イデコとは?制度の概要やメリットとデメリットを詳しく解説

資産・貯蓄

イデコ(iDeCo)という年金制度をご存知ですか。イデコは少額から老後資金の準備ができる制度で、幅広い世代から注目されています。

話題の制度はメリットばかりが目につきますが、デメリットにも注目しておかないと思わぬトラブルを招きかねません。

そこで本記事では、イデコとはどのような制度なのかをご紹介するとともに、メリットとデメリットにも注目して解説します。

イデコを始めたいと思っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

イデコ(iDeCo)とは

イデコという名前は聞いたことがあるけれど、どんな制度かわからないという人もいるのではないでしょうか。イデコ(iDeCo)とは、個人型確定拠出年金のことで、老後の生活をより豊かにするための資金作りをすることが目的の制度です。

厚生年金や国民年金などの公的年金とは異なる私的年金制度で、加入は任意になっています。イデコは掛金を自分のライフスタイルによって調整ができることが特徴です。

掛金は個人で運用し、積み重ねた資産を元に老後の給付が始まります。公的年金との併用が可能で、老後の年金暮らしをより安定させ、豊かなものにするために導入されました。

掛金・運用益・給付を受ける時点で税金の優遇措置もあり、節税としても注目の制度です。

参考:iDeCo公式サイト

イデコの仕組み

ではイデコの制度の中では具体的にどのように資産を増やしていくのでしょうか。ここではイデコの仕組みについてご紹介します。

年金の話や制度の話は難しいと敬遠しがちですが、イデコの制度はシンプルで難しくはありません。きちんと理解すれば自分の資産を増やすことができるチャンスですよ。

個人で掛金を決めて積み立てる

イデコでは公的年金とは異なり、掛金を自分のライフスタイルに合わせて設定できます。掛金の下限は一律で5,000円/月です。

掛金の上限は公的年金の種別や加入している企業年金制度によってさまざまですが、一番多く掛金を運用できる方で、上限68,000円/月。生活にあった金額を毎月入金します。

掛金の金額は年に1回変更することが可能です。自身や家族のライフスタイルの変化に合わせて、無理のないような掛金を設定しましょう。

運用する

公的年金とは異なり、預けた掛金を自分で運用するのがイデコの特徴です。イデコでは加入時に運営管理機関や商品を自分で選択します。

運営管理機関ごとに商品や手数料が異なるので、加入段階でしっかり検討しましょう。どういう運用方法にするかが利益のカギを握っています。

運用中でも商品や運用配分の変更は可能ですが、タイミングや手数料などさまざまな要素が関わってくるので、まめに変更するのは大変。もちろん長く運用するうえで変更は必要ですが、まず初めの段階でしっかり選んでおくことが大切です。

60歳以降に受け取る

イデコは年金制度なので、原則受け取りは60歳以上から始まり、受給時期は自分で設定できます。受け取り方法は公的年金と同じで、「定期的に一定額を受け取る」「一括」「定期と一括の併用」の3種類です。

ただし60歳の時点でイデコに加入してから10年以上たっていない場合は、受け取りを始めることはできません。加入してから運用期間が10年たってから年金の受給を始めることが可能になるので、注意しましょう。

イデコの加入条件

イデコは基本的に20歳以上65歳未満のすべての国民が加入できる制度です。ただし一部の場合に限り、加入できないことがあります。

イデコの加入条件は2022年10月に緩和され、今まで加入できなかった人も一部加入が認められるようになりました。ここでは2022年10月改定のイデコ加入条件をご紹介します。

加入対象になる人

  • 20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など
  • 厚生年金の被保険者
  • 厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者
  • 国民年金に任意で加入した人

加入対象とならない人

  • 農業者年金の被保険者
  • 国民年金の保険料納付を免除されている人
  • 勤め先で加入している企業型確定拠出年金の事業主掛金が、拠出限度額の範囲内での毎月拠出となっていない人
  • 企業型確定拠出型年金でマッチング拠出を選択した人

イデコの拠出上限額

イデコの拠出上限額は加入者の職業によって決められています。拠出上限額も2022年10月に条件が緩和されているため、加入を検討している人は最新の上限額の確認が必要です。変更後の拠出上限額を以下の通りまとめました。

加入資格拠出限度額
第1号被保険者・任意加入被保険者 自営業者など68,000円/月(年額816,000円)
第2号被保険者 会社員・公務員会社に企業年金がない23,000円/月(年額276,000円)
企業型確定拠出年金のみに加入している20,000円/月
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入している12,000円/月
確定給付企業年金・厚生年金基金・石炭鉱業年金基金・私立学校教職員共済のみに加入している12,000円/月(年額144,000円)
公務員
第3号被保険者 専業主婦(専業主夫)23,000円/月(年額276,000円)

※2022/10/27日時点
出典:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の仕組み

公的年金との違い

イデコは私的年金の一部に当たり、厚生年金や国民年金といった公的年金とは異なる点も多くあります。なかでもとくに大きな違いを3点ご紹介。イデコの特徴を正しく理解し、加入するかどうかを検討する参考にしてください。

加入は任意であること

年齢に達したら必ず加入し支払いが始まる公的年金と異なり、イデコは任意で加入する私的年金です。

イデコの制度に納得ができなかったり、掛金の負担が重く感じたりする場合は加入する必要はありません。加入をしてもしなくてもいいというところが、公的年金との一番の違いです。

掛金が調整できること

毎月の支払金額である掛金を、月5,000円〜各上限額までの間で調整ができます。この点も給料や仕事区分、家族の状態などで自動的に金額が変わる公的年金との違いです。

途中でライフスタイルに応じて掛金の変更も可能で、無理なく続けることができます。

受給年齢

公的年金は原則65歳からの受給となっています。以前は原則60歳からの受給でしたので、60歳からでも受給は可能です。しかしできる限り損がないように受け取るには65歳からの受給にしなければなりません。

一方イデコは原則60歳から受け取ることができ、それ以降の年齢への変更も可能。公的年金を受け取るまでのつなぎの年金としても活躍します。

イデコで投資可能な運用商品

イデコで一番難しいと感じる人が多いのが、運用商品の選択ではないでしょうか。自分の資産を守り、できる限り増やしていきたいというのは、共通の認識でしょう。

イデコでは大きく分けて2種類の運用商品があります。それぞれに特徴があり、組み合わせて運用していくことが必要です。まずはその種類と特徴を理解しましょう。

元本確保商品

「元本確保」という言葉からもわかるように、元本割れをしないことをメリットとしている商品のことです。元本が保証されているので、資産が減ることはありませんが、次に紹介する投資信託に比べると運用益が大きいものではないというデメリットもあります。

具体的には、定期預金や保険といった商品が元本確保商品です。各運営管理機関によってイデコの運用商品は異なり、およそ20~30種類程が用意されています。そのなかで元本確保商品の数は多くありません。

投資信託

イデコの運用商品のなかでも多くの割合を占めているのが投資信託です。その種類は「国内株式型」「国内債券型」「外国株式型」「外国再建型」「バランス型」の5種類に分けられます。

「国内債権型」が1番リスクも配当も低く、「外国債権型」「国内株式型」「外国株式型」の順でリスク・配当が高くなる傾向です。いかにリスクを分散して投資をするかが重要になります。

リスクを分散する方法として、4種類のすべてにバランスよく投資する「バランス型」の商品も。

運用の方針は人によって異なりますが、投資信託は元本割れをする可能性があるということを念頭に置いて運用先を設定することが大切です。

イデコのメリット

お金の話が難しくて、イデコをなんとなく避けていたということはありませんか。

イデコはメリットがたくさんある制度です。ここではイデコのメリットをいくつかご紹介します。イデコを始めるかどうかの参考にしてみてください。

3つの税制優遇措置がある

イデコの大きなメリットとしてあげられるのが、3つの税制優遇措置があることです。

イデコを長期間運用していけば、税制優遇されたことにより軽減された税金だけでも、まとまった金額になることがあります。とくにまだ若く、年金受給まで余裕があるという方には大きなメリットです。

掛金の全額が所得控除される

月々の掛金がそのまま所得控除の対象になります。

例えば毎月10,000円を掛金として支払っていて、所得税・住民税がともに10%の場合、年間24,000円の税金が軽減されることに。所得控除申請の方法も、確定申告や年末調整の際に書類を提出するだけで完了するので難しくありません。

運用で得た利益はすべて非課税

通常投資で得た利益には、源泉分離課税20.315%が課税されるため、利益を満額受け取ることはできません。しかしイデコは運用利益に税金がかからないため、利益をそのまま次の運用に回すことができます。

そのため運用がうまくいけば、掛金以上の金額を運用し続けることができ、最終的な運用利益をより大きくすることが可能です。

積み立てた資産を受け取る際は「退職所得控除」「公的年金等控除」の対象になる

イデコは資産の受け取り方法やその時の収入状況などに応じて、受給時には税金がかかります。

資産をどこかのタイミングで一括で受け取る場合は、受給額は退職所得とみなされ、退職所得控除の対象に。月々の年金の形で受給する場合は、公的年金控除の対象になります。

どちらの方が受給金額が大きくなるかは、その他の要因によって変わるので一概にはいえません。しかし条件によっては全額非課税になることもあり、資産を満額受け取ることができる可能性も。

受給時にはライフスタイルに配慮しながらも、できるだけ節税できる方法で受給しましょう。

転職・退職しても持ち運びが可能

イデコは加入時の職業によって区分があり、毎月の掛金の最高額も変わります。転職・退職時によって環境が変わった場合は申請しなければなりません。

申請後はその状況に応じた掛金限度額となるため、場合によっては掛けられる金額が下がることもあります。しかしその場合でも今まで形成した資産はそのまま運用をし続けることが可能です。

イデコのデメリット

メリットがたくさんあり、加入しないと損なのではと思われる方も多いイデコですが、もちろんデメリットもあります。

ここではイデコのデメリットを5つご紹介。イデコに加入する際はデメリットもよく検討してから加入手続きに進みましょう。

原則60歳まで資産を引き出せない

イデコは老後の年金生活をサポートする制度であるため、原則60歳までは預けた資産を受け取ることはできません。

しかし、もしもの時は預けてある資産を使いたいという人もいるのではないでしょうか。

  • 加入者が死亡した
  • 加入者が一定以上の障害を負った
  • 脱退した

上記のいずれかの場合に該当する時のみ、60歳未満でも掛金を受け取ることが可能です。これ以外の場合は、掛金を最小限度額に留めるなどの工夫をして、イデコを継続していく必要があります。

受け取り額が運用成績によって変化する

イデコは受給が可能な年齢になると必ず掛けたお金が戻ってくるという制度ではありません。掛金を長期間運用し、増減した金額が年金という形になって返ってくる制度です。

そのため、運用成績によって受け取り額は変動します。投資先が暴落するようなことがあれば、当然掛金も元本割れをしてしまうリスクも。

それを避けるためには、投資先を分散させることや元本確保型の商品を選ぶという選択肢があります。

受け取り時に税金がかかる場合もある

イデコは受け取り方によって、受給時に税金がかかることがあります。

一括で受け取る場合は、税金は退職所得の計算方法で算出され、退職所得控除が適用。年金として受け取る場合は雑所得として計上され、金額やその他公的年金の額などの収入によっては確定申告を行い、税金を納めなければなりません。

どちらの方が節税できるかというのは、その人の収入状況やイデコの受取金額などで変わるため、受給時にはしっかり検討する必要があります。

手数料がかかる

イデコは加入時や以降の運営において手数料がかかります。

まず加入時には加入時手数料として「国民年金基金連合会」に2,829円(税込)。以降、毎月運営管理機関への手数料がかかります。

運営管理機関への手数料は機関によって異なり、一部機関では無料です。

参考:iDeCoナビ

1つの金融機関でしか開設できない

イデコでは加入時に運用するための金融機関を1つだけ選択することになり、複数の金融機関で加入することはできません。他の金融機関に途中で変更することは可能ですが、変更手数料として2,829円(税込)がかかる場合があります。

また資産を移行する手続きに時間がかかるため、金融機関の変更が完了するまでの間は資産の運用はできません。

イデコの手続きの流れ

イデコを老後資金のために始めてみようと思ったら、まず何をすればいいのでしょうか。加入したかったけど手続きが面倒そう、複雑そうだと諦めてしまった方もいるのではないでしょうか。

イデコの手続きはそれほど難しくはないので、順を追って手続きを進めていきましょう。

運営管理機関を決める

2022年10月現在、160ほどあるイデコの取り扱い機関の中から1社のみ、運営管理機関を選びます。選ぶ基準はさまざまですが、必ず確認したいのは次の3点です。

  • 手数料がかかるか否か
  • アフターフォローサービスは十分か
  • 運用したい商品があるか

各運営管理機関のパンフレットや公式サイトなどで確認ができます。

加入申し込みする

運営管理機関が決まったら、加入申し込みをします。ここで会社員や公務員の場合は、職場から発行される「第2号加入者に係る事業主の証明」という書類が必要です。事前に職場で準備しておきましょう。

その他にも年金手帳や本人確認書類、口座番号などがわかる書類を準備して手続きに入るとスムーズです。

国民年金基金連合会の審査

申し込み手続きが完了すると、運営管理機関で国民年金基金連合会の審査を受けます。公的年金の支払いが問題なく行われているかなどが審査対象です。審査期間はおよそ1ヵ月ですが、運営管理機関によって前後します。

初回掛金の引き落とし

審査が通ると、初回掛金の引落日の通知やアフターフォローに関する書類などが運営管理機関から送られます。場合によっては初回掛金が2ヵ月分になることもあり、送られてきた通知書に記載があるので必ず確認して準備をしておきましょう。

イデコの受け取り方法

イデコは前述した通り3種類の受け取り方から選択して年金を受け取ります。その方法は通常の公的年金と同じく、

  • 年金
  • 一時金
  • 年金と一時金の併用

です。1つ1つ詳しくご紹介していきましょう。

年金

イデコを年金として、月々決まった額を受け取る方法です。

原則60歳になったら、5年から20年の間で受け取り期間を設定し、受給をスタートさせます。受け取り開始時期は60歳から75歳までです。具体的な受け取り方法は運営管理機関によって異なります。

一時金

受給ができる60歳になったら、60歳から75歳の間のどこかのタイミングで一度に資産全額を受け取る方法です。

自分が60歳になるタイミングで「一括で受け取って別の方法で運用する」や「一括で受け取って生活に合わせて使いたい」など、ライフスタイルに合わせた使い方ができます。

年金と一時金の組み合わせ

受給が開始できる60歳になったら一定額を一括で受け取り、残りの金額を5年から20年の間に分割で月々の年金として受け取るという方法です。この受給方法は、運営管理期間によって選択できる場合とできない場合があります。

イデコを利用して老後資産を形成しよう

イデコとはなにか、公的年金との違い、加入・受け取りの仕方、運用商品の種類などをご紹介しました。

少子高齢化社会において、年金が下がることや老後の生活に不安を抱いてはいませんか。これからは自分たちの老後の生活をより豊かにするためには、リタイア前にしっかり準備しておくことが必要になります。

その方法の一つとしてイデコをしっかりと理解し、効果的に利用して資産運用を始めてみましょう。

小池|KOSOTTO編集部

小池|KOSOTTO編集部

元バッグセレクトショップ店員。旅行とファッションが好き。古着をきっかけにサステナブルファッションについて興味を持ち、勉強中。

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