最近は電気代が高騰していることから、換気扇を回していても意外に電気代がかかっているんじゃないか?と疑ってしまう方もいるようですね。
しかし、換気扇にかかる電気代はかなり少ないので、たとえば弱で24時間回していても、1日あたり10円を超えない換気扇はざらにあります。
ただし、エアコンとの併用などで使い方を間違ってしまうと、思わぬ電気代の損につながることも考えられるので注意が必要です。
この記事に掲載した「各換気扇の電気代の目安」「24時間つけっぱなしの是非」「換気扇の節電のコツ」などを参考に、正しい知識で賢く換気扇を活用できるようになってくださいね。
【場所別】換気扇の電気代はどのくらい?
ひとくちに換気扇といっても、設置している場所によって種類や型が異なり、電気代にも差が出ます。ここからは、場所別の換気扇の電気代について詳しくお伝えします。
キッチンの換気扇
キッチンに設置されている換気扇は、主に「プロペラファン」 と「シロッコファン」の2種類。プロペラファンは扇風機に似た羽根をもつ換気扇で、屋内で吸い込んだ空気を、ダクトを経由せず屋外へ直接排出することが特徴です。
一方シロッコファンは、羽根がドラム状につけられた換気扇で、吸い込んだ空気をダクトを通して外へ排出します。またシロッコファンは、レンジフードと呼ばれる排気設備と一体になっていることが多いです。
それでは、プロペラファンとシロッコファンの電気代はどれくらいなのか、下の表にまとめたのでご覧ください。
FY-25PM5(パイプファン) | FY-6HTC5-S(シロッコファン) | ||||
---|---|---|---|---|---|
消費電力(W) | 電気代(1時間) | 消費電力(W) | 電気代(1時間) | ||
風量 | 強 | 23.5 | 0.62円 | 98 | 2.6円 |
弱 | 22.0 | 0.58円 | 57.5 | 1.52円 | |
常時 | – | – | 19 | 0.50円 |
パナソニックから発売された金属製換気扇(プロペラファン)「FY-25PM5」と、スマートスクエアフード(レンジフード)「FY-6HTC5-S」の消費電力と電気代をまとめました。レンジフードについては、常時換気モードであれば大幅に電気代を抑えられるでしょう。
トイレの換気扇
トイレに設置される換気扇は、キッチンと同じくプロペラファンとシロッコファンの2種類が主です。シロッコファンについては、キッチンに用いられるようなものとは少々異なり、天井に設置されます。
また、トイレの換気扇の主な役割のひとつは、やはり臭いの除去でしょう。トイレを使用する度、あるいは常時稼働させることが多いため、他の場所と比べて長い時間稼働させることになりやすいです。
こちらではトイレ用のプロペラファンとシロッコファンの電気代について見ていきましょう。
FY-08PFRY9VD(プロペラファン) | FY-17CD8V(シロッコファン) | ||||
---|---|---|---|---|---|
消費電力(W) | 電気代(1時間) | 消費電力(W) | 電気代(1時間) | ||
風量 | 強 | 1.9 | 0.05円 | 2.4 | 0.06円 |
弱 | 1.4 | 0.04円 | 0.9 | 0.02円 |
※電気代は、電源周波数を50Hz、電力供給会社を東京電力として算出。
パナソニックから発売されたパイプファン(プロペラファン)「FY-08PFRY9VD」と、天埋換気扇(シロッコファン)「FY-17CD8V」を例に取り、消費電力と電気代をまとめたものが上の表です。
どちらの換気扇も、24時間常時換気を推奨している機種であり、長時間稼働を前提としているため、換気量を少なくするかわりに消費電力が抑えられています。
お風呂の換気扇
お風呂の換気扇は、浴室換気乾燥機や天井埋込形換気扇、壁埋込形換気扇などが主流です。乾燥や暖房、冷風など、換気以外の機能が付加されたものが多いですが、換気扇の部分だけをみればプロペラファンとシロッコファンの2種類に分けられます。
お風呂の中の悪臭を防いだり、カビの発生を抑制したりするため、トイレ用のものと同じく常時換気を推奨している機種が多く、消費電力が重要だと言えるでしょう。
それでは、お風呂に設置される換気扇の電気代を表にまとめたものが下表になります。
FY-13U2(プロペラファン) | FY-17C8(シロッコファン) | ||
---|---|---|---|
消費電力(W) | 電気代(1時間) | 消費電力(W) | 電気代(1時間) |
3.8 | 0.10円 | 7.6 | 0.20円 |
※電気代は、電源周波数を50Hz、電力供給会社を東京電力として算出。
パナソニックから発売された、浴室用換気扇壁埋込形(プロペラファン)「FY-13U2」と天埋換気扇(シロッコファン)「FY-17C8」の消費電力と電気代をまとめました。お風呂用の換気扇には付加機能のついたものが多いですが、今回は分かりやすいように換気扇のみのシンプルな機種をピックアップしています。
消費電力が低く抑えられており、長時間稼働させても電気代があまりかかりません。お風呂場の換気にはありがたいですね。
換気扇を使うことのメリット
換気扇を使うことには、空気を入れ替えてきれいにするほか、様々なメリットがあります。そのなかから主なものを5つをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
カビの発生を防ぐ
換気扇には湿った空気を外へ逃し、湿度を下げる効果があるので、カビの発生を防ぐ効果があります。お風呂や洗面所、キッチンなど湿気が多い場所での換気扇の使用は効果的だと言えるでしょう。
また、ワンルームマンションなどの気密性の高い場所では換気をしないと湿気がこもり、カビが発生しやすくなるため、特に換気扇を使うことが有用です。
結露を防ぐ
換気扇を使うことで、水蒸気を多量に含んだ湿度の高い空気を外へ出すことができます。これには、冬場などによく起こる結露を防ぐ効果があり、窓やその周辺の物を清潔に保つことが可能です。
カビと同様、結露も気密性の高い場所で生じやすいので、ワンルームマンションなどにお住まいの場合はぜひ換気扇を活用してください。
嫌な臭いも取り除く
換気扇による空気の入れ替えには、嫌な臭いを取り除く効果もあります。換気扇の設置されている場所は、トイレはもちろん台所やお風呂なども、嫌な臭いが発生しやすいため有効にはたらきます。
特にトイレに設置されている換気扇は、トイレ使用時に稼働させるか、常時稼働させることがおすすめです。
黄砂・花粉・ほこりなども換気
換気扇を使用することで、部屋の中がほこりっぽくなることを防ぐことができます。ほこりはアレルギーや病気を引き起こすこともあるので、換気扇を積極的に使用すると良いでしょう。
また、黄砂や花粉などが部屋に入ってしまった場合でも換気扇を使用して換気することが有効です。
シックハウス症候群の予防
家具や建材などから生じる有害な化学物質によって室内が汚染されることによって発症するシックハウス症候群も、換気扇の使用によって予防できます。換気を行うことで、室内に存在するシックハウス症候群の原因となる有害な化学物質を、室外へ排出できるためです。
換気扇は24時間つけっぱなしがいい?
換気扇をつけっぱなしにしたほうが良いのか、それとも電気代のことを考えて使うべきときだけ使ったほうが良いのか、悩む方が多くいるでしょう。
結論から言うと、換気扇は24時間つけっぱなしにしたほうが良いです。換気扇をつけっぱなしにすることによるデメリットは電気代の増加ですが、換気扇の消費電力は低く、24時間あたりの電気代は高くとも15〜20円程度に収まります。
一方で、つけっぱなしにしないことによるデメリットは、カビや結露の増加や悪臭の滞留など数多くあります。また、気密性が悪い場所では、換気扇を24時間つけっぱなしにするなど、計画的な換気をしないと空気が滞留しやすくなってしまうため、常時換気した方が良いでしょう。
換気扇と24時間換気システムの違い
換気扇と24時間換気システムは、換気を行う範囲が異なります。換気扇は設置された場所の付近のみの換気を行いますが、24時間換気システムは家全体の換気を行うことが可能です。
電気代を節約するコツ
ここからは、換気扇を使ううえで電気代を節約するコツをご紹介します。換気扇は電気代が安いですが、これらのコツを実践すればさらに電気代を抑えられるでしょう。
部屋を締め切って換気扇を使う
換気扇を使うときに、換気を早く終わらせようと窓やドアも開けてしまう方がいますが、これは逆に換気の効率を下げてしまいます。窓やドアを開けるとその周辺の空気は入れ替わりますが、部屋全体の換気が行われにくくなってしまうのです。
換気扇を使うときは部屋を閉め、電気代を抑えるようにすると良いでしょう。
エアコンとの併用時は換気扇を「弱」に
夏場になると、エアコンをつけたまま換気扇を使用することがありますが、そのときに気をつけたいのは換気扇の風量です。換気扇とエアコンを併用するとエアコンの効きが悪くなり、電気代が増える可能性があります。それを回避するためにも、エアコン併用時の換気扇の風量は「弱」にしておきましょう。
こまめに掃除する
換気扇を使っていると、羽根などにホコリなどがたまり、汚れていってしまいます。ホコリや汚れがたまると燃費が悪くなり、換気効率も落ちかねません。汚れやホコリを放っておくと、結果的に電気代が上がる原因になります。
換気扇をきれいに保つことは電気代を抑えることにつながるので、こまめに掃除すると良いでしょう。
古い換気扇は交換する
パナソニックや三菱電機、富士工業など、数々のメーカーが、新しいモデルの換気扇を次々に発売しています。新型の換気扇は、機能性が優れているのはもちろんのこと、消費電力が抑えられていたり、燃費がよくなっていたりするので、買い替えを検討するのもひとつの手です。
さらに、古い換気扇はもともとの消費電力が高いほか、汚れや経年劣化などによって燃費が落ちていることもあり、買い替えれば電気代を節約できるでしょう。
使う分に見合ったプランで契約する
電気代を抑えるためには、契約アンペア数を見直すことも重要です。契約アンペア数が大きいと、多くの電化製品を同時に使用することができますが、そのぶん電気代が高くなってしまいます。
換気扇の消費電力なども加味したうえで、契約アンペア数が適切かを判断し、過剰であれば契約アンペア数を小さくしましょう。
電力会社を見直す
電力会社は、一度契約してしまうと乗り換えるのが億劫という方も多いと思いますが、電気代の節約のために見直してみることもおすすめです。契約した当時はもっとも安かったとしても、値上げや他社の新プランの登場などで、状況が変わっている可能性があります。
ぜひ一度、契約している電力会社の電気代と他社のプランを見比べて、乗り換えるかどうか吟味してみてください。
換気扇はつけっぱなしがおすすめ
この記事では、場所別の換気扇の情報や、換気扇のつけっぱなしの是非、電気代の節約方法などについてご紹介してきました。特にお伝えしたいことは「換気扇はつけっぱなしにしておいたほうが良い」ということ。つけっぱなしにするメリットがデメリットを大幅に上回ります。
「それでも電気代が気になる……」という場合は、ご紹介した電気代節約のコツを参考にして、コストを抑えてみてくださいね。