毎年初詣に行くとお守りを買い、家に古いお守りが溜まっているという人も多いのではないでしょうか。縁起物の一種であるお守りは捨て方が難しく、普通のごみに出すのは躊躇してしまいがちですよね。
実は、お守りの捨て方は何通りかあり、どれもそれほど手間やお金がかかるものではありません。作法を知っていれば正しく処分できますよ。
しかし正しい方法や依頼先を知っていなければ、お守りの処分を依頼しても断られてしまうことも。失礼のないように、お守りについての知識や処分の仕方、注意点も理解しておきましょう。
この記事を読んでお守りの知識を身に着ければ、縁起物として心を込めて手放せます。部屋の整理や引っ越しなどでお守りの捨て方がわからず困っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
お守りは捨てるのではなくお返しするもの
お守りには、神様や仏様が宿った御神璽(ごしんじ)という紙や木の札が入っています。
そのため、お守りを捨てるというのは正しい言い方ではありません。「買う」「捨てる」といったものではなく、「授かる」「お返しする」というのが正確な表現です。
授かったお守りは神が宿る縁起物なので、お返しの仕方にもルールがあります。お守りをお返しするタイミングになったら、さまざまなことから守ってもらった感謝の気持ちをこめて、正しい方法でお返ししましょう。
正しいお守りの手放し方7つ
授かったお守りは正しい方法で手放す必要があります。お返しする先を間違えると、相手に迷惑をかける可能性も。
以下にご紹介する手放し方のうち、自分が利用しやすい方法で、心を込めてお守りをお返しするようにしましょう。
1. 授かった神社やお寺へお返しする
授かった神社やお寺が近くにあれば、そのまま授かった場所へお返しするのがいいでしょう。
敷地内に「古神札納め所」という、古い札やお守りを納める箱が設置されているところは、そこに入れることでお焚き上げをしてもらえます。賽銭箱が横に設置されていれば、お気持ちを賽銭箱に入れましょう。
納め所がないところは、お焚き上げをしてもらえるかを社務所か電話で問い合わせてみてください。いきなり持って行って許可なく置いてくるのはルール違反です。
2. 近くの神社や寺へお返しする
授かった神社やお寺が遠方にあるなどの理由でお返しするのが難しい場合は、近くの神社やお寺にお返ししても問題ありません。その場合は、近くの神社やお寺がお焚き上げをしてくれるかどうかを事前に問い合わせて確かめておきましょう。
神社のお守りは神社へ、お寺のお守りは宗派が同じお寺へのお返しが基本です。近くに同じ宗派のお寺がない場合は、ほかの宗派のお守りでもお焚き上げをしてもらえるかも事前に問い合わせるといいでしょう。
3. 郵送で受け付けてくれる神社や寺へ送る
出雲大社や太宰府天満宮など、郵送でもお焚き上げの依頼を受けてくれる神社やお寺もあります。自社のお守りのみ郵送でも受け付けるというところもあるので、事前に確認したうえで郵送しましょう。
多くの場合神札やお守りのみで、そのほかの縁起物は受け付けていないことが多いです。
郵送の際は、お気持ちとしてお焚き上げ料を1,000円程度を同封する場合もあります。お気持ちなので、絶対包まなければならないわけではありません。
4. 家の近くのどんどやきでお焚き上げをする
どんど焼きとは、1月15日前後に前年の年神様を見送るお祭りのこと。地域の人が集まって火をおこし、前年のお守りや縁起物のお焚き上げをします。通常は地域の神社や広場、畑などで行われるお祭りです。
一年分のお守りだけでなく、正月飾りなどの縁起物も一緒にお返しできます。神社の古神札納め所ではお返しできない大きな縁起物も持っていけることがほとんどです。
燃やす際はポリ素材や金属などは、分別してから火の中に入れるようにしましょう。
5. 自宅でお焚き上げをする
どんど焼きがない時期にお守りをお返ししたい場合は、自分でお焚き上げをするという方法でお返しができます。
まずポリ素材などは取り外し、粗塩でお守りをお清めしましょう。そのあとバーベキューセットのように火をつけられる場所で火をおこし、お守りを入れます。
その際、直接お守りに火をつけるのではなく、火をおこした場所にお守りを入れて焼くようにしてください。
6. 燃えるごみに出す
自宅でお焚き上げができない場合に、すぐにお守りをお返しできるのは燃えるごみに出す方法です。
まずはお焚き上げと同様に、お守りをお清めします。それを分別して燃える部分だけ燃えるごみに出すのですが、その際できるだけ家庭ででる生活ごみとは分けて出すようにしましょう。
袋がもったいないと感じるかもしれませんが、神の力を授かっているお守りなので、感謝の気持ちを込めて丁寧に扱うほうが、気持ちよくお返しできるのではないでしょうか。
7. 不用品回収業者に引き取ってもらう
お守りのほかに縁起物など、お焚き上げしたいのにタイミングがないというものがある人は、不用品回収業者への依頼がおすすめです。必要なものはお焚き上げをしてから廃棄してくれます。
しかし、お守り1点から回収してくれる業者は少なく、ある程度まとまったお金がかかることがほとんどです。お守り・縁起物が複数点ある場合や、そのほかの不用品が家にある場合は、査定を受けて利用を検討してみてはいかがでしょうか。
お守りのお清め方法
自宅でお守りをお返しする場合に前もってしておきたいのが、お清めです。ここではお守りのお清め方法をご紹介します。
必要なものは粗塩と半紙(白い和紙)です。
- 床に半紙を置き、真ん中にお守りを置く
- 粗塩をひとつかみ手に取る
- お守りの左、右、左の順で粗塩をかける
- 下に敷いた半紙でお守りを包む
以上でお清めが完了します。神様や仏様への感謝の気持ちをこめて行いましょう。
お守りの処分にかかる費用
お守りをお返しする方法としてご紹介した7通りの方法は、無料で行えるものもあればお金がかかるものもあります。
ここでは、それぞれの目安となる費用を見ていきましょう。
お返しする方法 | 費用 |
---|---|
授かった神社や寺へお返しする | 無料/お気持ち(1,000円程度・お守り同額程度) |
近くの神社や寺へお返しする | 無料/お気持ち(1,000円程度・お守り同額程度) |
郵送してお返しする | 送料+お気持ち(1,000円程度・お守り同額程度) |
どんど焼きで焚き上げる | 無料 |
自宅でお焚き上げをする | 無料 |
燃えるごみに出す | 無料(地域によっては燃えるごみの袋代など) |
不用品回収業者へ依頼する | お焚き上げサービス代として1,600~5,000円 ほかの不用品の処分も一緒に依頼すると15,000~30,000円 (量に応じて変動あり) |
いつまで持ってる?お守りを手放すタイミング
有名な神社へ行って授かったものなど、手放したくないお守りを持っているということはありませんか?
「お守りは長く持っていると良くない」といわれることもありますが、一方でお守りの有効期限はないという考え方もあります。
ここでご紹介するお守りをお返しするタイミングは、あくまでたくさんある考え方のうちのひとつだと考えてください。
お守りの期限は原則1年
家内安全・商売繁盛など、初詣の際に一年を祈念してお守りを授かるという人が多いのではないでしょうか。
このように、1年間の実りを願いに込めたお守りは、1年でお返しするという考え方の人が多くいます。
明確なルールがあるわけではなく、初詣のときにお守りも授かるという流れを毎年行っている人が多いことから、1年でお守りを変えるという考え方が広がっているのです。
願いが達成されたときに手放すのも良い
安産祈願や合格祈願など、ゴールが明確に存在する願いごとのためのお守りがあります。これらのお守りは、願いが達成された時点がお返しするタイミングとして考えるのが望ましいです。
とはいえ、いつまでにお返ししなければならないという期限があるわけでもありません。赤ちゃんが生まれたあとや、合格したあとは生活が変わって忙しくなる時期でもあります。
願いが達成されたお礼の気持ちも合わせてお伝えできるよう、時間に余裕が持てるときにお返しするといいでしょう。
お守りをお返しする際の注意点
お守りをお返しするときに、いくつか気をつけるべきことがあります。神様が宿っているとされるお守りなので、最後まで丁寧に扱いましょう。
注意点を守り、今まで守ってもらった感謝を込めて失礼のないようにお返しする心がけが大切です。
神社とお寺は区別する
神社はさまざまな神を祀る神道の宗教施設で、お寺は仏教の宗教施設です。どちらもお守りを授かることができる施設ではありますが、祀られているものはまったく異なります。
当然授かるお守りも宿っている対象が異なるため、お返しする際は必ず神社のお守りは神社へ、お寺のお守りはお寺へお返ししましょう。
お寺はさらに細かく宗派に分けられ、考え方も異なります。授かったお寺に返しに行けない場合は、同じ宗派のお寺に返しに行きましょう。別の宗派のお寺に依頼すると、断られる可能性もあります。
燃えるごみに出すときは家庭ごみと分ける
お守りは神や仏が宿る神聖なものです。お清めしたうえで燃えるごみとして出す場合は、お守りが汚れないように家庭ごみとは分けて出しましょう。
廃棄用の袋を分けるだけで大丈夫です。お守りが汚れないようにという配慮なので、同じ縁起物であるお札や破魔矢などの縁起物を一緒に袋に入れるのはいいと考えられています。
お守りだけではもったいないと感じる人は、一緒に縁起物もお清めして出すといいのではないでしょうか。
お焚き上げをお願いする際は事前に確認をとる
神社やお寺にお焚き上げをお願いする場合は、事前に電話などでお焚き上げをしてくれるかどうか確認をとりましょう。
施設によっては、ほかの施設のお守りはお焚き上げできないというところや、そもそもお焚き上げをしていないというところもあります。いきなり行って依頼するのは迷惑になるので、「どこのお守りを」「いつ」持っていくのかを事前に伝えましょう。
無料で行ってくれる施設もありますが、お焚き上げをしてくださったという気持ちで少額を包むこともあります。
お守りをずっと持ち続けるのは問題ない?
お守りは中に神様が宿るお札が入ったもので、神様の力が宿ったものと考えられています。神様の力には限りがないため、原則お守りに有効期限などは存在せず、持ち続けても問題ありません。
しかし安産祈願や合格祈願など、何か願いごとをしてかなったときは、お守りをお返しせずとも「神への感謝の気持ち」を伝えるためのお礼参りは行いましょう。遠くて授かった神社やお寺へ行けない場合は、近くの神社や宗派の同じお寺へのお参りで問題ありません。
心を込めてお守りをお返ししよう
お守りの捨て方について、正しいお返しの方法や注意点などをご紹介しました。
お守りは、初詣や願いごとの祈願などの際に授かることが多いのではないでしょうか。授かるときには願いを込め、神様や仏様に祈りますが、意外と手放すタイミングで感謝を込めるというところまで気が配れないこともありますよね。
しかし、自身や周囲を守ってくれた存在だということを忘れず、心を込めて正しいお返しの仕方を心がけましょう。