「オーガニックコットン」と聞いて、何となく身体に良さそうなものなのだろうと認識はしていても、普通のコットンと何が違うのかよくわからないですよね。
オーガニックコットンは、私たちの肌や自然環境、生産者にとってメリットがある素材です。
しかし、オーガニックコットンが何なのかよく知らないと、良かれと思って買ったものが実は第三者の認証を受けていない自称・オーガニックコットン製品かもしれません。
この記事では、オーガニックコットンの定義や普通のコットンとの違い、メリット・デメリットについて解説します。
オーガニックコットン製品をメインで扱っているおすすめのブランドも紹介するので、自分の身体や環境に配慮したものを選べるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでみてください。
オーガニックコットンとは
オーガニックコットンとは、どういうものを指すのでしょうか。
まずは、オーガニックコットンの定義を説明します。
オーガニックの意味
オーガニックとは、「化学的に合成された農薬や物質を避け、環境に配慮して生産された」という意味です。食品や繊維などの原材料によく使われ、日本語では「有機」の言葉で置き換えられます。
誤って認識されがちですが、「オーガニック=完全なる無農薬」ではありません。人体や環境に対して負荷がかかりにくい、最低限の農薬の使用は認められています。
しかし認証機関で認められたものしかオーガニックと名乗ることができず、認証されていないものよりも身体や環境に良いのは確かです。
オーガニックコットンの定義
オーガニックコットンの認証基準には、GOTS(ゴッツ、Global Organic Textile Standard)があります。以前は日本オーガニックコットン協会の基準もありましたが、2021年以降は世界基準であるGOTSの認証を推奨する方向で動くようになりました。
《GOTSの認証マーク》
GOTSは、以下のような複数の基準をすべて満たしたものだけに認められるものです。
- 原料の70%異常がオーガニックである
- 水・エネルギーや薬剤の使用について、環境目標を満たしている
- 児童労働をさせていない
- 衛生的で安全な労働環境と、搾取のない労働条件
GOTSの認証マークは基準を満たしたものにしか与えられませんが、「オーガニックコットン」と名乗るのに法的な縛りはありません。
そのため、原料だけがオーガニックで加工には化学薬剤や染料を使っているもの、第三者の認証はない自称のものなども「オーガニックコットン」と呼ばれているのが現状です。
消費者がどこまでオーガニックのものかを見分けるのは難しいので、原材料から製法までオーガニックなコットンを選ぶには、GOTSの認証マークを目印にすると良いでしょう。
オーガニックコットンと普通のコットンの違い
コットンの肌触りは栽培方法ではなく綿の品種で決まり、オーガニックコットンと普通のコットンの肌触りはあまり変わりません。両者とも残留する農薬はほぼなく、肌に優しいのは同じだからです。
では、オーガニックコットンは何が良いとされているのか、一般的なコットンとの違いを説明します。
肌に優しい
肌触りは一見普通のコットンと同じでも、できるだけ化学物質を使わずに作るオーガニックコットンは、目に見えなくても肌に優しいです。
化学繊維アレルギーの人はもちろん、敏感肌の人や、赤ちゃんもストレスなく使えます。
収穫や扱いに手間のかかるオーガニックコットンを使った製品は、着る人への想いをこめて丁寧に作られたもの。肌や手触りなどにこだわって作られており、繊細な肌の持ち主でも、長く愛用することができます。
地球環境に優しい
オーガニックコットンは、普通のコットンよりも地球環境に配慮して作られています。
普通のコットンは、栽培する際に害虫駆除のための薬剤を大量に撒いたり、早く収穫できるように枯れ葉剤を使用。しかし化学農薬や薬剤を使うと、雨に溶けた薬剤が土や水を汚染して、自然環境に負荷をかけるのです。
一方で、オーガニックコットンは、以下のように環境に負荷をかけにくい製法で作っています。
- 化学肥料ではなく、牛糞などの有機肥料を使う
- 殺虫剤ではなく、てんとう虫に害虫を食べてもらう
- 枯れ葉剤を使わずに、ひとつひとつ手摘みで収穫する
オーガニックコットンは土も水も守って土地を永く生かせるうえ、綿自体も傷まず、普通のコットンよりも柔らかい手触りに仕上がります。
労働者の安全や健康を守れる
GOTSの認証基準では、オーガニックコットンの栽培方法だけでなく、労働者の安全と健康についても定められています。
コットンの生産地にはまだまだ貧しい人々が多く、栽培を始める前に借金をして農薬を買う人もいます。借金を返すために、悪質な賃金で働かされる児童も多いです。さらに、農薬を大量に使うと労働者の健康にも影響を及ぼします。
農薬を使わなければ、収穫の手間はかかっても借金せずに済み、健康にも良い方法で綿を作ることが可能です。
オーガニックコットンの製品を選ぶことは、綿の栽培に関わる人々を守ることにつながります。
生産者の顔が見える
GOTSの認証を受けたオーガニックコットンは、トレーサビリティ(いつ・どこで・誰が作ったかの管理)ができています。
原綿、糸を紡ぐ過程(紡績)、糸から布にする過程(織布)、染色、縫製といったすべての工程でトレーサビリティを追求することで、「顔の見えるものづくり」をしていけるのです。
化学染料で加工していない
オーガニックコットンは、普通のコットンのように真っ白に染められていません。綿花はもともと薄っすら茶色がかっていますが、染めやすくするために化学的な漂白剤を使っています。
大量のコットンを真っ白にするために大量の漂白剤を使えば、農薬同様、自然環境に良くありません。しかし、先ほど説明したように、原綿だけオーガニック栽培をして加工には化学物質を使っているものも「オーガニックコットン」と呼ばれているのが現状です。
素材から製品になるまで環境に配慮したものを買うなら、GOTSの認証マークがついているかどうかを確認しましょう。
オーガニックコットンのデメリット
人の身体や環境に配慮したオーガニックコットンにも、デメリットはあります。
ここでは、オーガニックコットンのデメリットをご紹介します。
生地が伸びにくい
オーガニックコットンを使った衣類は通常のコットンよりも生地が伸びにくく、ストレッチ性に欠けるのが難点です。
オーガニックコットンを使った製品には、伸び伸びと衣服を着れるよう、ポリウレタンなどを少しだけ混ぜて伸縮性を高めたものもあります。
洗濯に気を遣う
オーガニックコットンは柔らかい素材で、洗濯やお手入れ方法はよく考えないといけません。ほかの衣服と同じように漂白剤などが入った洗剤で洗うと、ものによってはオーガニックコットンの風合いを損ねたり、毛羽だってしまったりします。
お手入れするときは、オーガニックコットンの衣服を販売しているブランドが扱っている専用の洗剤か、石鹸で手洗いするのが良いでしょう。
洗濯ネットに入れれば洗濯機OKのものもあるため、店員さんにお手入れ方法を聞くか、オンラインショップのQ&Aなどで確認してから買うのをおすすめします。
オーガニックコットン素材をメインとするブランド3選
オーガニックコットンは、肌着やベビー衣類、パジャマやタオルなど、私たちの肌や手で触れることの多い製品によく使われています。
ここでは、オーガニックコットンの素材をメインに扱っているブランドを3つご紹介します。
PRISTINE(プリスティン)
出典:プリスティン
特徴
- 毎日の暮らしに寄り添うオーガニックコットンブランド
- GOTSやUSDA(米国農務省)が認めたオーガニックコットンを使用
- 糸から製品になるまで、すべて日本国内で生産
ブランド紹介
PRISTINE(プリスティン)は、コットンの買付をしていた株式会社アバンティが、1996年に設立したオーガニックコットンブランドです。
ずっと使い続けられる「持続性」や環境への配慮などを大切に、オーガニックコットンを使ったアパレル商品や雑貨など、毎日の暮らしに寄り添うアイテムを展開しています。
プリスティンでは、アメリカやインドの生産者が手間をかけてつくった原綿を輸入し、糸を染めずに綿が本来もつ色合いを活かして商品を製作。
すべてUSDA(米国農務省)やGOTSの認証を受けたオーガニックコットンを使っています。
「顔の見えるものづくり」のため、糸の状態から製品が店舗に並ぶまでのプロセスをすべて国内で行っており、買い手側も安心できるブランドです。
商品例
- パンケーキニットパジャマ:28,600円
- シルクコットン タートルプルオーバー:11,000円
- フローズンチェック フェイスタオル:1,430円
NADELL(ナデル)
出典:ナデル
特徴
- GOTS認証されたオーガニックコットンを使用
- 天然素材の風合いを生かした製品
- 人の身体と環境に優しい染色技術
ブランド紹介
NADELL(ナデル)は、オーガニックコットンをはじめとする天然素材を使い、風合いをできるだけ生かす製法にこだわったブランドです。
2008年に設立され、「10年先も愛される1枚」をテーマに、素材と環境を大事にした服づくりをしています。
オーガニックコットンはGOTSの認証を受けたものを使い、国内の職人とコラボし、環境に配慮して染色。人の身体にも環境にも配慮した製法にこだわっています。
余った布を使ってノベルティ用の小物を作るなど、お客様と資源をリサイクル(再生)・リユース(再使用)することの両方を大切にしているブランドです。
商品例
- おやすみウェアセット:33,550円
- レース付きタンクトップインナー:11,000円
- ボーダーハンドタオル:2,200円
出典:ナデル
SoupleLuz(スープレルース)
出典:スープレルース
特徴
- オーガニックコットンのランジェリーがメイン
- トレーサビリティ体制で「顔の見えるものづくり」を実現
- 日本産にこだわり環境に配慮
ブランド紹介
SoupleLuz(スープレルース)は、オーガニックコットンの上品なランジェリーを主軸に、肌触りの良さにこだわったリラクシングウエアを製作・販売しているブランドです。植物由来の色素で染めた、優しい色合いの商品を積極的に取り扱っています。
スープレルースは、フランス語でしなやかさを意味する「Souple」と、ポルトガル語で光を意味する「Luz」を合わせたブランド名で、2007年に設立されました。
また、「顔の見えるものづくり」を大切にしているスープレルースの商品は、いつどこで誰が作ったものかわかるトレーサビリティの体制も整えています。
輸送によるエネルギーを減らして環境への負荷を減らすため、「メイド・イン・ジャパン」にこだわった丁寧な衣服づくりをしているブランドです。
商品例
- ロングスカート:18,700円
- コットンシルク ブラパッドキャミソール:17,600円
- フレンチスリーブ:12,650円
出典:スープレルース
オーガニックコットンは肌・環境・生産者に優しい素材
ここまで、オーガニックコットンの意味や普通のコットンとの違い、おすすめのオーガニックコットンブランドなどを紹介してきました。
原料から縫製までがすべてオーガニック製法とは限らないので、オーガニックコットンのものを買う際はGOTSマークの有無を見ることが大切です。
オーガニックコットンは柔らかな風合いで私たちの肌に優しく、生産者や環境を支えることにもつながるので、ぜひファッションや小物に取り入れてみてください。