マジョリティとは?社会的マイノリティやSDGsとの関係についても解説

SDGs

「マジョリティ」という言葉をニュースやネットで耳にしても、意味やどのように使われるのかを具体的に知らない人もいるのではないでしょうか。

マジョリティとは多数派・多数者を示す言葉であり、社会において主要であるとされる人々を指します。マジョリティやマイノリティについて知識がないと、気づかずに周りの人を傷つけてしまうかもしれません。

この記事では、マジョリティの意味や具体例、使われ方などを解説します。マジョリティ・マイノリティを考えるうえで大切なことも解説するので、理解を深めたい人はぜひ最後まで読んでみてください。

マジョリティとは

そもそも「マジョリティ」とは何を指した言葉なのでしょうか。

ここでは、マジョリティの定義や使われ方、対義語である「マイノリティ」について解説します。

語句の意味

マジョリティとは、「多数派」「多数者」を意味した言葉です。英語では「majority」と書き、主要・重要であるという意味の「major」と関わりをもっています。

単に人数が多い=マジョリティではなく、多数派かつ“重要視”されている人たちがマジョリティです。

記事の後半で具体例を紹介しますが、右利きや健常者など、その人たちを中心として物事が考えられているような多数派のことをマジョリティと呼びます。

対義語

マジョリティの対義語は「マイノリティ」と言い、「少数派」「少数者」を意味した言葉です。英語では「minority」と表し、あまり重要でないという意味を持つ「minor」と関わりがあります。

人々が集まって暮らしていると、どうしても多数派と少数派ができるため、区別や差別が生まれやすいです。

マジョリティとマイノリティは対で使われる言葉であり、マジョリティが重要視される世の中で、マイノリティと呼ばれる人々の多くは生きづらさを感じています。

マイノリティについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。

マイノリティとは?社会問題になっている背景を具体例とともに解説

使われ方

マジョリティという言葉は、以下のように使います。

  • 私は、マジョリティにウケるようにつくられたアートはつまらないと思う。
  • マジョリティの意見に押しつぶされないように、公平な意見交換の場にしよう。
  • 日本において宗教上のマジョリティは仏教だが、ほかの宗教を信仰している人もいる。
  • 女性を好きになるのがいくらマジョリティだろうと、僕は男性が好きだ。
  • 新商品のコンセプトを考えるときに、マジョリティの把握は不可欠だ。

マジョリティとマイノリティは分類上の区別であり、マジョリティが正しい・普通と考えることは差別にあたります。

しかし、実際はマジョリティ・マイノリティという言葉が差別的に使われているケースも多く、問題視されているのが現状です。

マジョリティの種類とは

マジョリティには、いくつかの種類があります。

ここでは、マジョリティのなかでもよく使われる言葉を3つ紹介するので、具体例とともに意味を確認してみてください。

シンプルマジョリティ

「シンプルマジョリティ」とは、「大多数」「ポピュラー」などと同じ意味をもち、全体の半数はいかないものの、必要最小限の人数は満たしている場合を指します。

たとえば飲食店の口コミサイトにおいて、感想を投稿した人は全体の利用者のうち半分以下かもしれません。しかし口コミ評価が良ければ、これからの利用を考えて検索している人も、店側も「利用者の多くが満足している」と捉えますよね。

選挙においても同様で、シンプルマジョリティは「有権者の過半数以上」という意味も持つ言葉です。

ノイジーマジョリティ

「ノイジーマジョリティ」とは、「必要以上に声を上げる多数派」を指します。ノイジー(noisy)はうるさい、騒がしいという意味です。

マジョリティであることを振りかざし、「これが普通」「○○なんてあり得ない」と声高に少数派を批判する人々を指します。

誹謗中傷による事件や炎上なども、SNSの普及にともなってノイジーマジョリティが声を上げやすくなった結果です。

サイレントマジョリティ

「サイレントマジョリティ」はノイジーマジョリティの対義語で、積極的には声を上げない多数派を指します。

「静かな大衆」「声なき声」などとも呼ばれ、先ほどの例で言えば、ネットに口コミは書かないけれど、飲食店を気に入っているリピーターがサイレントマジョリティです。

声を上げている人たちの主張ばかりを気にしていると、とくに意見していない大多数の意向を汲み取れず、政治やビジネスなどで方向性を見誤る危険があります。

サイレントマジョリティーの意味は?使い方やマイノリティとの関連性

日本におけるマジョリティの例とは

日本に住んでいる人にとって、身近なマジョリティの例にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、日本におけるマジョリティの例をいくつかご紹介します。

社会的マジョリティ

人々が集まって社会を形成し、その一員として生きていくなかで、マジョリティとマイノリティが生まれることは避けられません。

社会的マジョリティの例は、意識していないだけで身近にあります。

右利き

右利きがマジョリティで、左利きがマイノリティです。左利きの割合は少なく、昔は子どもが左利きで生まれた場合、右利きに矯正させる家庭もありました。

少数派なために攻略がしにくく、有利になるスポーツなどを除き、施設や生活用品の多くは右利き用に作られており、生活がしにくいと感じる左利きの人は多いでしょう。

はさみなどの道具は左利き対応のものも販売されていますが、ドアノブや駅の改札機など、施設はまだまだ右利き仕様です。

健常者

社会的マイノリティとされる障がい者に対し、健常者はマジョリティと言えます。

バリアフリーでない施設や、知的障がい者や精神障害を持つ人に対しての理解がない学校・職場など、生きづらいと感じている障がい者は多いです。身体・知能・精神的に障害を抱えていないマジョリティの健常者は、とくに問題なく暮らしています。

意識をしないでも暮らせるがゆえに、点字ブロックを自転車で塞いでしまう、人前で「精神病は甘えだ」と話してしまうなど、障がい者のことを考えない人もいるのが現状です。

大和民族

日本語を母国語とし、日本列島における住民のうち大半を占める大和民族もマジョリティです。大和民族に対し、北海道の先住民族である「アイヌ族」や、日本で暮らす外国人などがマイノリティにあたります。

出生地的にマイノリティな人々は、現代においても少なからず言語や文化の面で差別されたり、偏見の目を向けられたりすることもあり、不利益を被りがちです。

両親とも日本人の子ども

日本において、マイノリティであるハーフ(現代ではミックスとも呼ぶ)の子どもに対し、親が両方日本人の子どもはマジョリティです。

「どこの国とのハーフなの?」といちいち聞かれたり、日本育ちなのに「だから考え方が外国っぽいんだね」と血筋で分類されたりすることに傷ついているハーフの人もいます。

性的マジョリティ

社会的マジョリティ・マイノリティのうち、性対象や性自認に関するものを性的マジョリティ・マイノリティと呼びます。

レズビアンやゲイ、バイセクシャルなどの総称である「LGBTQ」という言葉も浸透してきましたが、まだ偏見や差別があるのが現状です。

異性愛者

自分と異なる性別の人に対して恋愛感情・性的欲求を抱く異性愛者の数は多く、マジョリティと言えます。

異性愛者に対し、以下は性的マイノリティです。

  • レズビアン:女性を好きになる女性
  • ゲイ:男性を好きになる男性
  • バイセクシャル:男女ともに好きになる人
  • アセクシャル:恋愛感情の有無に関係なく、他人に対して性的欲求を抱かない(または少ない)人
  • アロマンティック:性的欲求の有無に関係なく、他人に対して恋愛感情を抱かない人
  • ノンセクシャル:恋愛感情はあるが、性的欲求は抱かない人

マジョリティである異性愛者でも、上記のようなマイノリティを受け入れている人と、「対象は異性で、恋愛感情・性的欲求があるのが普通」だと偏見を持つ人とがいます。

また2023年現在、法律で認められた結婚も戸籍上の異性間のみです。

性的マイノリティのなかにも、「認められないのはおかしい」と声を上げる人もいれば、受け入れてもらえないことを恐れてまわりへのカミングアウトをためらう人もいます。

身体と心の性別が一致している人

生物学的な性と、自覚している性が一致している人もマジョリティです。

心身の性別が一致していないマイノリティには、以下のような分類があります。

  • トランスジェンダー:自分が思っている性別と身体的性別が違う人
  • クエスチョニング:自分の性がないと思う、あるいは分からないと感じている人
  • クィア:既存の性カテゴリにとらわれない、あらゆる性のあり方の総称
  • Xジェンダー:自身の性自認を男女だけに当てはめない人

心身の性が異なる性的マイノリティのなかには、偏見を受けないように自認する性別と異なる性別で振る舞ったり、大衆浴場や健康診断に障壁を感じたりする人もいます。

性自認と身体が一致するマジョリティの人々は、性的マイノリティを理解するとともに、無理に分類しよう、名前をつけようとしないことが重要です。

ビジネスにおいてのマジョリティ

ビジネスやマーケティングにおいて、マジョリティの把握は必要不可欠です。製品やサービスを提供しても、感想や意見・要望を伝えてくれる消費者は全体におけるほんの一部にすぎません。

新商品の開発や既存商品のテコ入れなどをする際には、いかにマジョリティの動向を的確に捉えられるかが重要です。

マーケティング用語として使われるマジョリティについても、ぜひ意味を知ってみてください。

アーリーマジョリティ

「アーリーマジョリティ」とは、比較的早い段階で新商品や新しいサービスなどを受け入れる人々のことです。

マーケティング論のひとつである「イノベーター論」では、人々が新しいものを受け入れる早さを5段階に分けており、アーリーマジョリティは3番目に位置します。

アーリーマジョリティに受け入れられる段階に入れば、新しいものが一般的にも普及する見込みが立つとされており、マーケティングにおいて指標となる層です。

レイトマジョリティ

「レイトマジョリティ」とは、新しい商品やサービスを受け入れるのに消極的で、多くの人々が良い評価をして初めて試してみようとする層のことです。

アーリーマジョリティよりひとつ下の4段階目であり、レイトマジョリティが受け入れれば、新しいコンテンツは「流行っている」と言えます。

アーリーマジョリティとともに、マーケティングの指標となっている層です。

サイレントマジョリティ

前述したサイレントマジョリティ=積極的に声を上げることはしない人々の把握は、マーケティングにおいても重要視されています。

歌手が大好きでもファンレターは送らないファン、リピートしている飲食店があっても口コミを書かないお客さんなどがその一例です。

声を上げてくれる人の意見ばかりを聞き、サイレントマジョリティの意向を捉えることができていないと、いずれ商品やコンテンツは見放され、廃れることになります。

マジョリティとマイノリティを理解するためにできることとは

マジョリティとマイノリティの意味や例を理解したあとは、無意識で差別や偏見をしないよう、日頃から意識することが大切です。

マイノリティを理解するための考え方

マジョリティの人々がマイノリティを理解しようとするときは、以下の考えも参考にしてみてください。

  • 自分がマジョリティであっても、自分の価値観が当たり前だとは思わない
  • 断片的に仕入れた知識が、目の前にいるマイノリティな人にも当てはまるとは限らない
  • 同性愛者とトランスジェンダーなど、多様なマイノリティを混同・誤解しない

「普通はこうだよね」と多数派が正しいような言い方や、「あの人はゲイらしい(実際はバイセクシャル)」といった誤解などをしないようにしましょう。

マジョリティの人が知っておきたい注意点

マジョリティの人が注意したいのは、マイノリティを受け入れられない人だけでなく、断片的な知識で「理解した気になっている」人が相手を傷つける可能性です。

「障がい者だから手助けが必要」「トランスジェンダーだから温泉旅行に誘わないほうがいい」など、目の前の個人を見ずに“マイノリティの型”に当てはめるのは良くありません。

自分がマジョリティだからと優位性を振りかざさないことはもちろん、あいまいな理解や認識のズレが生まれないよう、お互いの対話を大事にしましょう。

マジョリティの理解はSDGsにつながる

マジョリティとマイノリティを理解することは、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とも関係しています。

以下の目標は、マジョリティ・マイノリティととくに関連性が高いです。

  • 目標1「貧困をなくそう」
  • 目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • 目標10「人や国の不平等をなくそう」
  • 目標16「平和と公正をすべての人に」

ひとりひとりがマジョリティ・マイノリティを理解すれば、地域、国、やがては世界全体で意識が変わり、「誰ひとりとして残さない」とするSDGsのゴール達成に近づけます。

環境や飢餓・衛生、資源や経済だけでなく、人の問題にも着目する社会の実現を目指しましょう。

マジョリティとは何かを理解して視野を広げよう

ここまでマジョリティについて、意味や具体例、理解のためにひとりひとりができることやSDGsとの関連性などを紹介してきました。

マジョリティの人々は、暮らすうえで問題点を感じることが少なく、当たり前の環境に慣れて、マイノリティの思いに気づかない・理解できないこともあります。

マジョリティ・マイノリティは置かれている環境によって変動するので、もしかしたら明日、自分も何かのマイノリティに属するかもしれません。

「マジョリティだから」「マイノリティだから」と決めつけることなく、ひとりひとりがまわりの人に対する気遣いや思いやりをもつことが大切です。

さまざまな人が生きやすい世の中にするために、自分にできることを考えてみるだけでも、世界が一歩良い方向に進むのではないでしょうか。

小池|KOSOTTO編集部

小池|KOSOTTO編集部

元バッグセレクトショップ店員。旅行とファッションが好き。古着をきっかけにサステナブルファッションについて興味を持ち、勉強中。

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