「5R」と聞いても、いまいちピンとこない人もいるのではないでしょうか。
生活をしていれば、少なからずゴミは出てしまいますよね。しかし廃棄されるゴミの量が多すぎることで、私たちの生活は危機的状況に陥っています。
このまま何も対策せずにいれば、今のように安全で豊かな暮らしを続けられません。とはいえゴミは完全になくすことは難しくても、減らすことはできます。そのうえで重要なのが、この5Rの取り組みなのです。
普段の生活のなかでできる5R活動はたくさんあります。本記事を読んで、5Rの意味や必要性を理解するとともに、ご紹介している取り組みの例を参考にしながらぜひ実践してみてください。
「5R」とは?
5Rとは、循環型社会をつくるために必要な3R「Reduce(リデュース)」「Reuse(リユース)」「Recycle(リサイクル)」に、さらに2つの要素「Refuse(リフューズ)」「Repair(リペア)」が加わったものです。
これら5つの要素の頭文字「R」をとって、5R(ファイブアール)と呼ばれています。
3Rについては聞き馴染みがあるかもしれませんが、簡単にいえばゴミを減らすための取り組みのこと。そして5Rは、3Rを基に強化・発展させたものだと考えていいでしょう。
循環型社会とは
「循環型社会」は、資源を使い捨てずに繰り返し使えるような形をとり、将来にわたって利用していく社会のことです。
現代は便利で豊かな暮らしのために大量の資源を消費し、そして大量に破棄されています。しかし天然資源には限りがあるので、大切に使っていかなければいつか枯渇してしまうでしょう。
持続可能な社会のためにも、積極的に5Rを生活のなかに取り入れていく必要性があるのです。
5Rの種類
5Rは5つの要素から成り立っているとお伝えしましたが、それぞれどんな意味をもっているのでしょうか。
ゴミを減らすという意味では同じですが、狙いや特徴には違いがあります。各取り組みについて解説するので、比較しながら参考にしてみてください。
リフューズ
リフューズには「断る・拒絶する」という意味があり、ゴミ削減対策においては不要なものを断つことでゴミを発生させないという狙いがあります。
「とりあえず買っておこう・もらっておこう」という考えはものを増やし、ゴミの発生を助長させかねません。
本当に必要かどうかをよく考えて、ゴミになるようなものを減らしていきましょう。
リデュース
リデュースは「減少させる・縮める」といった意味をもっています。
たとえば生ごみを捨てるとき、水分を含んだまま捨てるよりも、ギュッとしっかり水気をしぼってから捨てるほうがゴミの量は減りますよね。
このように、発生するゴミの量を抑える・減らすことがリデュースの特徴です。
リペア
リペアの主な意味は、「修理する・生き返らせる」こと。つまり使えなくなったものを捨てるのではなく、修理することで再び使えるようにする取り組みです。
壊れるたびに捨てていては、なかなかゴミを減らすことができません。できるかぎりリペアを取り入れて、ひとつのものを長く大切に使いましょう。
リユース
誰かが使っていたものを、ほかの誰かがまた使うことをリユースといいます。
まだ十分に利用価値があるにも関わらず、「飽きた」「新しいものが欲しくなった」といった理由で捨てるのは避けるべき行動です。
誰かにゆずる、ショップに売る、または回収ボックスに入れるなど、再使用してもらえる方法を検討しましょう。
リサイクル
リサイクルは、5Rのなかでもよく耳にする言葉かもしれません。これは不用品から資源を回収し、もう一度利用することをいいます。
形を保ったまま商品として再使用するリユースに対し、リサイクルは形を変えて資源として再利用することが特徴です。
トイレットペーパーやダンボールなど、身近なところにもリサイクル品は多数存在しています。
5Rにはどんなメリットがある?
ゴミを削減することによってどんな効果があるのかを知っておくと、より5Rに取り組みやすくなるでしょう。
地球環境にとってだけでなく、家庭においても得られるメリットがあります。いくつか解説するので、ぜひチェックしてみてください。
地球温暖化を防ぐ
ゴミを焼却するときに発生するCO2(二酸化炭素)は、地球温暖化の原因のひとつです。
温暖化が進むと自然災害や伝染病が増えたり、農作物が被害を受けて食べるものに困ったりと、さまざまな影響を及ぼします。
そのため5R活動でゴミを減らしてCO2量を抑えることは、温暖化による被害を食い止めることにつながるでしょう。
ゴミ処理にかかるコストを削減できる
ゴミを処理するプロセスでは、莫大なコストがかかっています。環境省が令和4年3月に取りまとめた令和2年度の「ごみ処理事業経費」は、なんと2兆円超え。(参考:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について|環境省)
私たちの貴重な税金が、ゴミ処理のためだけにこんなにも使われていると考えると、ゴミを減らそうという意識もより高まるのではないでしょうか。
ゴミ袋代を節約できる
多くの自治体では「指定ごみ袋制度」を導入しており、ゴミを捨てるときには指定の収集袋を使わなければ回収してもらえません。
価格は地域によってさまざまですが、たとえば東京都八王子市においては、最大サイズ(40L)が10枚入で750円かかります。
ゴミを出せば出すほど袋代がかかってしまうので、なるべくゴミの排出を抑えれば家計への負担も軽減できますよ。
掃除や整理が楽になる
必要以上にものを買わない、ゴミになるものを家に持ち込まないように意識すると、家の中から無駄なものがなくなりスッキリ片付きます。
またゴミ出しのときの作業も減るため、あまり手間や時間をかけずに済むところもメリットでしょう。
このように、5Rを行うことは地球環境に限らず、自分にとってもプラスの効果が生まれる可能性があります。
普段の生活のなかでできる5Rの取り組み
5Rの重要性を理解していても、なにから始めればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
ここでは日常生活のなかで、誰でも実践できる取り組みの例をご紹介します。今後生活していくなかで意識してみてください。
マイバック・マイボトルを持参する
買い物をするときはマイバッグを持参し、レジ袋は断りましょう。
レジ袋を含むプラスチックごみは、特に海洋汚染を引き起こす原因となります。2020年7月にレジ袋の有料化が義務づけられたのも、プラスチックごみを減らす対策のひとつです。
ほかにはマイボトルを持参してペットボトルやビン・缶飲料を買わないことも、ゴミ削減において効果的な取り組みといえるでしょう。
繰り返し使えるものを買う
使い捨て商品は便利な反面、大量のゴミを生み出す欠点があります。できれば繰り返し使用できるものを選び、長く使い続けるように心がけてみてください。
たとえばラップをシリコン製のものに変えれば、使うたびにゴミが発生することはなくなります。また昨今のコロナ禍で欠かせないマスクも、洗って使えるものに変えることでかなりゴミを減らすことができるでしょう。
壊れたらまずは直してみる
壊れたからといってすぐに廃棄し、また新しいものを購入することは好ましくありません。
もし靴下に穴があいてしまったとしても、その部分さえ縫えば使い続けられます。破れた服なら、生地を活かして別のアイテムにリメイクするのもいいでしょう。
直せるものは直して使い続けたり、ほかの用途で使えないか検討してみたりと、まずは捨てる以外の方法を考えることが大切です。
不用品は売る・回収してもらう
使わなくなった古着やおもちゃなど、一般ゴミとして処分していませんか?
自分にとっては不用品でも、誰かにとっては利用価値のあるものかもしれません。リサイクルショップに売却すれば、ゴミの削減とともに資金も得られて一石二鳥です。
商品として再利用できそうになければ、業者や自治体に資源ごみとして引き取ってもらうのも手でしょう。なるべく資源を有効利用できる方向へ考えをシフトしてみてくださいね。
ゴミをしっかり分別する
基本的なことになりますが、ゴミを捨てるときはしっかり分別しましょう。
手間を省くためになんでも可燃ごみとして出してしまうと、焼却するゴミの量が増え、地球への負担も大きくなります。また、本来なら再利用できたはずの資源ゴミまで燃やされ、貴重な資源を失ってしまう可能性も。
暮らしのなかで地球にやさしい行動ができているか、基本的なところから見直してみることも重要です。
5Rに定義はない?
実は5Rには、明確な定義がないといわれています。
後ほど紹介しますが、頭文字にRがつく取り組みは3R以外に数多く存在しており、本記事で解説した「リフューズ」および「リペア」だけではありません。そのため企業や自治体によっては、別の要素を足して5Rと呼んでいる場合もあります。
重要なのは内容ではなく行動に移すことなので、5Rにこだわらず資源を無駄にしないよう心がけていきましょう。
5R以外にも種類がある?
Rの取り組みについて、主な内容を下記にまとめました。
種類 | 表記 | 取り組み内容 |
---|---|---|
リデュース | Reduce | ゴミの排出を抑える |
リユース | Reuse | 繰り返し使用する |
リサイクル | Recycle | 資源として再利用する |
リフューズ | Refuse | 不要なものを受け取らない |
リペア | Repair | 修復して再利用する |
レンタル | Rental | 購入せずに借りることで物を増やさない |
リターン | Return | 使用後に購入先へ戻す |
リバイ | Rebuy | 再生品を購入する |
リジェネレーション | Regeneration | 再生品を使うように心がける |
リフォーム | Reform | 改良して使い続ける |
リメイク | Remake | 作り直して再利用する |
リファイン | Refine | ゴミを分別して資源を捨てない |
リシンク | Rethink | 本当に必要かどうか考える |
5R以外にも、同じように従来の3Rにいくつか要素を組み合わせて、4R、7R、10R…などと表現している言葉があります。
Rの数や種類に決まりがないのは、地球環境のために私たちができることに限りはなく、いくらでも改善の余地があるということではないでしょうか。
少しでも多くの人が自覚をもって行動すれば、豊かで平和な暮らしを失うことなく、持続可能な社会を実現できるでしょう。
5Rが自然に行われる社会を目指そう
5Rを含めたゴミ削減の取り組みは、地球の未来を守るために欠かすことができません。
地球を守ることは、私たちの未来を守ることにつながります。地球に負担をかけ続ければ、その分自分たちの首を絞めることになるのです。
世界中で5Rが日常化し、一人ひとりが当たり前のように行動する社会が理想といえます。何から始めればいいのかわからない人も、ぜひ本記事で紹介した例を参考にして、今後は積極的に取り組んでいきましょう。