読み終わった本を処分したいとき、古紙としてゴミに出したり、フリマやショップで売ったりすることを考える人が多いのではないでしょうか。
いらない本の処分方法には、このほかに「寄付」という選択肢があります。さまざまな施設で寄付を受け付けているので、普段なかなか募金や物資の支援をする機会がない人も、比較的チャレンジしやすいでしょう。
しかし、本ならなんでも寄付できるというわけではありません。支援したい気持ちばかりが先走ると、逆に迷惑をかける恐れもあるため注意が必要です。
本記事では、主な本の寄付先から注意点、寄付を断られた場合の対処法まで解説します。これから本を処分しようと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
いらない本を寄付するメリット
いらない本を整理する際、紐でまとめて古紙回収に出す、という人が大半でしょう。
もしきれいな状態で保管されていたものであれば、今後は捨てずに寄付も視野に入れてみてください。ここでは本を寄付するメリットをご紹介します。
社会貢献できる
寄付した本は、そのまま物資として届けられるか、お金に換えて支援金として活用されます。自分が寄付した本で、世界のどこかで生活に苦しんでいる誰かを救えるのであれば、喜ばしいことですよね。
ただいらない本を寄付するだけで、社会に貢献ができることが大きなメリットでしょう。
部屋がきれいになる
本棚に収まりきらないほど増えてしまった本を整理したくても、「捨てるのは抵抗がある」となかなか処分できない人もいるでしょう。
フリマやネットオークションで売ることも賢い手段ではあるものの、1冊1冊の出品・梱包・発送作業に手間がかかるうえ、必ず売れるとも限りません。
一方、寄付先によっては幅広い種類の本を受け入れているところがあるので、捨てることも手間がかかることもなく処分できます。
環境にやさしい
本を資源ごみとして自治体の古紙回収に出すと、再資源化されて新しい紙製品に生まれ変わります。資源を有効活用するため、古紙リサイクルも環境にやさしい取り組みですが、リサイクル過程では少なからずCO2(二酸化炭素)が発生することに。
CO2は地球温暖化を招くガスのひとつで、できる限り発生させないことが大切なので、本をそのまま再利用できる寄付のほうが、より環境にやさしいといえるでしょう。
本を寄付できる主な場所
本を寄付したいと思っても、具体的にどこに持ち込めばいいのか悩む人もいるでしょう。
ここでは主な寄付先を6つご紹介します。ただし、すべての場所で受け付けているわけではありません。寄付できるかどうか、事前に問い合わせてみてください。
図書館
本を豊富に取り扱っていることから、寄付先として図書館を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。実際に、一部の図書館では本の寄付を受け付けています。
たとえば横浜市立図書館では、子どもたちに人気がある児童書や、予約の多い本の寄贈を呼びかけ。「出版後およそ5年以内」という制限はあるものの、横浜市の各図書館で対応しています。
基本的にどの図書館においても、日焼けや汚れ、書き込み、蔵書印などがあるものは寄付できません。持ち込む前によくチェックしておきましょう。
教育機関
保育園や幼稚園では、絵本を中心に本の寄付を受け入れている場合があります。「子どもが小さい頃に読んでいた本がたくさんあるけど、なかなか捨てられない」という人も、寄付することで大切な本を読み繋いでもらえるため、手放しやすいでしょう。
このほか、小中学校の図書室への寄贈や、各大学で行っている古本募金への申し込みという選択肢もあります。まずは子どもがお世話になった教育機関に聞いてみるといいかもしれません。
病院
一部の病院では、患者が利用する図書室に置く本の寄贈を呼びかけています。
日本赤十字社の高松赤十字病院を例に挙げると、「出版から3年以内の医学書」や「病気、医学、医療、福祉、介護に関するもの」など、病院ならではのジャンルを募集。持ち込みだけでなく、郵送での寄付にも対応しています。
専門的で、ほかの寄付先では受け付けてもらえない医療系の本は、こうした病院への寄付が適しているでしょう。
児童養護施設
児童養護施設では、親がいない、虐待を受けていたなど、さまざまな事情をもった子どもたちが暮らしています。一人ひとりが自立するまで安定した生活環境を与えるためには、膨大なお金や物資が必要です。
なかでも本は、あらゆる知識を得たり、想像力を豊かにしたりと、子どもたちの心の成長に欠かせません。児童養護施設には、直接施設に寄付するほか、支援団体を通じて寄付することも可能です。
NPO法人・公益財団法人
NPO法人や公益財団法人のなかには、寄付された本を支援物資として各施設へ届けたり、お金に換えることで支援金として役立てたりしている団体があります。
本だけでなく、食料品や衣類、電化製品といった、生活するうえで必要な物資全般を募集しているところも多いです。もし本のほかにも寄付したいものがある場合は、さまざまな物資を取り扱っている団体に申し込んでみてください。
被災地
大雨による浸水や土砂災害、大地震による建物倒壊や津波など、日本では多くの自然災害が至る地域で発生しています。被災地では、通っていた学校や図書館などが被害に遭い、子どもたちが学べる環境を失ってしまうケースも少なくありません。
こうした被災地で暮らす人たちへの支援物資として、本の寄付を募る団体も多いので、ぜひ候補のひとつとして検討してみてください。
本を寄付する方法
本を寄付するときは、基本的に指定された場所に直接持ち込むか、宅配便で郵送するかのいずれかで行います。寄付先によって対応が異なるため、問い合わせの際に確認しましょう。
郵送については、着払いでOKとしているところもあれば、寄付する人が送料を負担するようお願いしているところもあります。なるべくお金はかけたくないという人は、着払いもしくは持ち込みに対応している寄付先を選ぶといいでしょう。
本を寄付する際の注意点
本を寄付することは、少なからず誰かを救うことに繋がる素晴らしい選択といえます。
ところが自分本位で寄付すると、かえって負担をかけてしまう事態になりかねません。ここでは本を寄付する際に注意すべき点をお伝えします。
寄付するときは必ず事前確認する
本を寄付したい先が決まったら、必ず一度問い合わせをしてください。
専用のフォームがあればそこから申し込むか、特に設けられていなければ直接電話かメールで連絡しましょう。どんな本をどのくらい寄付したいか詳しく伝え、可否や寄付方法を確認します。
募集しているからといって突然持ち込むことは、寄付先に迷惑がかかるので避けてください。
寄付対象の本であるか確認する
極端な例として、保育園や幼稚園にビジネス本を持ち込んだり、落書きや汚れの目立つ本を寄付したりしようとしても、受け取りを断られるでしょう。
寄付先ごとに対象としている本は異なるため、無駄足を避けるうえでも事前連絡の際に聞いてみてください。公式サイトに細かく記載しているところもあるので、しっかり目を通しておきましょう。
買取を通じて寄付できるサービスもある
万が一、手持ちの本とマッチングする寄付先が見つからない場合は、買取による寄付が可能なサービスを利用するといいでしょう。
具体的にどのようなものがあるのか、4つのおすすめサービスとそれぞれの特徴についてご紹介します。
ブックオフの寄付サービス「キモチと。」
「キモチと。」は、リユース業界の大手であるブックオフが取り組む宅配買取寄付サービスです。本をはじめとする不要なものの買取金額で、各団体へ寄付・応援・支援ができます。
100プログラム以上の豊富な支援先を抱えており、寄付者はそのなかから自由に選択して寄付することが可能です。どんな取り組みをしている団体なのか、自分が寄付したものがどんなことに役立てられるのかが明確なので、安心して寄付できるでしょう。
支援先を豊富に抱える「チャリボン」
「チャリボン」では、本・CD・DVD・ゲームを対象に、宅配での寄付を受け付けています。減額にはなるものの、汚れや書き込みがある本も対象です。
掲載している支援先が多く、カテゴリやエリアから探したり、キーワードで検索したりできるため、寄付したい団体をスムーズに見つけられるでしょう。
5点以上の寄付で送料はチャリボン負担となり、5点未満では1箱につき500円が査定額から差し引かれます。最大限の支援をしたいなら、ぜひ5点以上まとめて送りましょう。
無料出張してくれる「ありがとうブック」
「ありがとうブック」では、本以外にもファッション小物や家電、文房具、ハンドメイド品など、幅広いジャンルの品物を寄付できます。
切手やテレホンカードといった小さいものは郵便、家電以外の寄付品は段ボールに詰めて宅配での送付が可能。ただし、どちらも送料は寄付者負担です。
段ボール10箱以上の大量寄付、もしくは家電製品の寄付の場合は、無料で出張引き取りしてくれるので、送料負担を避けたい人は活用するといいでしょう。
宅配キットで楽々「もったいない本舗」
「もったいない本舗」は、本やCD、ゲームを取り扱う宅配買取専門店です。買取金額を自分の口座に入金してもらうほか、任意の団体への全額寄付を選択できます。
本のみの場合は30点前後、CDやゲームが混ざっている場合は20点前後から受付。段ボールやテープを含む梱包資材を無料で送ってもらえるため、自分で用意する必要がありません。
集荷や送料も一切不要なので、手間やお金をかけず寄付したい人におすすめです。
読み終わった本は寄付して社会に役立てよう
これまで本を寄付できることは知っていても、寄付の場所や方法がわからず、結局出来ずじまいだった人もいるでしょう。
しかし本記事で紹介したように、本の寄付先はたくさんあります。たとえ近くに持ち込めるところがなくても、郵送で寄付できるところも多いため、意外とすぐに見つけられるでしょう。
本の寄付は、誰でも簡単にできる社会貢献活動です。資源を無駄にしないことは、地球を守る行動にもつながるので、ぜひ今後は捨てずに寄付する選択をしてみてください。