれる殺虫剤は、雨に溶けて土や水資源を汚染するだけではありません。原材料の栽培をするために、薬剤まみれの環境で働く労働者の健康もおびやかしています。

たとえば殺虫剤を使わず害虫を食べるてんとう虫の力を借り、枯れ葉剤を使わずに手摘みで収穫したオーガニックコットンなどは、環境と人に優しい素材です。

人件費が多く、大量生産もできない素材は比較的高価ですが、エシカルファッションを選ぶことで環境と生産者への負荷が減ります。

大量の漂白剤を使わなくて済む

エシカルファッションでは、大量の漂白剤も使わなくて済みます。

たとえばコットンの多くは、ほかの色で染めやすくするために大量の漂白剤を使って真っ白にされていますが、本来は薄い茶色です。大量の漂白剤を使ったコットンを何回も洗浄すれば、それだけ化学薬品で汚れた水が出て、環境に良くありません。

コットンの自然な色をそのまま使ったり、漂白せずに植物由来の染料で染めたりしているエシカルファッションを選べば、環境への負荷を減らすことに繋がります。

労働環境を守れる

エシカルファッションを選べば、先ほど紹介した「ラナ・プラザ」で安く雇われていた人々のように、劣悪な労働環境に置かれる人々を救えます。

適正な賃金で労働者を雇用する「フェアトレード」を行っているブランドの衣服を買うことも、エシカルファッションに取り組む行動のひとつです。

エシカルなブランドが選ばれることで、大量生産・不当な低賃金で運営している会社は安定した経営ができなくなるでしょう。

児童労働をなくすためにも、私たちが選ぶファッションが、衣服や原材料を作る人の労働環境に繋がっていると心に留めておくことが大切です。

エシカルファッションのデメリット

エシカルファッションの選択は、人によってはマイナス面になることもいくつかあり、よく考えることが必要です。

ここでは、エシカルファッションのデメリットを紹介します。

高価である

エシカルファッションブランドの衣服は、ほかのブランドの服に比べて高価です。

エシカルな衣服を作ろうとすると、栽培に手間がかかる原材料を使い、環境に負荷のかかる早くて便利な加工法も避けて製品づくりをする必要があります。

時間がかかっても環境に配慮して作り上げ、生産者や労働者に適正な賃金を払うには、機械で大量生産された衣服より高価になるのは当然です。

身の回りの衣服すべてをエシカルブランドのものに変えることは、むずかしい人も多いでしょう。

明確な定義がない

「オーガニック」な製法や、適正賃金を支払う「フェアトレード」には認証基準がありますが、「エシカルファッション」には、明確な定義がまだないこともデメリットです。

世界100か国以上が参加している「Ethical Fashion Forum」や、日本の「Ethical Fashion Japan」ではエシカルファッションの基準を定めていますが、認証マークなどはまだありません。

作り手が「エシカルに作ったものだ」と言えば、信じるしかないのが現状です。

近年は、見せかけだけエコや環境に配慮していると謳う「グリーンウォッシュ」ブランドも問題になっています。

作り手が本当にエシカルに取り組んでいるかどうかは、消費者がしっかり見極めなければいけません。

エシカルファッションを選ぶポイント

エシカルファッションの意味は分かっても、実際にどのような衣服ならエシカルなのかがわからないですよね。

ここでは、エシカルファッションを選ぶポイントを紹介します。

環境や労働者に配慮されているか

まずは、環境や労働者に配慮して作られているかを確認しましょう。

具体的には、原材料であればオーガニックの認証機関である「GOTS」の認証マーク、労働者に適正賃金を支払っているかは「フェアトレードラベル」があるかがひとつの基準です。

《GOTS認証マーク》

出典:日本サステナブル・ラベル協会

《国際フェアトレード認証ラベル》

国際フェアトレード認証ラベル

出典:フェアトレードジャパン

もちろん、まだ認証を得られていない小さな会社などでも、エシカルファッションに取り組んでいるところはたくさんあります。

上記のラベルやマーク、公式サイトや口コミ情報などもあわせて、自分が素敵な考え・取り組みだなと思うブランドを選んでみてください。

トレーサビリティが確保されているか

トレーサビリティ(いつ・誰が・どのように作ったか追跡できること)が確保されているかどうかも、エシカルファッションかどうか判断するポイントのひとつです。

原材料からどのような過程を経て消費者の手元に届くのか、「顔が見えるものづくり」をしているブランドは安心感があります。

企業の透明性と消費者にとっての安心を大切にしているブランドなら、トレーサビリティへの取り組みについても情報を明らかにしているはずです。

企業やデザイナーがエシカルを意識しているか

エシカルファッションを選ぶには、企業やブランド、デザイナーなど衣服づくりをしている人々がエシカルを意識しているかどうかも重要です。

そのブランドがどのような想いで衣服を作っているか、社会問題に取り組んでいるかは、公式サイトの専用ページやブログなどで確認できます。店舗がある場合は、店員さんから聞くのもより理解が深まるでしょう。

作り手の想いを知り、共感できるかどうかを判断材料にするのがおすすめです。

エシカルファッションブランドのおすすめ4選

次に、エシカルファッションを展開するおすすめのブランドを日本2社、海外2社の計4つ紹介します。

日本産のブランドは海外ブランドに比べて輸送費なども少なく、とくにエシカルと言えるでしょう。

天撚(てんねん)

天撚

出典:天撚

「天撚(てんねん)」は、「ゴミを出さない、生まない、服づくり」をコンセプトとしたエシカルファッションブランドです。オーガニックのコットンやシルクなど、環境と人の健康に優しい素材を選び、生地だけでなくボタンや縫い糸までもすべて天然素材にこだわっています。

今ある天然素材を使うだけでなく、古着からリサイクル糸を紡いだり、オーガニックコットンを栽培したりと、自社での挑戦も続けていますよ。

自らの体験記や、人と環境に優しい製品を扱う作り手への取材記事など、Webマガジンでの発信も頻繁にしており、ブランドの想いを受け取りやすいのも魅力です。

商品はオンラインショップと、全国の取扱店で購入できます。

店舗情報

天撚
電話番号メール対応のみ
公式サイト

Maito Design Works(マイトデザインワークス)

出典:Maito Design Works

Maito Design Works(マイトデザインワークス)は、小室真以人(こむろまいと)さんが2010年に立ち上げたエシカルファッションブランドです。

安全性が高く、環境に優しい天然染料を使った「草木染め」の方法を使い、ニット製品を中心に販売しています。

アトリエ、工場、ニット工場はすべて日本国内にあり、オンラインショップと、期間限定で各地方に出店しているショップで製品を買うことが可能です。

四季折々を楽しむように、植物由来による自然な色合いの衣服が楽しめます。

店舗情報

Maito Design Works(マイトデザインワークス)
電話番号03-3863-1128
公式サイト

PRISTINE(プリスティン)

PRISTINE

出典:PRISTINE

PRISTINE(プリスティン)は、ずっと使い続けられる「持続性」や環境への配慮などを大切に、オーガニックコットン製品を手掛けているブランドです。

手間をかけて作られたアメリカやインド産の原綿を輸入し、綿が本来持つ色合いを活かして染めることなく衣服や雑貨品を作っています。すべてUSDA(米国農務省)やGOTSの認証を受けたオーガニックコットンを使っており、トレーサビリティも確保しているため買い手側も安心できるブランドです。

製品は日本全国にある直営店と取扱店、オンラインショップで買えます。

店舗情報

PRISTINE(プリスティン)
電話番号03-3226-7110(本店)
公式サイト

People Tree(ピープルツリー)

People Tree

出典:People Tree

People Tree(ピープルツリー)は、エシカルやサステナブル(持続可能)なファッションを30年以上つくり続けてきた、フェアトレードのパイオニアとも言えるブランドです。

「人も木も、地球上の生きとし生けるものが調和し共生できる、フェアでサステナブルな世界を共につくっていきたい」という想いを込めて「ピープルツリー」の名が付けられました。

自社デザイナーにより日本で売れるように流行をチェックしつつ、手織り、手刺しゅう、草木染めなど、インドやバングラデシュの伝統手法を積極的に取り入れています。

商品は東京の直営店2店や、全国の取扱店、オンラインショップで買うことが可能です。

店舗情報

People Tree(ピープルツリー)
電話番号03-5701-3361(自由が丘店)
公式サイト

【今日からできる】エシカルファッションへの取り組み

エシカルファッションブランドで新しい服を買う以外にも、衣服におけるエシカルな取り組みをすることは可能です。

具体的には、以下のような行動ができます。

  • 良いものを選んで少なく買う
  • 今持っている衣服を大事に着る
  • レンタルを上手に利用する
  • リサイクル・リセール・リメイクを利用する
  • まだ着られるものはフリマアプリなどでほかの人に渡す

買ってみたは良いけどあまり着る機会がない場合は、きれいなうちに「メルカリ」や「ラクマ」などのフリマアプリで売るのもひとつの手です。

衣服に愛着を持ち、買い方・使い方をよく考えて過ごすだけでも、エシカルファッションへの第一歩を踏み出せています。

エシカルファッションを取り入れて環境と人に優しく生きよう

ここまでエシカルファッションについて、言葉が指すものやメリット・デメリット、衣服の選び方やおすすめブランドなどを紹介してきました。

エシカルへの取り組みは押し付けではなく、嫌々行うものではありません。

環境や人に良いものを選んだり、ファッションブランドがものづくりに込めた想いなどを感じたりすることで、「衣服を買う・着る」という行為を自然に楽しめたら素敵です。

買い物をするときに、その製品がどのように作られたか考えるだけでも、世界全体で見ると大きな意識改革となります。できることから、無理のない範囲でよいので、環境と人を守るためにエシカルファッションを取り入れてみてください。

サステナブルファッションって何?今すぐできる楽しみ方を紹介

小池|KOSOTTO編集部

小池|KOSOTTO編集部

元バッグセレクトショップ店員。旅行とファッションが好き。古着をきっかけにサステナブルファッションについて興味を持ち、勉強中。

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